企業でのファイルサーバの利用状況は、よほど先進的な取り組みをしているところでもなければ、たいていは同じようなソリューションになっているようだ。ActiveDirectoryサーバを認証サーバとして用い、ファイルサーバとして複数のHDDを内蔵したタワー側のWindowsサーバを導入する。しかし、ファイルサーバの容量に悩まされているところも多い。
現在は2TバイトのHDDでさえ6000円台で購入できる。そのため、クライアントとなるPCがテラ単位のローカルディスクを搭載していることが多いものの、ファイルサーバにはせいぜい数百Gバイト〜1Tバイト程度しか搭載されていないことが珍しくない。定期的に「ファイルサーバの空き容量が少なくなってきたので不要なファイルは削除してください」と管理者から案内される、という企業や部門も多いのではないだろうか。だが、担当者が退職してしまえば、何が不要なファイルなのかを判断することも難しい。
ファイルサーバのディスク容量が小さい原因としては、耐用年数を5年としてサーバ本体とディスクをセットで導入するケースが多く、途中で容量増加を目的としたHDDって元々の交換や増設をあまり行わないことが挙げられる。
ちなみに5年前の3.5型SATAドライブは250Gバイトで1万2000円程度、最大容量の500Gバイトモデルでは3万8000円程度だった。ディスクだけを交換すれば比較的安価に容量を増やすことができるものの、それによってサーバ自体の保証が切れてしまうために簡単には踏み切れない。上司から「故障したときは誰が責任をとるんだ?」といわれればたいていの担当者は躊躇(ちゅうちょ)してしまうだろう。
一方、QNAP TurboNASはNASキットであり、ディスクレスシステムとして販売されている。そのため、HDDを交換することで保証がなくなるということはない。HDDのバイト単価の下落速度を考えると、本体は5年使ってもHDDは消耗品だと割り切り、もっと短いスパンで交換することを考慮すべきだろう。同社のWebサイトには動作確認できた製品の一覧が掲載されているので参考にするといい。
サーバ製品などでは、保守契約を結んでいなければ修理すら受け付けてもらえなかったり、保守契約を継続せずに故障してしまった場合は、契約が切れた日にさかのぼって再契約をしなければならないこともあるが、TurboNASの保証はコンシューマ製品と同様の形態になっており、無償対応を行う保証期間が1年間、その後も製品のサポート期間内であれば有償対応が可能だ。
ファイルサーバを利用するクライアントはWindowsが大半を占めると思われるが、すべてがWindowsというところよりも、Mac、場合によってはLinuxとの混在環境になっていることのほうが多いだろう。そのため、同一の共有フォルダを複数のOSからアクセスできるようになっていることが望ましい。
TurboNASでは同じ共有フォルダをWindows(CIFS)、Mac(AFP)、Linux(NFS)向けに共有することができるため、マルチOS環境でも等しくサービスを提供することができる。Windows向けにはActiveDirectoryの利用も可能だ。そのほかにもWebDAV、Time Machine、iSCSIなどに対応しており、社内のさまざまなストレージを集約し、一元管理できるようになる。
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