「SDXCに期待してほしい。製品は2010年春に登場し、対応機器も似たタイミングで登場すると思う」──。
CEATEC JAPAN 2009の出展者セミナーに登壇した、SDアソシエーション テクニカル委員会共同委員長/東芝の坂本広幸氏が、先日、東芝が製品開発を発表したSDメモリーカードの新たな規格「SDXC」のメリットや特徴を説明した。
対応機器やラインアップの大幅拡充とともに、バイト単価の下落で“より大容量の製品が購入しやすくなった”現状も手伝い、デジカメや携帯電話、AV機器を併用するPCユーザーの多くが1枚は所持しているであろうメモリーカードがSDメモリーカード。2009年8月、SDメモリーカードの標準規格策定や普及促進活動などを担う非営利団体“SDアソシエーション”の主要メーカーである東芝が、SDメモリーカードの新たな規格「SDXC」に準拠した製品を開発したと発表し「小型サイズのまま、より大容量に、より高速に」を望むユーザーの熱い注目を集めている。
SDXCは、現在最大32GバイトのSDHCを大幅に上回る「最大2Tバイト」まで容量を拡張でき、より高速なバスインタフェース規格の採用で、転送速度も大幅に向上する特徴を持つ新世代のSDメモリーカードだ。2010年春に発売する予定の東芝製SDXCの第1弾「THNSU064GAA2BC」は64Gバイトの容量を持ち、SDメモリーカード規格Ver.3.00に準拠する高速インタフェース規格「UHS104」(バススピード104Mバイト/秒)の採用で、リード最大60Mバイト/秒、ライト最大35Mバイト/秒の実転送速度を実現する。SDXCはファイルシステムに「exFAT」を採用し、ファイルアロケーション方式に「FAT+クラスタビットマップ」を用いたのが従来のSDやSDHCとの大きな違いだ。
これらの変更により、FAT32を用いるSDHCでは最大4Gバイトだった1ファイルあたりの上限サイズが事実上無制限になり、大容量ボリュームへの高速アクセスも可能になる特徴を備えた。FATのみを用いるSDHCまでは、大容量ボリュームのアクセスに不向き──例えば、どのクラスタに記録するか、あるいは空き容量の計算(デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどで残撮影可能枚数などの表示に用いる)などにかかる時間がボトルネックになる──の仕様だったが、SDXCはクラスタの使用状況を1ビット単位で示すクラスタビットマップを用いることで解決する。
カテゴリー | SDメモリーカード | SDHCメモリーカード | SDXCメモリーカード |
---|---|---|---|
フォーマット | FAT12/FAT16 | FAT32 | exFAT |
サポート容量 | 最大2Gバイト | 32Gバイトまで | 2Tバイトまで |
最大ファイルサイズ | 約2Gバイト | 約4Gバイト | 事実上無制限 |
ファイルアロケーション | FATのみ | FAT+クラスタビットマップ | |
大容量ボリュームへの対応 | 不向き | 高速アクセスが可能 | |
ファイルネーム | Short file name+Long file name(オプション) | Long file nameのみ | |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.