←・SOHO/中小企業に効く「NAS」の選び方(第4回):「NAS」はLinuxで十分か、それとも……
これまで4回にわたって、「NAS」(Network Attached Storage)の特徴や選び方について、最新トレンドなども交えながら紹介してきた。最終回となる今回は、主要メーカーのNAS製品を3つのグレードに分けて、それぞれ注目機種を見ていこう。
前回までに紹介してきた特徴的な機能から購入候補を選んでいく方法ももちろんアリだが、利用するネットワークの規模をベースに考えていくほうが無難だろう。これにより、いざ導入してみたら「同時接続数が多すぎてパフォーマンスがまったく足りず、使い物になりませんでした」といった致命的なミスを減らせるはずだ。
それゆえ今回は、導入規模を「松」「竹」「梅」の3段階のグレードに分け、それぞれのオススメ製品を挙げていく。松竹梅の区分はおおよそ以下のようなものだ。価格については、容量によっても異なるので、おおよその目安と考えていただきたい。
まずは上記の3択で絞り込んだ後、容量、形状(ボックスタイプとラックマウントタイプがある)、必要な機能などでチョイスするのがよいだろう。
まずは「梅」コースだ。とりあえずLANでつないでデータを共有できることが第一で、最低限のデータ保護機能が搭載されていることが条件となる。多くても数人規模の環境での利用が前提だ。価格は容量にもよるが、固定資産として扱われる10万円よりも下の予算で買える範囲で考えていきたい。
バッファローであれば、「LinkStation for SOHO」シリーズがおすすめだ。LinkStationといえば、同社のラインアップでは主に家庭用製品を指すが、このシリーズはそれよりワンランク上、小規模な法人で利用できる機能を搭載している。2ドライブ構成ということで、6Tバイトのモデルであれば、RAID 1(ミラーリング)で3Tバイトが利用できる。標準価格ベースで6万円台と、価格もリーズナブル。ほかに2/4Tバイトのモデルも用意している。
アイ・オー・データ機器の製品では、「HDL2-AH」シリーズが候補だ。こちらもやはり2ドライブを搭載し、2/4/6Tバイトのモデルが用意されているという点では、上で紹介したLinkStation for SOHOとほぼ同じラインアップといえる。SOHO向けの製品だが、DLNA(Digital Living Network Alliance)にも対応している点が面白い。
HDDを別途用意してNASに組み込むベアボーンから選ぶのであれば、QNAPの「TS-221」や、その上位版にあたる「TS-269L」も挙げられる。QNAPは自社のWebサイトに製品のスペックを手軽に比較できるページを用意しているので、細かな相違点はそちらを参照していただきたいが、搭載CPUによる機能の差が主な違いだ。ドライブを別途用意する必要がある点はくれぐれも注意して予算計画を練りたい。
続いて「竹」コースだ。梅コースよりもデータ保護機能が充実しており、十数人から最大50人程度の同時接続にも耐えうる製品となる。容量はさまざまだが、今回は8Tバイト(2Tバイト×4)を基本に見ていこう。
このクラスでは、アイ・オー・データ機器だと「HDL-XRW」シリーズが候補になる。カートリッジ式の4つのドライブを備え、RAID 6にも対応するほか、Amazon S3へのバックアップ機能も持つ。価格は10万円台後半と、梅コースの製品に比べるとやや高いが、ドライブにWD Redを採用しているので、長時間の安定稼働に強みがある。さらに上位モデルは、アンチウイルス機能のライセンスも付属している。このほか、6ドライブのモデルになるが、第3回で紹介した「HDL6-H」シリーズも候補になるだろう。
バッファローは、4ドライブ搭載でRAID 6対応の製品がたくさんあるが、ある程度のCPUパワーを備えた製品ということでは、「TS3400D」シリーズがおすすめだ。ネットワークカメラと連携した録画機能も搭載しているのが面白い。もう少し予算を絞るのであれば、世代が少し前の機種になるが、「TS-XHL/R6」シリーズも候補になるだろう。
ベアボーンでは、QNAPの「TS-469 Pro」や、その下位モデルである「TS-469L」といった製品も選択肢に含めたい。両者ともCPUはAtomを搭載し、DLNA機能も備えており、さらに前者はネットワークカメラ連携機能を利用できる。ベアボーンゆえHDDを別途用意する必要はあるが、逆に予算に応じてWD Redの搭載を見送ったりと、自分で決定できるのがよい。
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