ThinkPad Helix スタイル別TDPの違い | TDP |
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ノートブックモード | 最大17ワット |
スタンドモード | 最大13ワット |
タブレット+モード | 最大13ワット |
タブレットモード | 最大10ワット |
ThinkPad Helixは小型薄型のタブレットボディながら、Ultrabookと第3世代Core iシリーズのシステムを内蔵する。動作には相応の冷却性能が必要だ。この点、3世代Coreプロセッサー・ファミリーに実装するConfigurable TDPと呼ぶ機能によりTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)を仕様モード別に切り替える仕組み、かつ2種類のファンで効率的に制御する「ThinkPad Helix Dual Direction Cooling Technology」を開発し、熱設計をクリアした。
ThinkPad Helixには2種類/計3つの冷却ファンがあり、このうち2つのセカンダリーファンはキーボードドック(ヒンジ部中央)に備わる。パフォーマンスを要する作業を行うノートブックモードはTDP 17ワットに設定。プライマリファンで内部の熱を排出しつつ、セカンダリファンで外部の冷気を内部に導入する仕組みで、静音を維持しながらCPUの持つ最大限のパフォーマンスを得る。一方、ドックから外すタブレットモードは内蔵ファン(プライマリファン)でまかなえる範囲のTDP 10ワットに落とすことで、冷却性、ついでにバッテリーの長時間動作を確保する。
ディスプレイを逆差しして利用するタブレット+モードはTDP 13ワットで動作する。こちら、最大の冷却性能が得られるノートブックモードに対し、天面パネルで得られる放熱分を確保できないための施策とのことだ。「冷却設計ノウハウが多くある弊社がここまでやっても、冷却性能は正直ギリギリ」(説明員)。排熱処理はかなり苦労して実現したことが伺える。
ThinkPad Helixは、タブレットモードで最大8時間、ノートブックモードで最大12時間とする長時間のバッテリー動作を実現する(ワールドワイド記述に合わせたMobile Mark 2007での測定時。国内PCでの記述に用いられるJEITA動作時間測定法での測定においても最大11.5時間ほどとのこと)。タブレット本体に11.1ボルト/3785mAh・42ワットアワー、キーボードドックに14.8ボルト/1895mAh・28ワットアワーのリチウムイオンバッテリーを内蔵する。公開された分解モデルを見ると、どちらも1センチにも満たない極薄のシートバッテリーで、特に本体内蔵のものは内部の半分をバッテリーが占めている。
なお、2つバッテリーとユーザー行動を想定し、工夫した設計により「スペアバッテリーも標準で付いている」と考えるのもアリかもしれない。
まずThinkPad X1 Carbon(やYoga 13、あるいは……NECの「LaVie Z」など)で採用した角形のDC入力端子をタブレット、キーボードドックそれぞれに実装し、ノートブックモードはもちろん、それぞれ単体も充電可能。ACアダプタは専用の小型デザインとした「ThinkPad Helix 45ワットACアダプター(0A36686)」(20ボルト/2A出力)を用いる。
「基本は持ち歩く機会の多いタブレットを優先して充電するようバッテリーチャージ機構を工夫した」(大和研究所の伊藤氏)とし、充電はタブレット→キーボード、使用はキーボード→タブレットの順で行うよう制御。さらにバッテリー動作時はキーボードからタブレットに充電しながら動作する。こういった制御により、タブレットモードの実動作時間をかしこく延長できるようにしている(逆にキーボードのバッテリーがない場合は、タブレットのバッテリーでキーボード操作分の電力を確保する動きもする)。
本機はバッテリー内蔵型のためバッテリー着脱はサポートしないが、現時点のUltrabookとして最長時間クラスとなる12時間動作の仕様ならスペアもたいていは必要ないだろう。そして延長/スペアバッテリーが標準搭載されていると考えると、なるほどなるほど……と思える良ポイントである。
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