バッテリー残量を気にせず使えるモバイルサブ機――「Pavillion dm1-3000」を試すSSD搭載の11.6型モバイルPC(1/2 ページ)

» 2011年04月07日 09時34分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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HP Pavillion dm1-3000 Notebook PC

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)から登場した「HP Pavillion dm1-3000 Notebook PC」(以下、dm1-3000)は、CPUにAMDのFusion APU「AMD E-350」を採用した11.6型液晶搭載モバイルノートPCだ。

 AMD E-350は、低価格で低消費電力にもかかわらず、Windows 7での日常操作や動画再生などを行うのに十分な性能と機能を備えている。また、dm1-3000の店頭モデルは5万9800円、128GバイトのSSDを搭載した直販モデルも7万9800円と非常にリーズナブルな価格設定だ。実際の性能や使い勝手、仕上がりはどうか。しっかり検証していこう。

ジャストA4サイズボディで、約10.75時間の長時間駆動

 A4ジャストサイズクラスのコンパクトなボディは、手前側に向かって絞り込みつつ、滑らかな曲線で構成したエレガントなフォルムを描く。チタンに近い落ち着きのあるシルバーとブラックのツートーンカラーで構成している。

 ブラックの天面部には独自のフィルム転写技術「HP Imprint」によって幾何学パターン(ZEN-design)をインプリントしている。半光沢のような仕上げだが、それほどベタつく印象はなく、指紋も比較的目立ちにくい。

 ボディの具体的なサイズは、292(幅)×216(奥行き)×22〜32(高さ)ミリ、重量は約1.52キログラムとなっている。少し奥行きが長目ではあるが、11.6型液晶ディスプレイを搭載した低価格モバイルノートPCとしては、標準的なサイズと重量といえる。日本HPの製品らしく、ボディはタイトに組まれており、しっかりとした剛性感がある点も好印象だ。

 背面部に搭載しているリチウムイオンバッテリーの容量は約50ワットアワー(10.8V/4700mAh)で、公称約10.75時間と長時間の駆動を可能にしている。付属のACアダプタのサイズは実測値で44(幅)×106(奥行き)×30(高さ)ミリ、ケーブル込みの重量は357グラムだ。ケーブルが3ピンで重くかさばるが、ケーブルの代わりに利用できるウォールマウントプラグも付属しており、これを利用すれば重量は294グラム(実測値)に収まる。

天面にはおなじみの「HP Imprint」で幾何学パターンがプリントされている(写真=左)。曲線で構成されたボディデザイン(写真=中央)。付属のACアダプタは、モバイルPC用としてはやや大きめだ(写真=右)

Fusion APUの省電力プラットフォーム(Brazos)を採用

 基本システムには薄型軽量ノートPC向けのFusion APUプラットフォーム(開発コードネーム:Brazos)を採用している。AMDではCPUコアとGPUコアを集積したプロセッサを「Fusion APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んでおり、その第1弾ラインアップとして、薄型軽量ノートPCまたは小型デスクトップ向けのAMD Eシリーズ(開発コードネーム:Zacate)と、携帯端末向けのAMD Cシリーズ(開発コードネーム:Ontario)を2011年の1月に発表している。

 dm1-3000のCPU(APU)はAMD E-350(1.6GHz)だ。AMD Eシリーズの上位モデルにあたり、現行のFusion APUシステムではほぼすべてこれを採用している。CPUとしてはデュアルコアで、動作クロックは1.6GHz、2次キャッシュ容量は1Mバイト(512Kバイト×2)。内蔵GPUコアの「Radeon HD 6310」はDirectX 11に対応しており、MPEG-4 AVCやVC1に加えて、Blu-ray 3Dで利用されているMPEG-4 MVCのハードウェアデコードにも対応したビデオエンジン「UVD3」を搭載する。動画再生を少ないCPU負荷で快適に楽しめるのが特徴だ。なお、TDPは(CPUコア/GPUコアを含むAPU全体で)18ワットになる。

CPUにはAMD E-350を採用する。基本動作クロック1.6GHzのデュアルコアCPUで、省電力機能のPowerNow!により、アイドル〜低負荷時には動作クロックを下げて消費電力を節約する(画面=左/中央)。AMD E-350はGPUコアとして「Radeon HD 6310」を内蔵している。DirectX 11対応で、カジュアルゲームなら十分楽しめるだけの3D描画性能を持つ。高機能な動画再生支援機能「UVD3」を搭載しており、Youtubeやニコニコ動画、AVCHDムービー、Blu-ray Discタイトルなど、さまざまな動画を快適に楽しめる(画面=右)

128GバイトのSSDを標準で搭載

直販モデルは128GバイトのSSDを搭載する。評価機にはMicronの高速SSD「RealSSD C300」が搭載されていた

 そのほかのスペックでは、データストレージに128GバイトのSSDを標準で採用している点が特筆できる。HDDと比べてランダムアクセスが非常に高速なため、OSやアプリケーションの起動や操作の反応が速いうえ、データアクセスの際に機械動作がないため静音性にも優れており、快適に作業できる。動作中に衝撃や振動が加わってもクラッシュの心配が少ない点もモバイル機としては大きなメリットだ。

 なお、評価機ではMicronのRealSSD C300が搭載されていた。いちはやくSerial ATA 6Gbpsに対応した高速SSDとして人気の高い製品だ。ただ、本製品は3Gbpsで接続されているようである。性能などは後ほどベンチマークテストで検証する。

 チップセットはAMD A50Mを採用。メインメモリはPC3-8500 SO-DIMMに対応し、2Gバイト(2Gバイト×1枚)か4Gバイト(2Gバイト×2枚)が選べる。なお、メモリスロットと2.5インチストレージベイは底面のカバー内にあり、底面のカバーはバッテリーを外した後に工具なしで簡単に開けることができる。このメンテナンス性のよさはありがたい。

 通信機能は1000BASE-T対応の有線LAN、IEEE802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth 3.0に対応する。左右両側面に合計3基のUSB 2.0、SDメモリーカードスロット(SDXC/SDHC/MMC対応)、アナログRGB出力、HDMI出力などを備える。液晶ベゼル上部には有効30万画素のWebカメラも装備する。

本体左側面(写真=左)と右側面(写真=中央)。液晶上部にWebカメラを内蔵する(写真=右)

 最新の据え置き型ノートPCなどと比べるとUSB 3.0に対応しない点などで見劣るが、通信機能も含めてモバイル機としては実用十分な装備といえる。プリインストールOSは、64ビット版のWindows 7 Home Premiumを導入している。ちなみに、量販店向けモデルでは標準のメモリ容量が4Gバイト(2Gバイト×2)と増える一方、データストレージには500Gバイトの2.5インチHDD(7200rpm)を搭載している。

液晶ディスプレイ、キーボードの品質も水準以上

 液晶ディスプレイのサイズは11.6型、画面の表示解像度は1366×768ドットに対応する。LEDバックライトを採用しており、表面は光沢仕上げされている。光沢仕上げのため多少映り込みはあるが、明るく鮮やかな表示で輝度も十分にある。

 視野角は広いとはいえず、特に上下はやや狭いと感じた。もっとも、階調の粗さも感じられず、このクラスの製品としては表示品質はよい部類に入るだろう。ヒンジの角度は180度近くまで開き、ほかの人に見せたい時などにも対応できる。

 キーボードは、HPが「浮き石型」と表現するアイソレーションタイプを採用している。標準的な6段配列でキーの並びに関しては特にクセはない。キーピッチは主要キーで19×19ミリ、スペースキー、Enterキーも大きめに確保されていて打ちやすい。ただ、カーソルの上下キーはサイズが約13ミリ×約8ミリと、特に縦サイズが小さく、この部分だけは少し窮屈な感じはある。

 キーボードユニットの固定はしっかりしていて、少し強めにタイプしてもたわむような感覚はない。キーのスイッチは若干反発が強めの印象だが、特に長時間タイピングを行う用途でもない限りは気にするまでもないと思われる。

 なお、最上段のキーは、ファンクションキーと輝度調整やメディア操作キーを兼ねており、標準では後者が優先になっているため、ファンクションキーを使いたい場合は「Fn」キーとの同時押しをする必要がある。この設定はBIOSで変更することができる。

 キーボードの手前にはポインティングデバイスとして左右2ボタンとパッドを一体化したクリックパッドを搭載している。Synaptics製のドライバが導入されており、2本指でのスクロールや2本指の開閉によるズーム機能などのマルチタッチジェスチャー機能が利用できる。パッド面積が小さく(84×50ミリ)、ボタンスイッチのストロークもやや浅めなので少し慣れが必要な感じはある。なお、クリックパッドはパッド左上をダブルクリックするとLEDが赤に点灯して機能が無効になる。

液晶ディスプレイの解像度は1366×768ドットに対応する。オリジナルの壁紙のほか、アイコンの配置などをカスタマイズすることができるStardockのデスクトップ拡張ユーティリティ「Fence Pro」をプリインストールしている(画面=左/中央)。ポインティングデバイスとしては、左右2ボタンとパッドを一体化したクリックパッドを搭載。マルチタッチジェスチャーに対応したSynaptics製のドライバが導入されている。使用する機能はユーティリティでカスタマイズできる(画面=右)

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