最後に「松」コースだ。50〜100人程度の同時アクセスにも耐えられる製品で、筐体もボックスタイプのほか、19インチラックマウントに対応するモデルも多い。Linux搭載NASではスペック的にこの辺りが最上位といったところで、Windows Storage Server搭載NASも候補に入ってくる。
4ドライブ構成のモデルでは、バッファローの「TS5400D」シリーズのほか、WD Redにこだわるのであれば、もうワンランク上の「TS5400DWR」シリーズもある。CPUにAtomを採用するなどPCと遜色ないレベルだが、価格は8Tバイトで20万円台と、そこそこの予算が必要だ。
同時接続数が増えるほど求められる容量も増えるので、このクラスでは6ドライブ以上のモデルも候補になる。ドライブ数が増えると、それだけRAIDなどのデータ保護機能の選択肢が増えるというメリットも得られる。バッファローの「TS5600D」シリーズ(6ドライブ)や「TS5800D」シリーズ(8ドライブ)もチェックしておきたい。
Windows Storage Server搭載NASは、Active Directoryとの親和性などが導入の決め手になることが多いが、Linux搭載NASに比べると同時アクセス数に余裕があるため、Linux搭載NASでは対応できない規模の利用環境に導入されるケースも多い。
4ドライブという条件であれば、バッファローだと「WS5400DWR2」シリーズ、アイ・オー・データ機器だとWD Redを搭載した「HDL-Z4WMC」シリーズなどがあり、いずれもWindows Storage Server 2012 R2 Workgroup Editionを搭載している。2012 R2にこだわらなければ、ロジテックの「LSV-5S4CQS」シリーズなども候補になるだろう。
具体的な製品例は以上だが、最後に2つ、本サイトのような専門ニュースサイト以外でメーカーからNASの有益な情報を収集するコツについて紹介したい。
1つは、メーカーが購入検討者向けに行っている情報発信だ。NASは環境によってパフォーマンスが大きく変化するので、「期待した機能を試してみたところ、使い物にならなかった」という場合も多い。例えばドライブを交換した際にRAIDのリビルドにどの程度時間がかかるか、アクセスする人数が増えたときにどのくらいパフォーマンスが維持されるか、また読み書きするデータサイズの大小でどのくらい速度に違いが生まれるかは、メーカーの製品ページやカタログに書かれた一般的な仕様からはまず読み取れない。
こうした場合は、メーカーが提供しているホワイトペーパーに注目だ。現状では一部のメーカーに限られるが、製品の開発検証段階で得られた動作パフォーマンスなどのデータをまとめ、製品ページなどとは別に公開している場合がある。販促用のチラシやカタログに比べ、リアルな数値や比較グラフが延々と並ぶこれらのシートは、製品選びの指針としてはこの上なく役立つ。業界全体で、こうした取り組みが広まることを期待したい。
もう1つは貸出機のサービスだ。各社とも明記はしていないものの、法人に対しては検証用の貸出機を用意していることが多い。社内ネットワークの規模や構成が特殊で、仕様だけではなかなか判断しづらいという場合、法人向けの窓口に問い合わせてみるとよいだろう。もちろん、必ず借りられるわけではないだろうが、迷った末に間違った製品を選んでしまうくらいならば、問い合わせる価値はある。
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