液晶ディスプレイの開閉機構は、ダブルヒンジを導入した。スライド式のコンバーチブルモデルとは異なり、その姿と仕組みはシンプルで、これが本体の薄型化と軽量化に貢献している。ヒンジのトルクはタッチ操作でディスプレイをつついても倒れることなく、ディスプレイを底面まで開く(感覚としては、ディスプレイと本体をバキッと“折る”に近い)のが、面倒に思うほど固くもなく、ちょうどいい強さに調整している。液晶ディスプレイを開いて天地が逆になったときの、画面回転も遅延なくユーザーを惑わすこともない。
コンバーチブルタイプの変形機構として、液晶ディスプレイを360度開くタイプは、機構がシンプルで故障も少なく、重量の増加を抑えることが可能であるとともに、変形操作が簡単で、クラムシェルスタイルからスレートスタイルへの移行、そして、スレートスタイルからクラムシェルスタイルへの移行など、面倒に思って使わなくなることもない。
ただ、スレートスタイルにしたとき、その形態で最も使いたい「立ったまま片手で本体を持って使う」には、1.5キロのIdeaPad Yoga 13は重い。実際、評価作業の期間において、スレートスタイルで使うのは、最初の1〜2日に数度あっただけで、あとは、スレートスタイルを必要と思うことはなかった。一方で、Windows 8のタッチ操作に“体が慣れる”につれて、スタンドモード、そして、外出するとテントモードの利用回数が格段に増えていった。スタンドモードもテントモードも、レノボ・ジャパンが訴求する「ユーザーの利用シーンに合わせて柔軟に形を変える」の意図通りにその威力を発揮している
本体に搭載するインタフェースは、左側面にHDMIとUSB 3.0、音量調整ボタンがあり、右側面にSDメモリーカードスロットとUSB 2.0、そして、角型の電源コネクタと画面回転ロックボタンを備える。正面にも左寄りにインジケータを内蔵した小さな電源ボタンを備える。IdeaPad Yoga 13の側面は、天板と底面パネルがややはみ出して側面が相対的に引っ込んだデザインなので、電源ボタンやSDメモリーカードスロットに挿入したメディアカードを取り出すときの押し込みは、意識して“深く”押さないとならない。特にメディアカードの取り出しは底面パネルに接しているだけにやりにくい。ここは、使い勝手よりデザインが優先してしまっている。
液晶ディスプレイのサイズは13.3型ワイドで解像度は1600×900ドットだ。同じサイズのUltrabookでは、最新モデルで1920×1080ドットの解像度を採用するモデルも増えてきた(より小型の11.6型ワイドの液晶ディスプレイでも解像度が1920×1080ドットを実現している)。ここは、価格設定と見やすいサイズのバランスで、1600×900ドットも妥当な仕様と思えるが、高解像度が何より重要というユーザーは、1920×1080ドットのモデルも希望したいところだろう。液晶ディスプレイには、10点同時押しに対応するタッチパネルを内蔵する。Windows 8 Proの導入で、クラムシェルスタイルのノートPCでもタッチ操作の存在意義が高まっているが、ユーザーも、Windows 8 Proを使っているうちに自然な流れで画面にタッチしていて驚いてしまったりする。体が慣れるというのはこういうことをいうのかもしれない。
キーボードは、アイソレーションタイプで6列配列だ。ThinkPadもいまやアイソレーションタイプの6列配列だが、IdeaPad Yoga 13では、ESCキーとDeleteキーの横幅はそのほかのキーと比べてやや広いものの、ThinkPadシリーズのキーほどの違いではなく、PrintScreenキーは右上にある。日本のユーザーは、Enterキーの右隣にもう1列キーがあることも難色を示すだろう。キーを押した感触は、同じUltrabookのThinkPad X1 Carbonと比べて、薄く、そして、平たく感じる。ただ、これは、ThinkPad X1 CarbonのキーボードがUltrabookとしては突出して優れているためで、IdeaPad Yoga 13のキーもぐらつくことなく、たわむこともなく、安心してキー入力を続けられる。ほかのUltrabookと比べても打ちやすい。
評価用機材の天板はシルバーグレーで、表面を梨地にして非光沢にしている。これは、もう1つのカラーバリエーション「クレメンタインオレンジ」も同様だ。汗をかいた指紋が目立つ一方で、表面加工のために後をふき取るのが難しい。見た目を重視するユーザーには、困ったことになるだろう。
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