過去最高益とジョブズ氏の不在――Appleのこれから林信行はどう見る?(2/3 ページ)

» 2011年01月21日 15時26分 公開
[林信行,ITmedia]

止まらないiPhone、iPad、Macの勢い

2010年1月のイベントでiPadを発表するジョブズCEO

 これ以外の製品についても駆け足で見てみよう。まずは3カ月で733万台を出荷したiPadから。iPadについては、7型液晶を搭載したGalaxy Tabなどが、競合を唱っているが、Galaxy Tabの全世界での販売台数は最初の1カ月で60万台と発表されている。この数字は、最初の1カ月でしかも米国市場でしか発売していないにも関わらず100万台を売り、現在、世界で月平均244万台を売っているiPadには及ばず、ライバルとまで呼ぶことができない。

 2011年、海外はもちろん、日本でも多くの企業がこのiPadの大量導入を計画しており、米国では電子書籍サービスのiBooksに続いて、メディア王、ルーパート・マードック氏のニューズコープとともに、Appleも関わる電子雑誌の取り組みが発表されると期待されている。

 次のiPhoneも、スマートフォンだけでなく、携帯電話市場全体を見渡しても敵がいない状態だ。Appleはこの3カ月間に1624万台のiPhoneを出荷したが、これがどれだけの数だかお分かりだろうか。

 MM総研が発表した2010年の携帯電話国内総出荷予想台数は3410万台だ。つまり、Appleはわずか3カ月で、日本で1年間に販売される携帯電話の半分と同じ数のiPhoneを売ってしまったことになる。わずか半年で日本のメーカーすべてをあわせた台数よりも多くの端末を売る計算だ。

 ちなみに日本の3410万台を、細かく見てみると、これは1機種でなしえた数字ではない。日本のキャリアからは春夏モデル、秋冬モデルともに20〜30モデル発表されることを考えると、最低でも150機種近くが分け合っている市場となるが、その中で最も売れている端末は「iPhone 4」である。ガ−トナーの予想では、日本のiPhoneの台数は世界の6%ほどということなので、その通りであれば3410万台の300〜400万台がiPhoneということになる。

 ほかのメーカーは、携帯電話を何機種も出して1社でさまざまなニーズに応えようとするが、Appleは同社が考える最良の製品を追求し、ベストと思える製品を作ったからには、それが最大限に売れるように全力を尽くす会社だ。

 実際、驚異的な台数を販売しているiPhoneも、ほとんどはiPhone 4、わずかにiPhone 3GSという、たった2機種ほどで成り立っている数字となっており、圧倒的にビジネス効率が高い(携帯電話の端末というのは1台作れば、その分だけ研究開発費もかかり、製造コストもかかる。ハードとソフトの開発費も端末ごとにそれなりにかかり、ラインアップが多くなるほど、ビジネスとしての効率は悪くなる。メーカーによっては3つのキャリアに、それぞれ3モデルくらいずつ端末を開発して提供しているところもある)。

 Asymco.comが行った調査では、世界の携帯電話出荷台数のシェアでは、Appleは6位にとどまっているが、少ない機種で効率的にビジネスを行っているおかげで、携帯電話メーカー全体があげている利益の半分ほどがAppleの利益という結果も出ている(ノキアなどの他社は、利益の薄い発展途上国向け端末などに力を入れていることもあるのだろう)。もはや、iPhoneはほかの誰にも勢いを止めることのできない製品になってしまっている。

 その一方で、Macもそれなりに値の張るPCでありながら、前年同期比で23%増の413万台が出荷された。特にMacBook Proが好調で、ノート型Macの販売台数は前年同期比で34%伸びたという。AppleはiPadを発表した2010年1月の発表会で、自らをモバイル・デバイスの会社と唱ったが、同社の原点であるMacでもその転身を果たした形だ。

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