データベースを閲覧するときは、画面右下の三角ボタンでページを送るか、中央下のスライダーで一気に移動する。リスト表示に変更するときは、画面左上の表形式アイコンをタップする。たったこれだけの操作を覚えれば、基本的には使えてしまう。データを入力してまとまって閲覧したいだけのシンプルな用途には、これ以上なくピタリと当てはまるはずだ。
もちろん必要なフィールドやオブジェクトがなければ、右上の鉛筆アイコンをタップして追加できる。使わないフィールドを消したり、ドラッグ&ドロップで広くして表示できる文字の数を増やすことも可能だ。自動で周囲のオブジェクトやフィールドと整列してくれるので、カスタマイズしてもデザインが狂いにくい。
また、自分に必要なテンプレートが見当たらなければ、アプリから直接「Bentoテンプレートエクスチェンジ」のサイトにアクセスしてダウンロードすることもできる。ただ、古いバージョンのテンプレートは扱えないこともあるうえ、iPad未対応のBentoのテンプレートも公開されているので注意が必要だ。現状、Bentoテンプレートエクスチェンジは、iPad専用のテンプレートで絞り込めないので、そのあたりは改良してほしい。
フィールドで扱える情報も豊富だ。テキストや画像、動画、URLといった基本的なもののほか、住所、メールアドレス、電話番号、場所、チェックボックスも用意している。複数フィールドにまたがる数字を計算したり、レートで評価をつけたり、チェックボックスで完了を表すことも可能。入力時に複数の選択肢から選ばせるようにしたいときは、選択メニューや簡易リストを使うといい。
データベースどうしを結びつけたいときは、関連フィールドを利用しよう。例えば、お得意様の住所録に取引履歴のデータベースを表示する際などで役立つ。データベースが巨大になっていった場合には、閲覧用に「コレクション」を作っておくといい。iTunesのプレイリストに相当するもので、例えば、連絡帳のうち社内のものを抽出しておくといった用途に便利だ。
Bento 4 for iPadはそのままで十分独立して使えるが、Mac版のBentoで作ったデータベースと同期することもできる。ただ、完全互換なわけではなく、スマートコレクションなど機能はMac版のBentoにしかない。また、Mac版で作ったデータベースのうち、アドレスブック/iCal/iPhotoと連動させたフィールドや、自動カウンタフィールドなどはiPad版で表示されないし、10Mバイト以上のファイルを登録しているフィールドも同期できないので注意。
運用方法として、テキスト主体のデータベースなら、フィールドのカスタマイズや入力はキーボードを使えるMacにまかせて、iPadでは閲覧に徹する、という使い方ができるだろう。iPadのみでデータベースを運用して、そのバックアップとしてMacとの同期を活用するという手もある。
惜しむらくは、クラウドサービスに非対応という点だろう。アップルが提供するクラウドサービス「iCloud」とオフィススイート「iWorks」(Pages、Numbers、Keynote)のように、昨今では作った書類をネット上に保存しておき、パソコンやタブレット、スマートフォンなど、複数の端末から扱えるアプリが多い。データをネット上にバックアップする意味も含めて、次回以降はぜひ対応してほしい。
Mac版のBento 4で加わった、宛名ラベルや値札タグの印刷に便利な「ラベル機能」も欲しいところ。ただ、わずか850円のアプリにどこまで複雑なことを求めるのか、という部分もあるので、この辺の用途はMac版との同期でカバーしていくのがいいのかもしれない。
というわけで、Bento 4 for iPadを見てきたが、ほとんどこれだけの説明で全体像を把握できてしまう。アプリはバージョンが進むと機能の多さで勝負しがちだが、Bento 4はそこをグッとこらえてシンプルに徹している。それだけに、PCが不得手な人でも簡単に扱えるのだ。iPadで使えるデータベースアプリとしては、まず最初に試してみるべき存在だろう。
個人的には、Mac版よりiPad版のほうが好みだ。というのも、フィールドのカスタマイズ画面でiPad版のほうがアイコンを多用している関係で分かりやすいし、指でドラッグ&ドロップできる点も、触っていて気持ちいい。7月31日までは新バージョン特価で450円に値下げしているので、是非いまのうちにゲットしておきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.