それでは内部構造を見ていこう。

NANDフラッシュメモリチップは片面8チップの計16チップ。20ナノメートルプロセスの「29F32B08MCMF2」だ。これにあわせてファームウェアも最適化されているという。SATAインタフェース近くに2枚のキャッシュメモリと、その横にコントローラーチップを配置している。コントローラーは「PC29AS21CA0」で同じコントローラーのIntel SSD DC S3700と比べると、転送速度もIOPSもIntel SSD 730のほうが高い。性能を優先したチューニングの結果なのかもしれない。キャッシュメモリはMicron「D9QBJ」を2枚搭載。1.35ボルト駆動のDDR3-1600 4Gbitチップで、計1Gバイトとみられる。なお、側面に2つのキャパシタが搭載されているのは電源断時のバックアップ用と思われるそれではパフォーマンスを見ていこう。検証環境は、Core i7-4770KとASUSTeK Z87-PROマザーボードを用いた。ストレージの構成は、システム起動用のSSDと別に、チップセット側のSATA 6Gbpsポートに、Intel SSD 730を接続する形でテストした。OSは64ビット版Windows 8.1 Proで、ドライバは最新のものを用いている。


左からCrystalDiskMarkのランダム、0x00、0XFF(1000Mバイト時)の結果。Intel SSD 530のSandForce SF-2291コントローラーのようにデータ圧縮は行っていない様子。公称転送速度の550Mバイト/秒には及ばなかったが、シーケンシャルリード/ライトは十分な速度であり、とくに4K QD32時のリード/ライトが300Mバイト/秒を超える点は、最新SSDとして申し分なし。4Kリードも30Mバイト/秒出ているのでこれも速い部類。普段使いの快適度が期待できる結果だ
左から、500Mバイト時と100Mバイト時の結果。データのファイルサイズが小さくなるほどシーケンシャルリードは遅くなる一方、500Mバイト時のシーケンシャルライト、512KBライトは、検証中最もよいスコアとなった
Copyテストではおおむね300Mバイト/秒前後の転送速度。Compressionテストでは、ライト時の70%付近にスパイクが表れたが、そのほかはおおむね安定しており、リード/ライトのラインはほぼ平行しているインタフェースの転送速度の限界付近での競争となって久しいSATA 6GbpsのSSDだが、Intel SSD 730は、500Mバイト/秒という転送速度をさらに追求しつつも、実績を重ねたエンタープライズ向け製品用のコントローラーを採用するとともに、4K時のパフォーマンスにフォーカスしてきた。
いわば実運用時でのパフォーマンスも追求した製品と捉えるのがよいかと思う。次世代インタフェースをひかえたSATA 6Gbps製品としては、正しい戦略なのではないだろうか。また、RAIDパフォーマンスもアピールしており、そうしたハイエンド向けに訴求する製品としては、エンタープライズ向けコントローラーというのが頼もしく感じられる。
価格はまだ不明だが、Intel SSD 530が比較的高めの価格帯だったため、Intel SSD 730はさらにもう少し上のポジションをとるものと思われる。製品自体、メインストリーム向けとは異なるため仕方ないだろう。ただ、ハイエンドユーザーのニーズと、業務向けニーズというのは、パフォーマンスや耐久性、安定性など求めるところが近く、そうしたユーザー層ならば受け入れられるはずだ。
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