インターネット通信をかなりヘビーに使うカテゴリの1つに、PCゲームあるいはゲーム専用機、そしてストリーミング動画/動画配信サービスがある。
一応これらはWAN側(自宅の光ファイバ1ー回線など)の通信速度も速くなければならないが、その速度が無線LAN側でボトルネックになってはいけない。動画配信サービスはもちろん、常に通信し続けるリアルタイム対戦ゲーム、さらに最新データをどんどんインターネットから読み出しながら進行するオンラインゲームも少なくはないし、複数人がパーティとなって対戦するオンラインRPGなども結構なデータ通信量が発生する。なにより通信速度の絶対値とレスポンス(PING値)が重要だ。
このような(自分自身を含む)ヘビーユーザーがいる家庭には、3ストリーム(最大1.3Gbps)対応の最上位モデル「AtermWG1800HP」を勧めたい。
AtermWG1800HPは、2014年3月時点で最速スペックとなる3ストリーム(3×3 MIMO)での11ac通信をサポートし、さらにこれまでの2.4GHz帯/5GHz帯802.11a/b/g/n(最大450Mbps)も併用可能。4つの有線LANポートもすべてギガビット対応という現時点全部入りという仕様だ。
加えて、縦置き、横置き、壁掛けが自在に行え、他メーカーの11acルータと比べ、設置場所を選ばない小型ボディであるのも良好なポイントの1つだ。世界最小クラスとうたう高性能な「μSRアンテナ」と基板上からの電磁波ノイズを遮断する「μEBG」技術を導入することで、高い送受信性能と小型化を両立している。
PCにしてもゲーム専用機にしても、11ac無線LANを内蔵する機器をすでに持っている人は少ないかもしれない。いまあるPC(ノートPCはもちろん、デスクトップPCも含む)を手軽に11ac化したいなら、2ストリーム(867Mbps)対応のUSB 3.0子機「AtermWL900U」も一緒に導入するとよいだろう。
ではこの組み合わせは、やはり実速度がどれだけ向上するかがポイントだろう。親機をAtermWG1800HPに、隣接した別の部屋にデスクトップPC+AtermWL900Uを設置し、LANスループット計測ソフト「LAN Speed Test」でスループットを測定した。
基本となるパターン1は、下り286Mbps/上り201Mbpsを記録。これまで最大300Mbps対応の11n接続で80Mbpsにも届かなかった状況から、一気に約3.6倍もの速度が出るようになった。
参考までにWL900UをUSB 2.0接続で使用してみたところ(パターン2)、速度は175Mbpsほどに落ちた。こちらはUSB 2.0のインタフェース速度が若干ボトルネックになるようなので少し気を付けたい(USB 2.0しかないPCで使うなら仕方ないが)。それでも一般的に最大100Mbpsとなる光ファイバーのインターネット接続サービスを完全に使い切れる実効速度といえる。
これまでの接続方法であるパターン4では、どうチャネルを変更・調整しても筆者自宅の環境は帯域に空きがなく、デュアルチャネル(40MHz幅)では接続できない状況となる。リンク速度は144Mbps(シングルチャネル、2ストリーム)、速度も下り最大78Mbps程度にとどまった。
(ドライバの都合で)USB子機を使用できない家庭用据え置きゲーム機の11ac化は、有線LANポートを持つ機器ならOKとなる「AtermW500P」を導入してみてはいかがだろう。
AtermW500Pは、ホテルなどの有線LANインターネット環境を11ac無線LANで共有できるようにする“ホテルルータ”と呼ぶカテゴリの製品だが、有線LAN接続で有線LAN搭載機器(PCやゲーム機、AV機器など)と接続すると子機にもなり、クライアントを“11ac無線LAN対応”にできる応用方法がある。11acでの最大通信速度は433Mbps(1ストリーム)、有線LANが100BASE-T対応と仕様は控えめだが、USB電源で動作し、小さくじゃまにならないので、運用がかなり手軽なのがメリットだ。実速度(パターン3)は90Mbpsほどと、やはり11n接続の前環境より若干だが高速な結果が得られた。
なお、親機には2ストリーム(最大867Mbps)対応の中位モデル「AtermWG1400HP」もある。2014年3月現在、11ac内蔵の子機(PCやタブレットなどのクライアント)側の対応は2ストリームまでにとどまるので、2ストリーム11ac+ギガビット有線LAN仕様の本機も現時点のパフォーマンスは同等ととらえられる。念のため、上記をAtermWG1400HPに差し替えてテストしたが、実通信速度はほぼ同じだった。
では、上位のAtermWG1800HPと中位のAtermWG1400HP、どちらを選ぶとよいか。
この導入事例で考慮すると、2014年3月現在、PCへの内蔵化が進む11ac無線LANモジュールも2ストリーム(2x2 MIMO)/最大867Mbps対応までが主流であり、スマートフォン/タブレットも1ストリーム対応止まりということで、どのモデルもパフォーマンスに不足はない。コストパフォーマンスを重視するならAtermWG1400HPが向いている。
一方、ブロードバンドルータ(親機)の買い換えスパン(3年〜5年ほど)を考えると、子機側の性能が向上する可能性、そしてより高速な無線通信を求める使い方がもっと望まれるようになるはずだ。数年後も考慮するなら、現時点で最上位の性能を持つAtermWG1800HPがよいと思う。
11n世代も上位志向/BTOカスタマイズの構成例などにおいてノートPCの内蔵モジュールにも3ストリーム(3x3 MIMO)対応モデルが存在したし、チップセットベースではすでに3ストリーム対応の802.11ac対応製品もリリースされている。また、液晶一体型モデルを中心にデスクトップPC(あるいは据え置き型のAV機器やゲーム機)にも無線LANの搭載があたり前になってきている。この事情も含めて今後のPC買い換えを考慮した選択とするのもいいだろう。
もう1つ、AtermWG1800HPは、AtermWG1400HPがサポートしない無線LAN中継機能も備えるのがポイントの1つ。将来、無線LANのシステムを入れ替えたり、新築・引っ越しなどで自宅が広くなった時に備えて応用できる幅が広いメリットもある。
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