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» 2014年07月28日 16時30分 公開

「遅い使えない」は過去のこと:LTEモバイルルータ「AtermMR03LN」Bluetoothテザリングの効果を試す (2/3)

[坪山博貴,ITmedia]

“Bluetoothは遅くて使えない”は事実なのか?

 Bluetootohテザリングのパフォーマンスが気になるユーザーも多いだろう。今回の検証作業では、NTTドコモ契約のSIMを使い、WAN側は受信で20〜40Mbps、送信側は4〜8Mbps程度を速度測定アプリで確認できる環境だ。端末にはNexus5を用いている。

 速度計測結果で傾向が異なる「RBB TODAY SPEEDTEST」とOoklaの「SpeedTest.net」を使って計測した。3回測った平均値を比較するとRBB TODAY SPEEDTESTが少し速い結果になったことを除けばバラツキは少なかった。RBB TODAY SPEEDTESTは、受信平均1.85Mbps、送信平均1.94Mbps、Speedtest.netは受信平均1.7Mbps、送信平均1.87Mbpsだ。MR03LNのデータシートでBluetoothの最大速度は3Mbpsだが、+EDRにおける理論上の実効通信速度は最大で約2.1Mbpsなので、MR03LNとNexus 5の間ではその80%以上の通信速度を発揮していたことになる。

RBB TODAY SPEEDTESTでは、2Mbps弱の安定した送受信速度でRTTも無線LANに相当する

Speedtest.netで注目したいのが送受信速度の下に表示している送受信速度の推移だ。受信は極めて安定している。送信はすこしぶれているが、これは計測開始直後に早めの送信速度を計測した関係で、すぐに安定している。こちらもRTTは安定してて短い

 MR03LNとNexus 5をBluetoothで接続した状態で利用してもほとんどストレスはない。ストリーミング対応クライアントでも途切れることなくツイートが流れてくるし、Webサイトも文字情報は1画面分をすぐに表示できる。ネットラジオはビットレートが16〜32Kbpsということもあるが、途切れないしどんどんバッファリングする。

 あえて気になるとすれば、ツイッターの画像プレビューがコンマ数秒遅れ、WebページもPC用にアクセスすると画像を後追いで表示する感じになる。ただ、これはWebページの構成も影響する。動画ストリーミングに関してもYoutubeの「STAND BY ME ドラえもん」の予告ムービーを視聴してみたが、360Pはもちろん、720Pでもぐんぐんバッファリングするので、再生はまったく問題なかった。

 この状態のまま、7型タブレット(AQUOS PAD SHT21)をBluetoothで接続してアニメパスで動画をストリーミング再生すると、最初のバッファリングが数秒長い程度で再生を開始する。さらに、ここからNexus 5でツイッターを利用したり、Webページにアクセスしても目立ってストレスを感じない。試しに、この状態でSpeedtest.netを同時に実行すると、通信速度は送受信ともに同程度で安定していた。少なくとも、2台のデバイスが接続した状態のテザリングなら安定しているといえる。

2台の端末から同時にBluetoothテザリングでSpeedtest.netを実行した。送受信速度はほぼ均等割でRTTの劣化もない。PCを含めて端末3台を同時にBluetoothテザリングで使ってもみたが、動作が不安定になるようなことはなかった

 ただ、PCから接続したWeページを中心に利用すると、検証した個人宅に引いた100Mbpsの光回線に有線LAN接続をしている環境で、画像の多いWebページでもテキストに続いて画像をパラパラと表示していくのがはっきりと認識できる。ただ、困るレベルかというとまったくそんなことはない。

 意外だったのは、リモートデスクトップでも無線LAN接続と変わりなく使えたことだ。BluetoothテザリングでMR03LNを経由して自宅のデスクトップPCにVPN(PPTP)接続し、Windows 7 ProからWindows 8.1 Proという接続だったのでリモートデスクトップのパフォーマンスがよいという事情もあるが、ビデオ編集ソフトすら実用レベルで使えてしまった。最初、映像部分を荒く表示して、変化がなければ高画質で再描画するというプロセスは普段(無線LANルータへの無線LAN接続や公衆無線LAN利用)と違うし、大きめのウインドウを移動すると追従が遅れたりWebブラウザのスクロールがスムースに見えなかったりもしたが、操作に支障をきたすほどではなかった。

 AndroidスマートフォンでBluetoothテザリングを利用する場合、副次的なメリットもある。無線LAN接続とは認識されないので、Google Playでのアプリ更新を無線LAN接続時は自動に設定しておいても、アプリ更新を抑制できるのだ。

混雑する2.4GHz帯公衆LANの影響は?

 Bluetoothは、ISMバンドと呼ぶ2.4GHz帯を使っている。無線LANのIEEE802.11b/g/nなどでも使っている周波数帯で、繁華街などは公衆無線LANの乱立、マンションなどでは近隣の世帯からの漏れ電波などで非常に混雑していることも多い。そうでなくても、最大2.1Mbps止まりのBluetoothが無線LANの混雑に巻き込まれたらと不安に思うユーザーもいるかもしれない。

 しかし、Bluetoothは、2.4GHz帯を79チャンネルに分割し、1秒間に約1600回もチャネルをランダムに切替えながら通信をしている。無線LANのようにチャネル設定をしなくても近くで通信しているBluetooth同士の干渉を避けるための仕組みだったが、無線LANの普及に合わせて無線LANが使用しているチャンネルを自動で避けるようにVersion 1.2でAFH(Adaptive Frequency Hopping)を導入している。

 実際に公衆無線LANが非常に混雑しているアーケード内の喫茶店で検証してみたが、速度計測の結果はほとんど変わらない。現にこれだけ2.4GHz帯の無線LANが使用されている場所でもBluetoothの実通信速度は変わらない。


RBB TODAY SPEEDTEST(写真=上)とSpeedtest.net(写真=下)で測定した速度結果。先の計測結果より受信が少し遅めという程度の差しかない

これが測定場所における2.4GHz帯無線LANの使用状態。1つの電波に複数のサービス(ESS-ID)が相乗りする共用APも混ざっていると思うが、測定場所自体が公衆無線LANスポット、面しているアーケード全体が公衆無線LANスポット、斜め向かいのコンビニが公衆無線スポットであることは確認済だ。こんな混雑した状態でもBluetoothテザリングのスループットはほとんど低下しない

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