では「LaVie Z」を早速仕事で活用することにする。
ひと昔前ならば、以前の環境から「使えるようにするまでのセットアップ」に時間がかかったり、自宅やオフィスのPCとモバイルPCなど複数台のマシンを使い分けするなら、同期・共有するファイルのひも付け・使い分けにあれこれ考えたりといったことが意外に大変だったが、昨今はクラウドサービスの普及でデータの同期にほとんど気を使わなくてよくなった。メイン+モバイル用と重い処理用PCとタブレット──などといった、複数マシンの使い分けを行ううえでの負担はグッと減っている。
一応、ローカルにインストールするアプリケーションのライセンスには制限があることもあるので(例えば、Office 2010のパッケージ版は1ライセンスで2台までのPCにインストールができる……など)、コストを考えると何台も併用マシンを増やせるわけではないが、クラウドサービスを活用すれば「タブレットやUltrabookを買っても、使いこなせるかどうか不安」という心理的ブレーキはかなり減るわけだ。
ま……このことが逆に物欲に任せてホイホイとモバイルPCやタブレットを増やしてしまう要因になっているのは事実だが。
さておき筆者の場合、必須といえるアプリケーションはかなり少なく、業務用にとりあえずOffice(WordとExcel)、そしてクラウドストレージサービスの「Dropbox」、日本語入力システムの「ATOK/ATOK Sync」、Webブラウザの「Google Chrome」あたりがあればなんとかなる。
Dropboxで仕事データを、ATOK Syncで日本語入力システムの辞書データを同期させれば、すぐに実用的な仕事モバイルPCとして実践投入可能になる。(容量が多いので)時間のかかる最初の同期だけ自宅で済ませておけば、あとは速度がそれほど期待できないこともあるモバイルデータ通信回線であっても、つながってさえいればさほど心配はない。それは逐次対応していくつもりだ。
さて、これまでクラウドストレージサービスはいろいろ試したが、筆者には機能がシンプルなDropboxがもっとも性に合っている。フォルダ単位で自動同期してくれて、変更履歴も自動で残してくれるし、デバイスごとに同期するフォルダを指定することも可能なため、ストレージ容量が少ないPCには容量の多い動画用フォルダは除外しつつ同期する──といった工夫もできる。というわけで、当面仕事に必要なファイルはすべてDropboxで同期させているので、今使っているPCを離れたとしても、すぐ別のPCでも仕事の続きができるようにしてあるというわけだ。もちろん、デスクトップに散らかしてあるファイルを同期指定しているフォルダに放り込むのを忘れなければ、だが。
日本語入力システムはジャストシステムのATOKを愛用している。こちら、ATOK Passportという月額300円のサービスを利用すると、Windows、Android、iOS機器それぞれ(同時利用しないという条件で)1ライセンスで10台までインストールできるうえ、ユーザー辞書データを同期し、共有できる「ATOK Sync」も使える。まさにクラウド時代にピッタリのソリューションだ。
ところで、NECの「LaVie」というブランド名は「L」と「V」が大文字で、その他が小文字。そのままでは入力がちょいと面倒だ。このため、筆者はATOK辞書に「らび」と打つと「LaVie」と出るようユーザー辞書に登録してある。そんないつも使う日本語入力環境とユーザー辞書データを同期できれば、どのPCを使っても文字入力のかしこさや使い勝手はほぼ同じになる──というわけだ。
一応、Dropboxのようなクラウドサービスにはリスクも伴う。なんらかのトラブルや過失でデータが消失したり漏えいしたりする可能性がゼロとはいえない。その可能性は認識したうえで、別途バックアップを作っておくなり、暗号化するなり、ローカルやプライベートなネットワーク内で管理するなり、データの重要度に応じて使い分けることは必要だ。このあたりは自己責任で利用していただきたい。
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