“先進的なGarage”に都内オフィスを統合する日本HP元麻布春男のWatchTower(1/3 ページ)

» 2011年02月21日 18時15分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

日本HPの新本社ビルが完成、5月16日に開所

日本HPの新本社ビル「HP Garage Tokyo」は、地上9階建ての自社ビル

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、東京都江東区大島に新本社ビルを建設し、本社の移転を行う。同社には、東京都内だけで、市ヶ谷本社、荻窪事業所、高井戸事業所、新宿事業所、八王子事業所、昭島事業所の6拠点が存在する。新本社が完成すると、市ヶ谷、荻窪、高井戸、新宿の4拠点がここに集約され、正社員、契約社員、派遣社員を含めて約6500人ほどが勤務することになる。

 ちなみに、カスタマサポートやバックオフィス機能がある八王子事業所と、デスクトップPCやサーバの組み立てラインが存在する昭島事業所は、新本社完成後も現在の体制が維持される。

 新本社ビルは2011年2月2日に竣工(しゅんこう)し、現在は内装や各種設備機器類の設置などの仕上げを行っているところ。引っ越しは3月からスタートし、5月のゴールデンウィークを利用しながら、5月中に完了する予定だ。5月16日に開所式を行なう。

都内に分散していたオフィスを統合(写真=左)。新本社ビルの概要(写真=中央/右)

新本社は横十間川に面している。入口前の道路幅を6メートルから20メートルに拡張するという都の計画により、敷地面積は2万平方メートルを少し下回った

 横十間川に面した新本社は、地下鉄の住吉駅(東京メトロ半蔵門線、都営新宿線)から徒歩5分ほど。東京スカイツリーが間近に見える新社屋の近くには、貯木場跡を利用した猿江恩賜公園もある。日本アイ・ビー・エムの本社がある水天宮前駅からは、半蔵門線で2駅の距離だ。

 駐車場や庭を含めた総敷地面積は1万9123.60平方メートルで、東京ドーム約1.5個分の広さということになる。もともとはJXグループのNIPPO(旧社名:日本鋪道)が所有する土地に、日本HPの注文によりビルを建設、土地ごと日本HPが買い上げる、という形をとった。建物の特徴は、フロアあたりの床面積が広いことで、基準階面積は約100×55メートルと、ほぼサッカーコートの広さを確保している。オフィスビルとしては、都内最大級だという。天井高も多くの場所で2.9メートルと高く、窮屈さを感じない。

 このサッカーコート並みのフロアの中央に吹き抜けがあり、その周囲に給湯室やトイレ、エレベーターを集約、柱を外部柱とすることで、オフィススペースには柱や構造壁のない、広々とした空間を作り出している。中央部の吹き抜けを自然採光と自然換気に用いることで、CO2排出量を約40%削減した。男性用は「伊勢丹」風、女性用は「高島屋」風のデザインというトイレも、通常のウォシュレットよりCO2削減効果の高いウォシュレット アプリコットを採用している。

 オフィスビルとしてユニークなのは、オフィススペースの外周をぐるりとバルコニーが囲っていること。バルコニーの床となる庇(ひさし)部分を多目的に利用している。西側のバルコニーはリフレッシュスペースになっており、見学時はまだ設置されていなかったが、将来的にはベンチなどを置く予定だという。庇の内部は空調設置やダクトスペースとしても利用される。北、南、東のバルコニーはいずれもメンテナンスバルコニーという位置付けで、外部柱のスペースであると同時に、近隣への視線制御に配慮した。バルコニーには直射日光を遮る役割もある。

新本社ビルのコンセプト(写真=左)。都内最大級の基準床面積を確保(写真=右)

吹き抜けや庇(ひさし)などにより、CO2排出を約40%削減した(写真=左)。庇の多機能化・多目的利用(写真=中央)。吹き抜けが社内コミュニケーションを触発するという(写真=右)

上層階から抜き抜けを下に向かって見た様子(写真=左)。各フロアの端は凹凸のようになっていて、上層階から誤って物を落としても、1階まで転落しないで途中で落ちるよう工夫したという。1階から吹き上げを見上げた様子(写真=中央)。ガラス張りの天井まで抜き抜けになっており、自然採光でビル内を照らす(写真=右)

西側のバルコニーからは猿江恩賜公園を一望できる(写真=左)。北側のバルコニーから東京スカイツリーを望む(写真=中央)。東側のバルコニーから庭を見下ろす(写真=右)

1階の庭にはしだれ桜などがあり、近隣への視線に配慮している(写真=左)。吹き抜けの周辺に配置してある男性用のトイレ(写真=中央)と女性用のトイレ(写真=右)は雰囲気が大きく違う

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