iPad AirとiLife/iWorkが描く「未来へのなだらかなシフト」林信行の「iPad Air」先行レビュー(2/5 ページ)

» 2013年10月30日 10時00分 公開
[林信行,ITmedia]

新しい名前を与えるに十分な価値

 さて、iPad Airの魅力は軽さだけではない。この機会に本体のサイズも見直して、横幅をキュキュっと縮め、厚さも指でつかんで感じ取れるほどに薄く仕上げ、製品としての仕上がりの質を高め、そのうえで最新の性能とテクノロジーを凝縮したのだ。

右が第4世代iPad(黒モデル)、左が初代iPad mini(黒モデル)。真ん中のiPad Air(黒モデル)の背面は新色スペースグレー。ちなみに写真ではこのiPad Airに無理矢理、第4世代iPadのスマートカバーを取り付けている。カバーがどれくらいハミでているかで、どれだけ横幅が縮まったか実感できるはずだ

 旧iPadのユーザーが、iPad miniに対して嫉妬していたのは軽さだけではない。例えば黒モデル背面の黒いアルミボディや斜めから見たときのダイヤモンドカットのエッジの美しさも、旧iPadよりもデザイン的に新しいiPad miniの魅力だった。

 今回のiPad Airでは、横のフレームを極限まで細くしただけでなく、ダイヤモンドカットエッジのフィニッシュ、さらに黒モデルの背面は、従来の無垢のアルミではなく、iPhone 5sと共通の、どこか妖しい光を放つ「スペースグレー」という色が採用され、セクシーさをアップさせた。これにより9.7型iPadが、デザイン的にも7.9型のiPad miniと並んだことになる。

左がiPad Air、右が第4世代iPad。写真で見ると目立たないが、両者の厚みの違いは、指ではっきりと感じ取ることができるほど違う

 これだけでも十分、魅力的な話だが、実はそれだけではない。iPad Airは、本体を薄く軽いボディに次世代の性能を発揮する64ビットのA7プロセッサや、未来への可能性を秘めたモーションコプロセッサであるM7も搭載。それでいてバッテリー駆動時間は10時間をキープしている。

 A7プロセッサが真価を発揮するのは、64ビット対応のアプリが増えてきてからだが、現在でも多くのアプリで最大2倍近いパフォーマンス向上が見込めるという。実際、EAスポーツの「FIFA 14」(筆者はこのゲームをやり込みすぎて、選手の走り具合などから、肌感覚でパフォーマンスの違いを感じ取れる)をプレイしてみてもまったくストレスはなく、強めのシュートを撃つ際の微妙なニュアンスをコントロールしやすくなった印象がある。

 ただ、その一方でかなり得意だったフリーキックが、ぜんぜん決まらなくなった(かなりゆっくりとフリックしているつもりなのが、ゴールのはるか上方を飛んでいってしまうのだ)。筆者の腕が落ちたとは思いたくないので、これはもしかしたら、EAスポーツの側で、iPad Airのパフォーマンスに合わせたチューニングが必要な部分かもしれない。

 これ以外には、ほとんど不具合を感じることはなかった。ただ、CPUが異なる次世代のプロセッサになっているのだから、アプリや一部の機能によっては、しばらくはこうした不都合も生じる可能性があることは気に留めておいたほうがいいだろう。

 今のところ64ビットCPUのパフォーマンスを限界まで引き出すアプリはゲームくらいしかないが、今後、どんな新しいジャンルのアプリが出てくるか楽しみにでならない。もちろん、あなたが今現在、立ち止まっているか移動しているか、歩きでの移動か、乗り物に乗っての移動かも認識する新しいモーションプロセッサー、M7が今後どんな新しい可能性のトビラを開いてくれるかはもっと楽しみだ。

 こうした少し先の未来に恩恵が訪れる最新技術に加え、iPad Airでは、今すぐ恩恵を受けられる部分として、Wi-FiのMIMO対応を実現している。最新のIEEE 802.11acにこそ対応していないが、MIMOという技術を使って複数の電波をつかみ、従来の倍近い速度で通信が可能なのだ。iPhone 5シリーズと比べて、画面が大きく解像度も高いiPad Airなら、その分、動画の転送も速くなければとストレスを感じてしまう。そのため、通信速度そのものの向上と安定は、ユーザーにとってうれしい進化だろう。

 ただ、このMIMO通信機能は2.4GHzと5GHzでの同時通信機能などを備え、ここ数年のAirMac ExtremeやTime Capsuleであれば、その恩恵を受けられるということだったが、残念ながら筆者宅の設定では、いろ試しても恩恵を得られず、iPhone 5sとほぼ同じ速度での接続になった。この部分に関しては、今後のサポート情報待ちとしたい。

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