去る4月2日(米国時間)に米カリフォルニア州サンフランシスコでMicrosoftの開発者会議「Build 2014」が開催された。本連載で予告した通り、やはり今回のBuildの大きなテーマは「Windows Phone 8.1」だ。Q&Aを含めて3時間近く続いた基調講演の大部分が、この新モバイルOSの解説とデモに費やされた。
一方で、次期Windowsに関するいくつか興味深い話題もあり、これらを整理することでおぼろげながらMicrosoftが目指す「Next Windows」の姿が見えてくる。
従来の「Service Pack」に該当する「Windows 8.1 Update」では、いくつか機能上の変更が行われた。2月にMobile World Congress(MWC) 2014で示されたように、スタート画面に電源管理と検索のボタンが付与され、チャーム以外の導線が用意されて初心者にも比較的分かりやすくなったことが第1に挙げられる。
またデスクトップ画面から見たModern UI(Windowsストア)アプリの挙動も変更された。例えばタスクバー上にModern UIアプリのアイコンが出現して、デスクトップアプリケーションと統一的に操作可能になるなど、よりデスクトップとの親和性が向上している。
キーボード+マウス中心のユーザー向けに、スタート画面で右クリックしたときにコンテキストメニューが開く動作へと変更されるなど(従来は画面上端か下端から指をタッチ操作でスライドしたのと同じ画面が出現する)、カーソルの移動量が減り、マウスフレンドリーなUIとなっている。
Windows 8.1 Updateに関して、特に目新しい情報はないが、今回のBuildではWindowsの将来バージョンにつながる重要な発表がいくつか行われた。
まず最初に「Universal Windows Apps(ユニバーサルWindowsアプリ)」という概念が正式に発表されたことだ。これは、従来までWindows 8/8.1とWindows RTのみで共通化されていたWindowsストアアプリ環境を他のプラットフォームまで拡大し、例えばWindows Phone 8.1においてWinRTランタイム環境をきちんと整備することで、スマートフォンからタブレットまで複数のデバイスをターゲットにしたアプリをVisual Studio上で開発できるというものだ。
メリットはスマートフォンとタブレットで共通のアプリを利用可能になる(あるいは開発可能になる)という点だが、このアプリはそれだけではなく、デスクトップPCからXboxシリーズ(360/One)まで、開発者の対応次第でより幅広いデバイスをターゲットにすることが可能だ。
MicrosoftはBuild基調講演の最後に「Windowsの次期バージョンについて今回は発表しないが、Windows 8.1へのアップデートとしてこのような機能を用意している」と述べ、隠し球のごとく開発中の新デスクトップ画面を披露した。
詳細と画像は本田雅一氏のリポートに詳しいが、従来のWindowsデスクトップ画面の中にはModern UIアプリがウィンドウの1つとして表示され、さらに左下には見慣れたスタートボタンとスタートメニューが復活している。
Modern UIアプリはWinRTランタイム上で動作しているとみられるが、従来までフルスクリーン動作しか許容されていなかったModern UIアプリをウィンドウ表示することで、デスクトップ利用中心のユーザーとの親和性をさらに高めるのが狙いだろう。
機能的には以前よりウワサされている「Threshold」こと「Windows 9(仮名)」に近いが、これがWindows 8.1 Updateに続く単なる追加アップデートの扱いなのか、あるいはThresholdの「デスクトップ利用中心バージョン」の紹介なのか詳細は不明だ。ただし、MicrosoftはWindows 8.1 Update提供後も操作性などのアップデートを短期間に行っていく予定であり、この新デスクトップ画面も遠からず実装されるとみられる。
いずれにせよ、「すでにMicrosoftはタブレットへの過度なこだわりを捨てている」という印象を筆者は強く受けた。
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