最後にベンチマークテストを実施した。まず注目したいのはMicronのRealSSD C300を採用しているSSDのパフォーマンスだ。CrystalDiskMarkの結果を見ると、シーケンシャルリードのスコアが244.4Mバイト/秒となっている。これは十分に高速であるが、このSSDとしては物足りなく、Serial ATA 6Gbpsではなく3Gbpsで接続されているようなスコアである。CrystalDiskInfoで確認してみると、やはり3Gbps(SATA/300と表示)動作のようだ。
A50MチップセットはSerial ATA 6Gbpsに対応しているはずが、消費電力など考慮して3Gbps動作させているのだろう。もっとも、SSDの快適な操作感はシーケンシャルではなくランダムアクセスの部分が大きいため、3Gbps接続だったとしても操作感に与える影響はごくわずかである。
スコア自体は通常の2.5インチHDDと比べて非常に優秀であり、シーケンシャルリードでは2.5インチHDDの3〜4倍、ランダムリードでは最大135倍、ランダムライトでは最大120倍の差がある。Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコアでも、プリマリHDDのサブスコアで7.7をマークしているようにSSDの速さを確認できる。
性能テストの結果は、ストレージに関する項目以外はFusion APU(AMD E-350+A50M)搭載機として標準的なものだが、PCMarkVantageなどはHDD性能を見るHDD Test Suites以外の項目でもストレージアクセスを行うテスト内容が意外に多く含まれており、全体的にスコアがアップしている。総合スコア(PCMark)では同じくAMD E-350とA50Mの組み合わせを採用しているHDD搭載機と比べて約1.6倍ほどよいスコアになっている。体感でも操作感の違いははっきり確認できた。ちなみに、YoutubeのHQ動画のフルスクリーン再生中のCPU使用率は、360pで35パーセント前後、720pで55パーセント前後だった。
バッテリー駆動時間のテストは、bbench1.01(海人氏・作)で行った。無線LANで常時接続し、設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」。電源プランはデフォルトの「HP推奨」だが、ディスプレイ輝度の設定が高く設定されていたので、ディスプレイの輝度は40%へ下げて行なっている(モバイル機のテストでは一般的な設定)。
WebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット)を指定している。結果は7時48分経過後に休止状態に移行した(バッテリー残量5%表示)。公称の10.75時間には及ばないものの、これだけ長い駆動時間はモバイル機として心強い限りだ。
静音性はまずまず、アイドル〜低負荷時は静かな部屋ではファンの音が聞こえるのが分かるという程度だが、CPUコアやGPUコアに強い負荷がかかると早い段階でそれなりに大きな音がするようになる。ただ、音が大きくなったり小さくなったりはしないため、さほど煩わしい印象はない。一方、発熱の処理は優秀だ。室温が18度と低い環境ではあったが、PCMark05、3DMark06と連続して実行した後でもボディに30度を超える部分はなく、表面の手が触れるパームレストなどは暖かいという感覚もないくらいであった。
dm1-3000の直販価格は7万9800円だ。数字だけ見ればそれほど安いというイメージは強くないかもしれないが、128GバイトのSSDを搭載し、快適な使用感を実現していることを考えれば、コストパフォーマンスは非常に高い。
Windows 7の基本操作、動画鑑賞ともにストレスなく行えるパフォーマンスと、実測で8時間近いバッテリー駆動を実現しているだけでなく、低価格なモデルでは手を抜きがちな液晶ディスプレイやキーボードにも大きな欠点もない。動作音や発熱の処理も含めて、非常に完成度が高い仕上がりだ。
あえて弱点を指摘すればACアダプタの携帯性に多少難がある点だが、実測で8時間近いバッテリー駆動が可能であれば、わざわざ携帯する場面も少ないと思われる。メンテナンス性がよく、メモリやHDDの増設/交換がしやすい点もポイントだ。
本製品の性能、機能があれば、Webブラウズ、メール、ブログやツイッター、動画鑑賞、あるいはビジネスアプリケーションの操作、息抜きにちょっとしたゲームなど、ひととおりの用途は快適にこなせる。すでにPCを持っている人のモバイル用のサブ機として、Netbookからのステップアップとして最適な製品であると同時に、これから新入社、新入学、新学期といったシーズンを迎え、はじめてPCを購入しようとしている方にもおすすめできる製品だ。
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