3Dプリンタから3Dスキャナ、3Dマウスまで――立体造形ツールの注目展示をチェック:Euromold現地リポート(2)(3/4 ページ)

» 2012年12月14日 17時00分 公開
[林信行,ITmedia]

3D加工装置/3Dプリンタ

精密な3Dプリンタのメーカーとして定評のあるObjetは、大型製品の「Objet 1000」を発表していた

 3Dプリンタについては、すでに前のリポート記事でも概要を紹介したが、Objet(現Stratasys)以外のプリンタの動向やトレンドを簡単にまとめよう。

 3Dプリンタは、工業製品の精密なプロトタイプを作るRapid Prototyping向けのもの、3Dデータなどを元に金属などを削りだして、最終製品をつくるRapid Manufacturing系のものなどに分かれている。

 現在の3Dプリンタのほとんどは、できあがったモデルの樹脂の手触り感が悪い、いわゆるRapid Prototyping向けのものだ。その中でも、かなり精密な造形ができるハイエンド製品は、現在、大型化路線をとっている。プリンタが大型化すれば、車の部品などでも、より実寸に近いプロトタイプを作ることができるからだ(もちろん、大きなプリンタで小さなモデルをつくることもできる)。

 精密なインクジェットによる造形や、複数の素材を組み合わせるConnexという技術で、高品質な3Dプリンタを目指すObjet(現Stratasys)も「Objet 1000」という最新製品で大容量化を目指した。

 一方、そのライバル、3DSystemsもハイエンド製品では大型な「Projet 3500 HDMax」を発表している。なお、3Dプリンタの現在の問題は造形に非常に時間がかかることだ。例えば、あるプロトタイプを作っている最中に、急ぎで別のプロトタイプが先に必要になった場合のために、造形の順番を変えるといったニーズもあるため、同製品ではiPadなどによる遠隔操作を売りにしていた。

 3DSystemsは、ハイエンド路線を目指す一方で、個人クリエイター向けの十万円台の手軽な製品「Cube」も出している。Objet 1000やProjetなどのハイエンド製品がインクジェット方式で素材樹脂を噴出して造形しているのに対して、Cubeはソフトクリームが出てくる機械のようなところから固まる樹脂が出てくる方式だ。

 3Dデータの形状にあわせて前後/左右に動く台座の上にソフトクリームのように柔らかい素材を噴出。しばらくすると、それが固まって形となる。同様の個人用3Dプリンタは現在、大ブームになっており、それ以外にもfabsterなどが出展していた。

 fabsterの3Dプリンタは「RepRap」と呼ばれ、3Dプリンタそのものが(金属アームなどを除けば)ほぼプラスチックでできており、3Dプリンタで自らの部品を印刷できてしまうのが特徴だ。同様のRepRapは、ドイツ人の同好会的グループのブースなどでも展示されていた。

 ここまでの製品は、いずれもモデルを樹脂で造形しているが、mcor Technologiesの最新製品は紙で造形する。インクジェットプリンタ用の用紙をたくさん入れておくと、その紙を1枚1枚内側に引き込んで、インクを使って色を印刷しつつ切れ込みを入れる。1枚印刷が終わったら、その上に次の紙を重ね、のりで圧着し、また印刷とカッティングを行う。樹脂で造形するプリンタは、後から着色加工が必要だが、こちらは最初から色も再現したモデルが作れるのが強みとなっている。

 3D造形技術には樹脂や紙を使う以外にもいろいろな方式がある。人口歯やジュエリーなどの造形を行うにあたっては「光造形」と呼ばれる技術も使われるようで、Digital Waxはこの光造形機を展示していた。

Projet 3500 HDMaxは大型化に加えiPadによる遠隔操作などを売りにしていた(写真=左)。3DSystems社の個人用3Dプリンタ「Cube」はEuromold会場で特価販売が行われ、飛ぶように売れていた(写真=右)

FabsterはRepRap(3Dプリンタのパーツそのものが3Dプリンタで作られている)の製品。RepRapは他に有志の同好会などによっても展示されていた(写真=左)。光造形技術をつかったDigital WAX。人口歯やジュエリーの造形に用いられる(写真=右)

mcorはプリンタなどで使用するA4用紙を使って立体造形を行うプリンタを発表した。市販のプリンタ用紙を給紙すると、プリンタがそれを1枚ずつ重ねて、色を塗り、モデルの形にカットし、のり付けを行う。ほかの3Dプリンタと異なり最初からフルカラー印刷されたモデルを作れることや紙ならではの独特の質感が面白い

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー