IdeaPad Yoga 13が初めて姿を現して、その変形ギミックに多くの関係者が注目することになったが、レノボは、ユーザーが、その部分だけを抽出して「変わったイロモノUltrabook」と記憶するのを避けるため、製品を説明する機会があるごとに「IdeaPad Yoga 13は、イロモノではなく、メインマシンとしても使える正当なUltrabook」と訴求していた。その、根拠としていたのが「高い処理性能を発揮するハードウェア構成」だ。
2012年11月の時点で、IdeaPad Yoga 13は、搭載するCPUとシステムメモリの容量が異なる2種類の構成がある。上位構成はCore i7-3517U(1.9GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.0GHz)と8Gバイトのシステムメモリを搭載し、下位構成では、Core i5-3317U(1.7GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大2.6GHz)と4Gバイトのシステムメモリを搭載する。そのほかの仕様は共通で、データストレージは容量128GバイトのSSD、チップセットはIntel QS77 Expressを採用する。
実売価格は、上位構成が13万円前後で、下位構成が12万円前後と1万円ほどしか違わない。そうなると、予算の制約が厳しくなければ、ちょっと無理してでも上位構成を選択するのが望ましい。
評価用機材は、Core i7-3517Uを搭載する上位構成だ。PCMark 7やCINEBENCH R11.5、3DMark 11、そして、CrystalDiskMark3.0.1Cなど、従来のWindows 7搭載PCでも使ってきたベンチマークテストで測定したが、PCMark 7のPCMarksでいえば、3000台の第2世代Coreプロセッサ・ファミリー搭載のUltrabookとくらべて、IdeaPad Yoga 13は4000台後半と確実に高い値を示している。同じCPUを搭載する最新のUltrabookと同等の処理性能を備えていると考えていいだろう。
ベンチマークテスト項目 | IdeaPad Yoga13 | ||
---|---|---|---|
PCMark7 | PCMarks | 4603 | |
lightweight | 3109 | ||
productivity | 2325 | ||
creativity | 8311 | ||
entertainment | 3119 | ||
computation | 14351 | ||
system_storage | 4913 | ||
CrystalDiskMark3.0 | 1000M:Read | Seq | 268.8 |
512K | 208.6 | ||
4K | 15.12 | ||
4K QD32 | 192.3 | ||
1000M:Write | Seq | 250.3 | |
512K | 236.2 | ||
4K | 34.41 | ||
4K QD32 | 101.1 | ||
CINEBENCH R11.5 | OpenGL | 13.13 | |
CPU | Multi | 1.91 | |
CPU | Single | 1.23 | |
CINEBENCH R10 | CPU | Single | 5207 |
CPU | Multi | 7297 | |
3DMark11 | Entry | 3DMarks | E1097 |
Graphics | 994 | ||
Physics | 2326 | ||
Combined | 828 | ||
なお、IdeaPad Yoga 13が内蔵するリチウムポリマーバッテリーは、容量が約16.6ボルト3300ミリアンペアアワー(YbInfoで測定)で、データシートにおけるバッテリー駆動時間は7.5時間としているが、BBench 1.01(海人氏・作)で条件「60秒間隔でのWeb巡回」「10秒間隔でのキーストローク」「電源プランはバランス」「液晶ディスプレイ輝度は10レベル中、下からレベル5」で測定したところ、起動から6時間30分でバッテリー残量5パーセントになった。
また、表面パネルの温度を非接触タイプの温度計で測ると、高負荷をかけた状態でもキーボード面は高くならず、最も高いFキートップでも35.8度だった。ただ、右半分より左半分が高くなる傾向も確認している。また、底面の表面温度はキーボード面と比べて高く、背面寄り中央で40.8度、同じく、背面寄り左で43.4度と長い時間ひざに載せて使うのは難しい。ただ、アイドル状態では、最も高い部分でも35.2度にとどまる。
温度測定(机面温度は28.2度) | ||
---|---|---|
3DMark 11ループ実行時(3巡目) | パームレスト左 | 29.4度 |
パームレスト右 | 23.6度 | |
“F”キートップ | 35.8度 | |
“J”キートップ | 25.4度 | |
“Z”キートップ | 33.8度 | |
“?”キートップ | 30.0度 | |
アイドル状態 | パームレスト左 | 29.6度 |
パームレスト右 | 28.4度 | |
“F”キートップ | 31.8度 | |
“J”キートップ | 30.4度 | |
“Z”キートップ | 32.0度 | |
“?”キートップ | 29.6度 | |
Internarional CESなどのイベントで、レノボがリリースに先行して公開する参考機材は、見た目が先行して話題となるが、実際の製品となるとなかなか登場しないか、投入する市場を限定(多くの場合、中国など)して短期間投入して、また次のイベントでユニークな参考展示をするということを繰り返してきた。
IdeaPad Yoga 13が2012年1月に登場したときも、多くの関係者はギミックに注目していたが、実際に登場した製品は、コンバーチブルとして使いやすく、ほかの複雑な機構を採用するモデルと比べて、クラムシェルスタイルからスレートスタイルに姿を変えて利用するのが無理なくできる。実用性が高いコンバーチブルタイプのUltrabookといえるだろう。
同様の仕組みを採用するLet'snote AX2と比べて、スレートスタイルの「タブレットモード」では、従来の「立って片手で持って使う」という常識から離れた利用方法を考えることになる。それでも、レノボが提案するスタンドモード、そして、Let'snote AX2より使いやすい「テントモード」は、IdeaPad Yoga 13の利用シーンを広げてくれるはずだ。
常時持ち歩けるほどに薄くて軽く、移動途中の休憩や屋内で座って机に置いて使うという想定なら、IdeaPad Yoga 13は、その名の通りに、これまでにない利用シーンでも柔軟に使いこなすことができる、汎用性の高いUltrabookとなるだろう。
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