続いて、始まった3DMark Vantgageバトルは、3時間という、これまた長丁場だが、wPrime 1024Mの“戦訓”を反映して、液体窒素注ぎ口形状を改良したり、円筒型クーラーユニットに巻きつける断熱材を追加したりと、さらなる“工作作業”を各チームで施していた。後半戦は、グラフィックス性能を競う3DMark Vantgageで、総合スコアに対するウェイトも高い。NVIDIAのGPUでグラフィックススコアとなると、SLIを使って戦うのではと思いがちだが、すべてのチームがシングルカードでシステムを構築し、動作クロックの高さを優先させている。
3DMark Vantgageのステージで、最初にトップスコアを出したのは、ギリシャから参加した「Hwbox.gr」だ。システムのフレームに掲げた“十字架”のご加護か、彼らのスコアを上回るものは終盤まで現れなかった……、が、終了直前、タイムアップまで30分を切ったところで、またしても、Sweclockers.comがトップスコアを出してHwbox.grを抜いてしまった。3DMark Vantageは2つのゲームベンチと2つのCPUベンチをこなさなければスコアが出ないので、意外と時間がかかってしまう。この時点では、そう何度もやり直せない。Hwbox.grは再び逆転することはできるのか。Hwbox.grのステリオス・ゲオグリス氏とジョージ・パブリディス氏は、再度測定に挑戦し、見事、トップスコアを奪い返した。
この時点で残り15分、逆転を目指すSweclokers.comのヨン・サンドストロン氏とヘンリー・クリフ氏は、あきらめずに再チャレンジする。Hwbox.grも自己ベストを超える記録に挑戦していたが、ブルースクリーンが出てしまった。逆にSweclockers.comは、タイムアップ寸前でHwbox.grを抜いて逆転することに成功し、Sweclockers.comの完全優勝が確定した。
日本では、遊びの目的としてオーバークロックをゲームのように楽しむユーザーは、まだまだ少数だ。このような大掛かりなイベントもほとんどない。海外で行われるオーバークロックの大会には若い世代のPCユーザーが集まるなど、新しいユーザー層の発掘に少なからず貢献しているという。
MOA 2009には、日本のチームは参加してなかった。しかし、世界中から集まったすべてのオーバークロッカーが、日本から来た記者に対して、「ミスターDuckはどうしたのだ」と必ず質問した。日本ではあまり知られていないが、COMPUTEX TAIPEI 2008でトップスコアをマークした「Team Japan」とそのリーダー的な存在のDuck氏は、トップクラスのオーバークロッカーチームとして世界中で有名な存在だ。
世界から集まったすべてのオーバークロッカーがその高い技術を「すばらしい」と敬服するスターが日本にもいる。そういう日本でも、オーバークロックという“遊び”がもっとメジャーになってもいいのではないだろうか。
(記事掲載当初、Duck氏のつづりを間違えていました。おわびして訂正いたします。Twitterで指摘してくれたSさん、ありがとうございました)
順位 | 参加チーム |
---|---|
総合優勝 | Sweclockers.com(スウェーデン) |
2位 | Ryba/Chaos(ポーランド) |
3位 | Xfastest(Futuremark) |
参加国 | チーム名 |
---|---|
米国 | XtremeSystems |
米国 | Team OIIE |
台湾 | Coolaler |
フィリピン | Tipid PC |
シンガポール | Team Singapore |
インドネシア | Team ID |
韓国 | Project M |
オーストラリア | Team AU |
南アフリカ | South Africa |
スロバキア | PC Tuning.cz |
デンマーク | Tweak.dk |
フィンランド | Muropaketti.com |
スウェーデン | Sweclockers.com |
ギリシャ | Hwbox.gr |
ポーランド | Ryba/Chaos |
中国 | Team China |
中国 | X-Power |
コロンビア | Hardcol OC |
ブラジル | Adrenaline |
Futuremark(企業) | Xfastest |
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