無線LANルータおよび無線LANの利用において無視できないのが、無線LAN区間を中心としたセキュリティ設定にある。WM3300Rは出荷段階で個体ごとに個別のSSIDと、MACアドレスなどからでは推測できないユニークな13ケタの暗号キーがあらかじめ設定されている(バッテリーカバーを外すと、初期設定の文字列を確認できる)。また、設定の変更はブラウザでWM3300Rの設定ページを呼び出して行う仕組みだが、初回の接続時に必ずパスワードの設定を行っておく必要がある。このように、出荷状態のセキュリティ設定のままでもおおむね安心して使えるようになっている。
初期状態の暗号キーは、本体バッテリーカバーを外すと確認できる。無線LAN設定に慣れたPCユーザーであれば、本機の無線LAN電波を探し、ケースに記述される暗号キーを入力するだけですぐ使えるようになる。
ただ、暗号キーは13ケタもあるので、キーボードを備えない家庭用ゲーム機などではかなり面倒で、そもそも普段PCを利用しないユーザーにとっても無線LANの設定方法は少し難しい。この点をカバーするのが「らくらく無線スタート」機能だ。家庭用ゲーム機であれば、ニンテンドーDSシリーズやWii、PlayStation 3、プレイステーション・ポータブルシリーズが対応している。ゲーム機側の操作で自動設定モードを起動し、画面の指示に従ってWM3300Rの設定ボタンを2回操作するだけで、自動的に接続の設定を行ってくれる仕組み。これを用いることで、今まで無線LANを利用していなかった初心者や若年ユーザーも簡単に設定できるだろう。
なお、PC初心者向けにもWindows 7/Vista/XP(SP2以降)に対応する「らくらく無線スタートEX」ソフトがあり、上記の家庭ゲーム機と同じ手順で設定できる。このユーティリティソフトはWindowsの標準無線LAN機能(Windows Zero Configration)に対して接続設定のみを行うツールなので、独自の無線LAN管理機能を追加したり、常駐ソフトとして動作しない点もちょっとしたポイントだ(ただ、このことを気にする人は、この手のユーティリティソフトを使わずとも無線LANの接続設定くらいは手動で適切に設定できるとは思われるが)。
これらの自動接続機能で、PCや無線LAN設定に詳しくはないユーザーでも無線LAN区間のセキュリティをかなり良好に保つことができる。接続するデバイスがサポートする最良な暗号化モードを自動で選択してくれるためだ。
WM3300Rは複数の暗号化モードを使い分けられるマルチSSIDもサポートするが、初期状態で高セキュリティのWPA/WPA2-PSKと、やや古い無線LAN機器やゲーム機で対応するWEPでの暗号化接続用に2つのSSIDがそれぞれ個別に動作している(電源を入れて無線LANの電波状況を検索すると、2つのSSID/アクセスポイントが見つかる)。ニンテンドーDSなどのWPA/WPA2-PSKをサポートしないデバイスは、主にWEPを使用するアクセスポイントを選択することになるのだが、暗号キーが解読されてしまう可能性がある低セキュリティで接続する(WEP/あるいはセキュリティ設定なし)のデバイスからは、WPA/WPA2-PSKで接続した端末(ノートPCなど)へアクセスしたり、WM3300Rの設定画面そのものへアクセスできない設定となる。お手軽な自動接続機能を使っても、セキュリティ強度が落ちるお粗末な設定にはならない──のが安心できる。
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