Intelは、中国・北京で開催された開発者向け会議「Intel Developer Forum Beijing 2013」(以下、IDF Beijing)の最終日となる4月11日、「Haswell」(開発コード名)でおなじみの次期主力CPU「第4世代Coreプロセッサー」のオーバークロック機能拡張についてセッションを設けた。
この中で、同社でオーバークロック機能に関するハードウェア設計やツール開発を手がけるマイケル・モーン氏(Michael Moen)は、Haswell世代で電源供給回路をCPUに統合することを明らかにするとともに、クロック制御の仕組みも変更され、より柔軟なオーバークロック設定ができるようになると説明した。
現行のCoreプロセッサーなどでは、マザーボードやノートPCのシステムボードから、各CPUコアやグラフィックスコア、ノースブリッジ機能などに、それぞれが必要な電圧を生成・供給する電源供給回路(Voltage Regulator Module:VRM)を用意する必要があった。しかし、Haswellでは、同社が「Fully Integrated Voltage Regulator」(完全に統合された電圧生成回路の意)と呼ぶ電源回路をCPUに統合することで、よりきめ細やかな電圧制御を可能にするとともに、電圧変換ロスを最小限に抑え、省電力化と高性能化を両立する。
モーン氏によれば、Haswellのアンロック版(型番の末尾に「K」が付くモデル)では、電源回路がCPUに統合されても、ユーザーがこれらの電圧を調整することができるうえ、より細かな設定も実現可能だとアピール。また、HaswellではCPUに供給されるベースクロック(BCLK)を100MHzだけでなく、125MHzと167MHzに変更でき、それぞれ±5〜7%のレンジで調整できるようにすることで、より柔軟なオーバークロック設定が可能になったという。
こうした機能強化によって、Haswellのアンロック版では「100MHzのベースクロックでCPU動作倍率を80倍に設定できる」(モーン氏)と述べた。つまり、第4世代Coreの型番末尾にKが付加されるモデルは、デフォルトで8GHzまでのオーバークロック設定ができるようになっているわけだ(※ただし、あくまで“設定が可能”ということで、8GHzで動作する保証はない)。
なお、HaswellではCPUコアやグラフィックスとキャッシュメモリを結ぶリングバスの電圧や動作クロック倍率も変更できるようにしており、設定次第ではビデオ編集などの特定用途でパフォーマンスアップを図ることもできるだろうとモーン氏は述べ、すぐれたベンチマークテスト結果や、動作クロックの高さを競うだけでなく、用途に応じた“チューニング”が容易になるだろうという見方を示した。
同氏はさらに、オーバークロックユーティリティ「Intel Extreme Tuning Utility」(以下、XTU)に、Haswellにも対応する機能拡張を追加した最新版をリリースすることをアナウンス。既報のIntel Z87ベースのHaswell搭載システムで、XTUを使ってWindowsからTurbo Boostの設定を変更し、4.4GHzで動作させたり、グラフィックスコアを1.6GHzまでオーバークロックするデモを披露した。
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