ここまで見てきたように、第3世代インテルCoreプロセッサー・ファミリーがユーザーに与えるメリットは、CPUの省電力性能やグラフィックス関連性能の向上ばかりではない。新世代のCPUにあわせて登場したIntel 7シリーズチップセッとの組み合わせで実現する新しいプラットフォームも、システムの使い勝手を向上させる上で、重要な役割を担う。
「Intel Z77 Express」を最上位モデルとするIntel 7シリーズチップセットでは、USB 3.0インタフェースをチップセットに統合した。さらに、最新の外付けインタフェースとして注目されている「Thunderbolt」(サンダーボルト)を本格的にサポートすることも見逃せない。
最大5Gbpsの転送速度を実現するUSB 3.0は、すでに秋葉原などのショップで販売されている多くのマザーボードでサポートしている。しかし、Intel 7シリーズチップセットでは、PCH(Platform Controller Hub)にUSB 3.0インタフェースを統合したことで、これまでのマザーボードで主流の“PCI Expressに接続した外部コントローラを使った場合”よりも性能が向上している。
これは、外部コントローラを利用した場合、USBデバイスがCPUやメモリアクセスするときに、チップセットがそのタイミングを調整する必要が生じるが、USB 3.0コントローラをPCHに統合したことで、この調整にかかる遅延を少なくできたことが関係しているといえるだろう。チップセットへの統合によって、USB 2.0の480Mbpsに対して約10倍の10GbpsというUSB 3.0の転送速度を生かして、外付けストレージへのデータバックアップなども、ストレスなく実行できる。
一方、Thunderboltは2011年3月に発表したインテル独自に開発した外部インタフェースだ。この規格は、アップルのMacBook Proに採用されたのを皮切りに、最近では高性能ノートPCやUltrabookの上位モデルでも搭載する製品が増えている。
Thunderboltは、DisplayPortのミニコネクタを介して、DisplayPort 1.1a準拠のディスプレイ出力と、PCI Express 2.0 x2を2レーン同時に転送できるようにしたものだ。Thunderboltでは、1チャネルあたり10GbpsとUSB 3.0に対して約2倍の速さを発揮するインタフェースを2系統備えるほか、最大10ワットの電源供給もサポートする。
また、Thunderboltでは、1つのコネクタから最大7基のデバイスを数珠つなぎで接続できるデイジーチェーン出力をサポートしており、1つのコネクタから、HDDやディスプレイなどを同時に接続できるのも特徴だ。ただし、このデイジーチェーン接続を利用する場合は、Thunderbolt対応のデバイス側もコネクタを2基搭載して、次のデバイスにもThunderboltインタフェースを橋渡しできる必要がある。
Thunderboltの採用がユーザーにもたらすのは、性能向上だけではない。この規格は、PCI Express 2.0をベースとしているため、ドライバなどの対応も容易で、ストレージ以外にも、グラフィックスカードやネットワークカードなども外付けで利用できる。このおかげでThunderbolt対応の周辺機器は幅広いカテゴリーで製品の展開が期待できる。例えば、MSIはThunderboltを利用して、PCI Express 2.0 x2接続の外付けグラフィックスカードアダプタ「GUS II」の開発を進めており、ノートPCだけでなく、省スペースデスクトップPCや液晶一体型PCのグラフィックス機能をアップグレードできる周辺機器として期待している。
また、OCZ TechnologyもThunderbolt対応のSSD「Lightfoot」を2012年半ばに市場に投入する計画を2012年1月に明らかにしている。Lightfootでは、Serial ATA 6Gbps対応のSSDを上回る性能がコンパクトな外付けデバイスで実現できるという。
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提供:インテル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2012年6月30日