日本エイサーが発売した「ICONIA TAB A700」は、日本で初めて1920×1200ドット表示(WUXGA)に対応したAndroidタブレットだ。フルHD(1920×1080ドット)を超える10.1型のIPS液晶を内蔵し、デジタルサラウンド機能「ドルビーデジタルプラス」に対応するなど、高画質/高音質にこだわった構成を特徴とする。動画や電子書籍のビュワーという用途に特化した製品とも言えるだろう。
OSはAndroid 4.0をプリインストールし、CPUはTegra 3(1.3GHz)を搭載。容量3.7ボルト/9800ミリアンペアアワーのリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、720pのHD動画を約11時間連続で再生できるなど、ハイスペックな仕様も魅力的な1台だ。日本エイサーはこの製品のキャッチコピーを「ホームシアターの迫力を持ち歩こう」としているが、実際にユーザーにどんなメリットをもたらすのか、製品を使って考えてみる。
本体サイズと重量の公称値は、260(幅)×175(奥行き)×10.95(厚さ)ミリ、約665グラム。他社の10.1型Androidタブレットである「ARROWS Tab Wi-Fi」(約599グラム)や「LifeTouch L」(約540グラム)と比べると、10.1型クラスのAndroidタブレットとしてはやや重いといえる。
ただ、高解像度のRetinaディスプレイを搭載した「第3世代iPad」は9.7型で652グラム(Wi-Fiモデルの場合)とほぼICONIA TAB A700と同程度の重さだ。評価機の重量を測ったところ、672グラムとカタログ値よりもさらに重かった。もちろん片手で持てるが、長時間持ち続けるには少し厳しいと感じた。
カラーバリエーションは内蔵ストレージ容量の違いでブラック(32Gバイト)とシルバー(16Gバイト)の2色を用意する。評価機は32Gバイトのブラックモデルだ。本体背面は非光沢のマット仕上げで、指紋が目立ちにくいよう、表面に細かな凹凸を施している。本機を持つぶんには、凹凸を感じることはなく、サラサラとした感触があり心地よい。
インタフェースは(横置きにした状態で)左右側面に集中している。左側面には電源ボタンとヘッドフォン出力、右側面にはMicro HDMI出力とmicroSDカードスロット(SDHC対応、最大32Gバイトまで)を備えた。背面に500万画素、前面に100万画素のカメラを搭載しており、ビデオチャットなども快適に行える。
上面には音量調整ボタンと画面回転ロックスイッチを、下面には充電/データ転送用のMicro USB、ステレオスピーカーを配置している。通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LANのほか、Bluetooth 2.1+EDRを利用可能だ。なお、microSDカードスロットの左にSIMカード用のスロットがあるが、日本向けモデルでは埋められていて使用できない。センサー類は3軸加速度センサー、ジャイロセンサー、照度センサー、デジタルコンパス、GPSを搭載する。
ICONIA TAB A700の充電は本体のMicro USBポートを使う。付属のACアダプタは12ボルト/1.5アンペア出力タイプで、実際に充電するとバッテリー残量0%の状態から約4時間で満充電になった。USB充電には対応していないため、5ボルト/1アンペア出力などのスマートフォン用モバイルバッテリーでは充電できない。
本体内蔵のバッテリー容量は3.7ボルト/9800ミリアンペアアワーで、バッテリー動作時間の公称値はWebサイト閲覧時で約8時間、動画再生時(720p、MPEG-4 AVC/H.264)で約11時間だ。参考として、液晶ディスプレイの輝度を50%にし、無線LANを有効にしたまま動画(MPEG-4 AVC/H.264 High Profile、解像度1920×1080ドット)を連続再生したところ、約8時間で電源が切れた。高負荷の状態でこれだけ動けば、外で映画を見続けるといった使い方をしない限りはバッテリーの心配をする必要はなさそうだ。
動画再生中に、本体背面の表面温度を計測したところ(室温28.4度)、右側は31度ほどだったが、左側の上段が34.8度、左側の下段が37.2度となった。左端に近づくほど表面温度は高くなり、最高で38.8度の場所もあったが、これはちょうど右手で触れる部分にあたる(横置きの場合)。夏なので、通常より高めの室温であったものの、右手で持つ部分は熱くなりやすい。
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