インタビュー
» 2014年03月28日 14時07分 公開

変わらず、変わるThinkPadの姿:「新しいThinkPad X1 Carbon」開発チームに聞く、“あのキーボード”に込めた意図 (2/4)

[鈴木雅暢,ITmedia]

Haswellシステムではミリワット単位の無駄も見逃せない

photo 手前が第1世代、奥が新しい(第2世代)ThinkPad X1 Carbon

ITmedia 前モデルよりボディがさらに薄くなり、よりシュッとスリムで格好よくなりました。具体的には、もともと14ミリクラスの厚さながら、最厚部がタッチモデルで2.34ミリ、タッチパネルなしモデルも最大1.1ミリ薄型化されました。この薄型化を実現できた新たな工夫やポイントはどこでしょうか。

大塚氏 ボディの素材は、そもそも先進的だった前モデル(第1世代のX1 Carbon)からほとんど変わっておりません(カーボン素材を多用)。薄型化は、基板の小型化、配置の工夫、ファンの小型化に加えて、液晶パネルの薄型化などがあります。

ITmedia マザーボードはどのくらい小さくなったのでしょうか。こちらは開発コード名:Haswellこと、インテルの第4世代Coreシリーズを採用した恩恵が大きいのでしょうか。

小柳氏 サイズとしては約30%小型化しました。Haswellももちろん省スペース化などに大きく貢献しますが、基板への高密度実装の技術を大きく進歩させたのが大きいです。10層構成であるのは同じですが、ビア(層間を電気的に接続する穴)が少なくなったので、結果として実装に使える面積の割合が増えましたし、コンデンサや抵抗などの部品も1つ1つ小さくすることができています。

photophoto 手前が新しいX1 Carbonのマザーボードとバッテリー。奥の前モデルに対し、約30%の小型化を果たした(写真=左) 第1世代のファン(手前)と新しい(第2世代)X1 Carbonのファン(奥)。新しいX1 Carbonは「第8世代フクロウファン」を採用した(写真=右)

ITmedia ファンもさらに薄く、小さくなったようですね。

小柳氏 はい。前世代比で約11%小さくなりました。ThinkPad X240sやT440sシリーズよりもさらに新しい、ブレードの形状を工夫したファン「第8世代フクロウファン」により、放熱効率をさらに上げることに成功しました。

ITmedia 配置の工夫というのは具体的にどういうところでしょうか。

大塚氏 X1 Carbonは(先へ行くほど細くなる)くさび型のフォルムをしています。このため、背の高い部品はなるべく奥側に実装するようにしています。……と言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、単に置けばいいわけでもない部分がほとんどでして。この配置には苦労しました。

 バッテリーについても、厚みが異なる2種類のセルを組み合わせて、手前の基板がない厚みのあるセル、基板と重なる部分は薄いセルを使うなどの工夫を取り入れています。

photophoto 内部構成部品の一部。手前の黒いシート状のものがバッテリー(15V/2.99Ah 45Whタイプ)だ。デザイン(堅牢性なども含む)と部品配置構成を最適化するため、厚みが異なる複数のセルで構成されている

ITmedia 省電力性が特長の1つとする第4世代Coreプロセッサー・ファミリーの採用により、熱設計や省電力設計もしやすくなったのでしょうか。

レノボ・ジャパン 先進システム開発・設計担当の中島崇氏(以下、中島氏) もちろん開発コード名:Ivy Bridge世代(第3世代Core)比で消費電力が下がっていますのでバッテリー駆動時間は延ばしやすくなっています。ただ、それは他社も同じ条件ですし「新世代CPUなので、長時間バッテリー駆動が当然」と思われてしまうこともあるので、“ThinkPadらしさ”も提案したいエンジニアの立場としては「むしろシビア」に考えるようにしています。

 例えば全体の消費電力が下がるということは、ちょっとしたことが「バッテリー駆動:〜時間〜分」といったみなさんが目にするカタログスペックに影響することになります。こういった意味で、細部の細部まで、ミリワット単位も見逃すわけにはいかないという厳しさが求められるわけです。

ITmedia インテルのメディア向け解説では、第4世代Coreプロセッサー・ファミリーは周辺部品のレイテンシレポートなどを活用してアイドルステートへ入るタイミングを調整する、などの最適化が重要だという話があります。そういう最適化の部分はいかがでしょう。

小柳氏 インテルさんが期待しているものに対し、われわれが部品の選定や設計を行い、検証結果をフィードバックして問題を解決していきます。もちろん、レノボ・ジャパンはインテルさんとはよい関係にあるため、早い段階からサンプル提供を受けて開発を進められるといった、密に技術的な交流ができる環境があります。少なくともインテルさんが期待しているパフォーマンス/電力効率は100%達成できていると自負しています。

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