特定領域の特化で差別化、パナソニックのビジネス“タフ”タブレット戦略:Windows Phone 8ベースのOS+音声通話も対応(1/2 ページ)

» 2014年02月25日 01時30分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

スマートフォン技術を取り入れた5型サイズの業務タブレット

photo “過酷なフィールド環境”の業務用に開発したビジネスタブレット「TOUGHPAD FZ-E1/FZ-X1」

 パナソニックは2月24日、ビジネスシーン向け5型タブレット「TOUGHPAD FZ-E1/FZ-X1」を発表。2014年6月中旬より順次発売する。

 TOUGHPAD FZ-E1/FZ-X1は、同社が展開するビジネスPC“Let'snote”シリーズ、4Kディスプレイ搭載20型タブレット“TOUGHPAD 4K”などとともに、「軽量」「長時間」「高性能」「タフ」の特長を軸にした同社のビジネス機器シリーズ群に追加される、5型サイズのWindows/Android OS搭載タブレット。オフィスシーンを中心にオールインワンの活用シーンを想定したノートPC/2in1スタイルのLet'snoteシリーズ、電気・ガス・水道、公共事業(消防など)の職務従事者に向けた7型〜10.1型クラスの既存TOUGHBOOKシリーズに対し、「5型の小型サイズ」「LTE/音声通話機能内蔵」の特長により運輸・物流、小売、製造分野も含めた“過酷なフィールド環境下”で活用したいと考える業種での導入を見込み、想定顧客のニーズを凝縮して開発した。

 ラインアップは、OSにWindows Embedded 8 Handheldを採用したFZ-E1、Android 4.2.2を採用したFZ-X1の2モデル。Windows Embedded 8 Handheldは、日本では機器未投入となるスマートフォン向けOS「Windows Phone 8」をベースに顧客向けカスタマイズを想定した組込機器向けエディション。Android搭載モデルも、一般的なAndroiodタブレットと同様にAndroid向けアプリを使用可能。現時点の顧客は、ほぼ100%がWindows CEベースのシステムを導入しており、本シリーズの導入もおおむねWindows Embedded 8搭載モデルと想定するが「顧客の新たなニーズもカバーすべく、顧客の選択肢を損ねないラインアップとしてAndroidモデルも加えた」(パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部の原田秀昭事業部長)。

 (※初出時、一部記述に誤認識による誤記がありました。修正いたします)

photophotophoto パナソニック AVCネットワークス社の宮部社長、同ITプロダクツ事業部の原田事業部長 特定業務に特化し、“フィールドワーク”分野の業種が望む機能に特化して製品化した
photophotophoto 想定ターゲットは明確。この層が望む機能を5型サイズのボディに凝縮した

 ポイントは、導入シーンに特化した仕様の追求。業務端末として公共(消防など)や電気・ガス・水道事業のフィールド端末として高い評価を得てきた同シリーズならではの頑丈さ(耐落下、耐衝撃、防じん、防水、寒冷、猛暑対応など)をベースに「運輸・物流、小売、製造」分野の導入機器ニーズとして昨今急激に高まっている「モバイル性の向上」と「煩雑な2台持ちの解消」をふまえた特長を盛りこんだ。

 1つはLTE/3Gモジュール内蔵によるモバイルデータ通信と音声通話機能の実装。LTEおよび3D(W-CDMAおよびCDMA2000)に対応し、LTE対応周波数帯は現在開発中段階として明言はされなかったが、NTTドコモやそのMVNOによる低価格SIMカードサービスのほか、KDDIの法人向けサービスと組み合わせた導入ソリューションも想定する。また、スマートフォンのように音声通話も可能。こちらは業務端末として音声通話を行う業務(電話連絡など)も1つにまとめたいニーズをカバーすべく機能を実装。騒音下でもクリアに聞こえる大口径ツインスピーカー(前面)や騒音を低減するノイズサプレッサー+3マイク仕様のマイクなど、過酷な環境においても通話しやすい機能を個人向けスマートフォン「ELUGA」シリーズ(キャリア向け個人スマートフォン事業は2013年9月に撤退)で培った先進技術を本シリーズに取り入れ、スマートフォン開発技術者の多くが本シリーズに関わっているという。

photophotophoto 個人スマホ/PC/タブレットにはない、特別に強固な“タフ”性能を備える。通信事業者との契約により、KDDI系のLTE/3G通信および3G音声通話をサポートする。連絡業務なども1つの端末に集約すればより楽という業務シーンのニーズを反映して機能を実装。騒音環境下でも聞こえて話せる、これまでの携帯電話/スマートフォン事業で培った通話技術を応用して実装するほか、手袋をしたままでも、水に濡れている状態でもタッチ操作できる独自技術も取り入れた。なお「ヒーター」機構も内蔵。某スマホのように過負荷や充電で結果として熱くなるのではなく、極度に寒冷な場所(冷蔵冷凍庫業務など)でのバッテリー動作時間を維持する目的(冷所ではバッテリー性能が落ちる)やシステム起動を想定して組み込んでいる

 耐衝撃や防水/防じん性能と連携し、晴天下でも見やすいディスプレイ(500カンデラ/平方メートルの輝度+反射防止対策を施した表面)や雨天でも・濡れたままでも・手袋をしたままでも操作できる「水滴誤操作防止機能」+「高感度近接検知タッチパネル」も、シーンを明確に想定した業務端末ならではの工夫が光るポイントだ。防水性能を持つスマートフォンはすでにいくつか存在するが、水に濡れたままでは水滴がタッチと誤って認識され誤操作する。また、静電容量方式のタッチパネルは手袋をしていると基本的には操作できない。荒天下、緊急時、寒冷エリアで使う端末として、個人向けにはない特許出願中という同社独自の工夫を組み込んでいる。

photophotophoto 参メートルの落下耐性、80センチ高からのガラス面400グラム鋼球衝撃耐性、IP68準拠の防じん(75μメートルの粉じん防御)/防水性能(1.5メートルの水圧に30分耐える)、摂氏−20〜60度で動作可能

 バッテリーと内蔵バーコードリーダー、そして豊富なオプションの特長も「想定する業務に向けた機能」だ。バッテリー出力仕様・容量は3.8V/6200mAh(24Wh)と一般的なスマートフォンの約2倍あり、連続約14時間の動作が可能。もちろん着脱可能で、かつ内部の大容量キャパシターにより電源を落とさずバッテリーを交換できる「ホットスワップ」が行える。充電器も3A出力の高出力仕様のもの採用し、スマホ比2〜3倍となる本機バッテリーを1時間で50%まで充電できる急速充電に対応する(一般スマホのバッテリーであれば1時間でフル充電が可能な性能)。

 本体上面には「バーコードリーダー」を内蔵する。暗所でも読み取れるよう使用時はライトが点灯し、かつ赤外線の読み取りガイドが照射される本格的なバーコードリーダーを実装し、一次元/二次元含めて全36種類のバーコードを読み取れる。

photophotophoto 一次元/二次元含めて全36種類のバーコードを読み取れるライト付きバーコードリーダーを内蔵。ライト付きにて暗所での認識も行いやすい。バッテリーは24Whと大容量で14時間の動作(LTE接続し、30秒おきにWebサイト表示した同社測定値)が可能。着脱可能でスペアバッテリー運用に対応、さらに電源オンのままバッテリーを交換できるホットスワップにも対応する


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 「5型サイズなので“スマートフォン”では? と思う方はいるかもしれないが、業務シーンにおいては、サイズや機能ではなく、どんな業務にどのように導入できるかが重要。本シリーズはさまざまな業務ユーザーのニーズを直接カバーする明確な目的を持つので、これまでのTOUGHPADシリーズ/ビジネス機器の延長として自然に導入を検討いただけるよう、TOUGHPADシリーズのカテゴリに含めた」(パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部の原田秀昭事業部長)

 「TOUGHPAD FZ-E1に採用されたWindows Embedded 8 Handheldは、モバイル機器向けOSであるWindows Phone 8がベース。業界特化型、用途特化型であっても標準機能が使えるということは要求される。頑丈性に“+”して標準のプラットフォーム、オープンに水平的な環境とつながるのがポイント。通話機能、業務端末としての機能、加えてオープンな環境との接続性、汎用的に使えるというのが大きなメリットになると思う。そして一番大事な「セキュリティ」。マイクロソフトは責任をもってここを担保していく。ここまでやるのは、実は全世界で現在5社しかない。パナソニックは日本初」(日本マイクロソフトの樋口泰行社長)

 「パナソニックは家電のDNAを中核に、住宅、社会、ビジネス、自動車などさまざまな空間・領域でお客様の“いい暮らし"を広げていくのが事業目的。このそれぞれの領域には重要な役割を担う産業がある。そうした産業の産業の中核企業のみなさまとパートナー関係を構築して“いい暮らし"を広げる基礎を提供するのがITプロダクツ事業部の役割と位置付ける。あらゆるものがインターネットに接続される“Internet of Things(IoT)”が進むこれからの世界において、これを支える産業分野にはどんな環境でも業務を進行できるフィールド機器のさらなるICT化──端末としては暑さや寒さ、炎天下や雪、雨など厳しい環境に耐えるハードウェアが必要不可欠になる。バックオフィスはハードウェアに環境を合わせてもらうことができるが、フィールドではそうはいかない。過酷な環境にハードウェアを合わせる。携帯電話で培ってきた移動通信技術、そして、TOUGHBOOKで培ってきた堅牢・長時間駆動端末の技術、ハンディターミナルや電子マネーリーダーで蓄積したビジネスノウハウ──ここの分野は“まさにパナソニックが得意”とするところ。今回の新シリーズの狙いもここに集約されている」(パナソニック AVCネットワークス社の宮部義幸社長)

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