ブロードバンドルータ製品で定評のあるAtermシリーズらしく、無線LANルータとしてのさまざまな機能も充実している。すでに触れた通り、本機は2つのSSIDを運用できるマルチSSIDをサポートしており、暗号化モードの任意設定はもちろん、異なるSSIDで使用する機器間の通信を遮断する、MACアドレス指定(接続履歴からの選択も可能)で接続を制限する、SSIDそのものを隠す、といった設定も可能だ。
なお、WEPしか設定できないゲーム機と併用するシーン以外に、2つのSSIDのどちらも高セキュリティの「WAP/WAP2-PSK」に設定し、家族や知人用接続と自分のPCの接続を切り分けて運用する、あるいは、どちらか一方を暗号化なしにして仲間用の簡易無線LANスポットとして一時的に解放する、といった応用方法もアリだろう。
少し進んだ使い方として、DHCP設定のまま指定したデバイスだけを固定IPアドレスに指定できる「IPアドレス固定割り当て機能」もけっこう便利だ。
これは特定のMACアドレスの端末に決まったIPアドレスを割り振る機能。本来は主にLAN内にWebサーバなどを設置する場合に用いるものだが、モバイル環境の個人ユーザーが応用してもよい。例えば、iPhone/iPod touchやiPadユーザー。無線LANを用いたファイル転送機能を備えたiPhoneアプリにおいて、家庭内で使うIPアドレスを固定しておけば、毎回IPアドレスを確認して設定する手間が不要になったりする。
もちろんブロードバンドルータとしての基本的な機能もおおむね備えている。LAN側のIPアドレス/ネットマスクの変更、DHCPによるIPアドレス割り当て範囲の変更、ポートマッピング(ポートフォワード)、UPnPのオン/オフ、IPCSecパススルーのオン/オフなどは普通に設定可能だ。インターネット側への通信が一定時間発生しない場合に自動で電源をオフにする機能も搭載する。
冒頭でも触れたが、WM3300Rは無線LANデバイスの接続台数に明示的な制限がない。もちろん100台もの無線LANデバイスを接続して使用するのは現実的ではないが、ほかのモバイル無線LANルータが5台程度の接続制限があることと比較すると便利な場合も多い。
昨今、ちょっと知人が集まるとPCやスマートフォン、携帯ゲーム機などで合計6台以上の無線LANデバイスがそろってしまうこともざらだ。通信速度が限られる3Gデータ通信と違い、普段も下り数十Mbpsと高速に通信できるポテンシャルがあるモバイルWiMAXなら、接続台数に制限がない点はことさら大きな魅力の1つになる。
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