エルザジャパンが“オーバークロックモデル”を出した「わけ」(1/2 ページ)

» 2010年08月27日 17時15分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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「オーバークロックモデルは出さない」といっていたが

エルザジャパンが立ち上げた新ブランド「AXERIZE」の第1弾モデルとして登場したのが「ELSA AXERIZE GTX 460」だ

 エルザジャパンが立ち上げた新しいブランド「AXERIZE」がオーバークロックに特化したラインアップをそろえると聞いて、以前からエルザジャパンを知るユーザーの多くが「大変驚いた」という。

 エルザジャパンの製品は、コンテンツ製作現場やワークステーション向けの市場でも実績を積んでおり、その信頼性と安定性はコンシューマーのPCユーザーだけでなく、プロユースユーザーからも支持されていた。それだけに、「エルザのオーバークロックモデル」を期待する声は、“かなり”前からあった。

 多くのPCパーツベンダーが、グラフィックスカードのラインアップに、定格より高い動作クロックを設定した“オーバークロックモデル”を競うようにリリースして、ベンチマークテストでより高いスコアをたたき出す速さと、使いやすいオーバークロックユーティリティなどで差別化を図っていたときでも、エルザジャパンは、“かたくなに”定格動作のモデルを投入しつづけた。

 そのエルザジャパンが「オーバークロックに特化したブランド」を立ち上げるというのだから、「ええっ、社内で何かあったんすか? 」と、いろいろと余計な方向に想像してしまうのは無理もないことだ。

 いったい何があったのか。そういう、単純な思いだけで、エルザジャパンに取材を申し込んだ。対応したエルザジャパンの担当者は、日本のリテール市場における製品企画とプロモーションを担当する同社営業部課長代理の原田慎也氏と、コンシューマーに限らず、TeslaやQuadroといったあらゆる製品のプロモーションを担当する同社 技術部 製品企画の神能光範氏だ。

左はエルザジャパン 技術部 製品企画の神能光範氏。右が同じくエルザジャパン 営業部 課長代理の原田慎也氏

「2年保証」がエルザジャパンの製品である条件

──だいぶ前になりますが、エルザジャパンに「オーバークロックモデルは出さないのですか」と質問したとき、「ユーザーに製品の品質を保証することが重要で、それゆえ、オーバークロックモデルは出さない」と回答していただきました。そのエルザジャパンが、なぜ、オーバークロックに特化したブランドを立ち上げたのですか

原田慎也氏(以下、敬称略) 状況の変化というのは確かにあります。特にGeForce GTX 460は、NVIDIAもオーバークロックを推奨しているGPUです。ただ、エルザジャパンとしては、以前からオーバークロック設定をしても、これまでの製品で行ってきた「2年保証」が実現できれば、製品として出せると考えていました。ようやく、エルザジャパンが求める品質でオーバークロックモデルが出せる状況になったということです。

──とはいえ、ほかのグラフィックスカードベンダーが、オーバークロックモデルをどんどん投入する状況では、エルザジャパンもオーバークロックモデルを出したかったのでは?

神能光範氏(以下、敬称略) 技術部門としては、確かに、もっと前から出したかったですね。

原田 営業としては売れるものであれば何でも出したいです。でも、それでもやらなかったのは、エルザジャパンの最も重要な特徴である「動作の保証」ができなかったからです。エルザジャパンで検証して2年間の動作保証ができると評価できたGPUがなかったので、オーバークロックモデルも出さなかったのです。

エルザジャパンの自己同一性という「2年間保証」が実現できない製品は出さない。これまで、同社がオーバークロックモデルを出さなかった理由もそこにあった

──ユーザーからオーバークロックモデルを求める声はだいぶ前からあったと聞いていますが。

原田 そのリクエストもユーザーからのフィードバックとして認識していました。しかし、エルザジャパンの方針として、2年間の動作保証ができない製品は出荷できません。そういう製品を出してしまったらエルザジャパンではなくなってしまいます。

神能 皆さんに注意していただきたいのは、エルザジャパンは、「AXERIZE」を「オーバークロックができるモデルのブランド」と考えていないことです。NVIDIAが推奨するリファレンスの動作クロックではなく、エルザジャパンが検証を行い、動作が保証できる独自のクロックを設定したモデルのためのブランドです。だから、ほかのグラフィックスカードベンダーがオーバークロックモデルに付属させている「オーバークロックユーティリティ」を、AXERIZEでは提供していません。

原田 オーバークロック設定で、エルザジャパンが求める2年間の動作保証を実現できたという意味で、GeForce GTX 460の登場は、AXERIZEブランドの立ち上げに大きな意味を持っていました。エルザジャパンが求める条件を満たすGPUでないと、AXERIZEのブランドとしてはモデルを登場させることはこれからもないでしょう。

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