お宝データを肌身離さず持ち歩きたい――指紋認証センサー搭載USBメモリ「Bio-Key」を試す安さが魅力

» 2012年11月22日 13時33分 公開
[後藤治,ITmedia]

低価格な指紋認証センサー搭載USBメモリが登場

指紋認証センサー搭載USBメモリ「Bio-Key」(U-168)

 情報セキュリティに関して定期的に話題になるのが「情報流出」だ。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)がまとめた「2011年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」(2012年9月20日、第1.0版より引用)によれば、個人情報の漏えいによる想定損害賠償金額は1899億7379万円にのぼる。その主な漏えい経路として挙げられているのは「USB等可搬記録媒体」で、デバイスの紛失など人為的なミスによるものが多い。企業にとっては、サイバー犯罪者からの攻撃に備えるよりも前に、まずは従業員の情報管理意識を徹底させることが重要といえる。

 このため、重要な情報を扱う部署では、USBメモリやポータブルHDDなどを執務室内に持ち込むことを完全に禁止しているケースも少なくないが、こうした処置は当然、作業効率の低下にもつながってしまう。情報を取り扱う際の安全性と利便性の両立は難しい問題だ。このようなケースの解決策として、ポータブル暗号化ストレージを利用するという手も考えられる。データを暗号化した状態で持ち運べば、万が一にデバイスごと紛失しても最悪の情報漏えいは避けられるというわけだ。

 ユニスターがこのほど発売した指紋認証センサー搭載USBメモリ「Bio-Key」(U-168)は、そうした用途にぴったりの製品といえる。最大の特徴はその価格で、16Gバイトモデル(U168-16GB)が7980円と1万円を大幅に切っている。16GバイトのUSBメモリがアキバで1000円を切っている現状では割高に感じるかもしれないが、指紋認証センサーをUSBメモリに組み込んだ競合製品と比べれば圧倒的に安い。また、指紋全体をスキャンするのではなく、指紋の特徴点を認識する仕組み(特徴点認証方式)により、濡れた手や傷ついた指でも認証が行えるという。

 この種の製品は企業向けがほとんどだが、これだけ安ければ個人利用も視野に入ってくる、というわけで実際にどんなものなのか「U-168」を使ってみた。

指をスライドさせなくても認識できる

本体はやや大柄で高級感がある

 U-168の本体サイズは、29(幅)×87(奥行き)×10(高さ)ミリ(実測値)と、最近のUSBメモリにしてはやや大きめだ。といっても、手のひらにすっぽりと収まるサイズで、本体も薄いため、ポケットに入れて持ち歩いてもじゃまにならない。本体の右上には滑落防止用にストラップをつける穴も用意されている。また、端子を覆うキャップは、非使用時のセンサー部を保護する役目も兼ねており、銅色のアルミ製でなかなか高級感がある。ちなみに、本体をPCのUSB端子に接続すると、表面の「JP Sensor」(製造元)のロゴが赤く光るデザインだ。

 初回利用時は、最初に管理ソフトの「BioSense」で指紋の登録を行う。登録する指を指定し、指示に従って指紋センサーに指を載せ、3回認識させれば完了だ。ここでは、ノートPCのUSBポートが右側面にあるので右の人差し指を登録。最初はなかなか認識されずとまどったが、指を横(USBポートに指を指す方向)に載せたらうまくいった。しかしこれだと、ノートPCを使いながらセンサー部に指を載せるという動作がやや不自然になってしまう。スペック表には「360度方向の指紋認識に対応」とあるので問題ないだろうと思っていたのだが、どうも登録した際の指の方向以外では認識率が落ちるようで、結局、毎回手首を折り曲げる形でセンサーに指を載せることになった。指紋登録をする際は、利用時にあった形で登録することをおすすめする。

本体前面/背面/左側面。厚みが1センチなので持ち運びやすい。ただ、指紋センサー分の幅があるため、PCに搭載されているUSB端子の間隔が狭いと、ほかのデバイスと干渉することがある

 ちなみに、U-168は特徴点認証方式を採用しているため、一般的な指紋認証センサーのように指をスライドさせる必要がなく、12.8×12.8ミリのセンサー部に指をぽんと載せるだけで認証できる。指をスライドさせる方式だと、センサーに向かってやや強い力を上から加えることになり、USB端子部の強度にやや不安を覚えるが、U-168なら軽く指を載せるだけなので問題はなさそうだ。

 さて、U-168では暗号化された領域と共用の領域でパーティションを分けられる。共用パーティションは、通常のUSBメモリと同じようにUSB端子に接続した瞬間に外部ドライブとして認識されるが、プライベート領域はBioSense.exeを起動して指紋を認識させないとドライブ自体が見えない仕組みだ。さっそく12Gバイト分のパーティション領域を設定してみた。ちなみにパーティションの設定を行うと、指紋登録情報以外のデータはフォーマットされてしまうので、容量の分割は後々のことまで考えて設定したほうが面倒がなくてすむ。

10本の指をどれでも登録できる。3回認識させれば登録完了だ。指紋以外にもパスワードを設定しておき、指紋とパスワードのどちらか、指紋だけ、というように認証方法を選択できる。プライベート領域とパブリック領域のパーティション設定をすると格納したデータが消去されるので、初回時にきちんと設定しておきたい

初期設定が完了すれば通常のUSBメモリと同様の手軽さで扱える。認証前はパブリック領域だけが外部ドライブとして認識されるが、BioSenseで指紋認証を行うとプライベート領域も見えるようになる

そのほかの拡張機能

タスクバーのBioSenseアイコンから拡張機能を呼び出せる

 このほか、U-168内のsetup.exeをインストールすることで、Internet Explorerのお気に入りをU-168に保存する「お気に入り」や、アカウント認証が必要なWebページで指紋認証によるログインを可能にする「オートログイン」、PC内のデータ256ビットAESで暗号化する「金庫」など、さまざまな拡張機能が利用できるようになる。お気に入りは出先で自分の巡回Webサイトを見たいが、「このブックマークリストは他人の目が気になる……」といった際に便利な機能だ。

 オートログインは、指紋認証センサー付きのノートPCが一般的になっている現在ならそちらで使うほうがスマートだが、古いノートPCで指紋認証センサーがないといった場合には使えるかもしれない。デスクトップPCでの利用も考えてみたが、デスクトップPCのUSBポートにU-168を挿した状態で指紋を認識させるのは、いちいち立ち上がったり(あるいはしゃがんだり)しなくてはならず、ちょっと使いづらかった。

 最後に、特徴点認証方式の利点として挙げられていた「湿っている/油っぽい/乾燥している指」でも認証できるという点について試してみた。結果は、完全に指を濡らした状態ではセンサーが指とすら認識しなかった。また、ポテトチップスWコンソメ味を一袋食べたあとに指紋認識を試みたところ、こちらは指と認識されたものの、ほぼ失敗(20回に1回くらい成功)となった。指の状態が悪くても認識できることはあるが、やはり極端な場合は厳しいようだ。

 U-168の魅力は、手軽に使える生体認証方式と、なんといっても16Gバイト容量で8000円を切る安さだ。自宅に置いておくと不安なデータがある。何かの拍子に見られると家族でも困る。この動画はオレしか見ることは許されない、そんな人は検討してみて欲しい。

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