インタビュー
» 2014年03月28日 14時07分 公開

変わらず、変わるThinkPadの姿:「新しいThinkPad X1 Carbon」開発チームに聞く、“あのキーボード”に込めた意図 (3/4)

[鈴木雅暢,ITmedia]

高解像度ディスプレイは専用設計で薄さを追求

photo 液晶ディスプレイ部分

ITmedia 液晶パネルについて教えてください。第2世代X1 Carbonは、2560×1440ドット表示の高解像度構成を選べるのが目玉の1つです。こちら、標準構成となる1600×900ドットモデルよりボディの厚さが4.6ミリ薄いのですね。

大塚氏 2560×1440ドット表示の高解像度パネルは、この第2世代X1 Carbon専用に発注したカスタムものを採用しています。液晶層や偏光板、カラーフィルタ基板など、すべての層を少しずつ薄型化しており、本体の薄型軽量化に大きく貢献することになりました。

ITmedia 採用パネルは、他社の高解像度ディスプレイ搭載ノートPCに採用例が増えているIGZOパネル……なのでしょうか。

中島氏 いいえ、こちらはIPSパネルです。「パネルセルフリフレッシュ技術」(液晶パネル側にメモリを搭載して画面情報に変化がない限り、パネルのみでリフレッシュ作業を行う技術。GPU、グラフィクスメモリ、ディスプレイインタフェースを休ませることができ、電力を削減できる)により、消費電力の増加を最小限に抑える工夫を取り入れています。


photo ディスプレイ面の裏側

ITmedia ということは、内蔵ディスプレイの接続インタフェースはeDP(Embedded DisplayPort)ですか?

小柳氏 はい。これほどの解像度となるとデータ転送量も総じて多くなるので、従来のLVDS(Low voltage differential signaling)では帯域的に厳しいです。

ITmedia タッチモデルも、前モデルより2ミリ以上薄くなっていますね。

大塚氏 こちらは、表面のガラスの改良により、0.7ミリから0.55ミリに薄くできたことが大きいですね。最厚部は18.46ミリと、前世代のタッチ非搭載モデル(18.8ミリ)よりも薄くできました。

堅牢性、キーボードの打鍵感へのこだわりは健在

photo キーボード面の裏側

ITmedia 私は、ThinkPadシリーズは「堅牢性」と「キーボード」が命だと思っています。ボディは薄く格好よくなりましたが、まず、もちろんThinkPadクオリティの堅牢性も維持しているのですよね。

大塚氏 もちろんです。基本はボディを構成する層の隙間を徹底して狭くするという手法をとっています。一例といて、これまでの一般的なノートPCはそれ自体でキーボードとして機能する“部品”として独立していました。

 対して第2世代X1 Carbonのキーボードは、キーボードベゼル+パームレストと一体化して作り込み、キーボード下のバッテリーや基板、底面カバーまで全部張り合わせて、はじめてキーボードとして機能する設計としています。その張り合わせる層の隙間を徹底的に排除することで厚さを抑え、圧縮するように実装することで強度を確保する手法も取り入れています。先ほど厚みを変えたバッテリーセルの話をしましたが、それもこの一貫です。

 もう1つ、液晶ディスプレイのあるトップカバーも同様の手法で強度を確保しています。……が、こちらはThinkPad基準の堅牢レベルを満たすのにかなり苦労しました。裏面の細かいリブの位置や形状もすべて計算・検証して導き出された結果です。

ITmedia ところでキーボードを裏から固定するネジの数……半端ない多さですね。

大塚氏 ネジは合計56本です。これでも先代より3本減らしました(笑) コスト的にはもっと削減すべきなのでしょうが、タッチ感、押し心地のよさを提供するThinkPadクオリティを満たすには必要なことなので譲れませんでした。

ITmedia 最近のThinkPadでは、キーボード下の構造も工夫があると聞きました。

大塚氏 これまでの開発経緯から、キーボード下に接触するものが何もないと、その部分がフカフカした感触になってしまう課題がありました。最近のThinkPadでは、この感触をキーボードユニット単体だけでなく最終的に組んだ状態で評価する手法をとっています。この検証結果から、ボディに支える構造を追加したり補強を入れたりなどかなり大きな構造の変更が発生することもありますね。

 なお、第2世代X1 Carbonはキーボードユニットという単位がない構造としましたので、当然、最初から組みんだ状態でのタイプ感を意識して設計しています。バッテリーの配置などもその一貫です。

 この部分はもともと密度が高いのでフカフカしてしまう心配は少ないのですが、それでも基板の部分には部品の実装状態によって高さに差ができる部分もあります。この対策として、あまりスマートではないのですが、ラバー素材を挟んで調整するといったようなこともしています。

photo ボディの底面

ITmedia 一方、ボディ裏面はネジが意外に少ない(7本)ですね。

大塚氏 ここはデザイナーの希望をかなり尊重したところだったりもします。剛性の確保だけを考えればネジは多い方がやりやすいですし、配置としてもボディの真ん中のあたりにも置ければよいのですが、最初にお話ししたとおり、コンシューマライゼーションを意識する新世代のThinkPadとしての考え方も極めて重要と考えました。この解決策として「立ち壁」という構造を導入し、X1 Carbonの表も裏も美しいデザインと、ThinkPadとしての剛性感を両立させました。

ITmedia 「立ち壁」とは。

大塚氏 横から見ていただくと、第2世代X Carbonは他モデル比で(部材と部材の境界を示す)“線”が少ないのがお分かりいただけますでしょうか。こちらは、使用時の目線で継ぎ目となる横の線が目に付かないよう工夫したものです。キーボードベゼルを箱型に成形してベースボディとかみ合わせる仕組みですので、剛性についてもよい効果があります。


photophoto 左が新しいX1 Carbon、右が第1世代の旧モデル

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