斬新すぎる“7スタイルPC”の実力は?――「dynabook KIRA L93/W9M」(使い勝手編)東芝入魂の超変形マシン(1/3 ページ)

» 2014年07月31日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
ココが「○」
・2つの変形機構で7スタイルで利用可能
・高画質・高精細なディスプレイを搭載
・着脱式で打ちやすいBTキーボード
ココが「×」
・キーボードを外してもボディは重め
・SDカードスロットがmicroSD仕様
・凝りに凝った製品ゆえ価格は高め

7スタイルPCのハイスペック直販モデルを徹底検証

 東芝のプレミアムノートPC「dynabook KIRA」シリーズから、実にユニークな新機種が登場した。この「dynabook KIRA L」は、13.3型の超高精細ディスプレイを搭載し、2つの変形機構やペン入力も組み込んだ新感覚の2in1デバイスだ。

 特に、液晶ディスプレイの360度回転ヒンジ機構とキーボード着脱機構を両方備えることで、ノートPCスタイルとタブレットスタイルに独自の5スタイルを加えた合計「7スタイル」で活用できる点は見逃せない。これほど多くの利用スタイルを1台で提案できるPCは、他にはないだろう。

 すでにPC USERでは、この7つのスタイルに的を絞った試作機でのレビューを掲載しているが、今回は東芝ダイレクトが取り扱う直販Webオリジナルモデル「dynabook KIRA L93/W9M」の製品版を入手したので、使い勝手や性能を検証していこう。

dynabook KIRA L 東芝ダイレクトの「dynabook KIRA L93/W9M」

 システムの核となるCPUは、第4世代Core(開発コード名:Haswell)の中で最も省電力なYシリーズを採用している。Ultrabookで標準的なUシリーズに比べて、TDP(熱設計電力)が3.5ワット低い11.5ワットで済んでおり、2in1向けの電力指標として6ワットのSPD(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)も定められているため、こうした変形機構付きの薄型PCに向く。

 直販モデルのL93/W9Mは、店頭モデル「L93/39M」に比べて基本スペックを強化しているのが見逃せない。店頭モデルのCore i5-4210Y(1.5GHz/最大1.9GHz/3Mバイト3次キャッシュ)より高性能なCore i7-4610Y(1.7GHz/最大2.9GHz/4Mバイト3次キャッシュ)を搭載し、SSD容量も店頭モデルの128GバイトSSDから256GバイトSSDへと倍増している。評価機の内蔵SSDはSamsung「MZMTE256HMHP」だった。Serial ATA 6Gbps対応のmSATA SSDだ。

 8Gバイトのオンボードメモリ(PC3L-12800/デュアルチャンネル対応)、2560×1440ピクセル(WQHD)解像度の13.3型ワイド液晶パネル、1024レベルの筆圧に対応した電磁誘導式のワコム製デジタイザ、手書きに最適化した太めの専用デジタイザペンと、本体に収納できる細いペン、harman/kardonステレオスピーカー(DTS Studio Sound対応)といった仕様は店頭モデルと変わらない。13.3型クラスのPCとして充実した装備だ。

 プリインストールOSは、64ビット版のWindows 8.1 Updateを採用。直販モデルのL93/W9Mは、Photoshop Lightroom 5とOffice Home and Business 2013を標準搭載するモデルに加えて、後者を省いたモデルも用意している。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA Ldynabook KIRA L CPU-Zの情報表示画面。今回入手した直販モデルはCore i7-4610Y(1.7GHz/最大2.9GHz)を搭載する(画像=左/中央)。TDP 11.5ワット、SDP 6ワットの省電力なデュアルコアCPUだ。Hyper-Threadingにより4スレッドの同時処理が行える。3次キャッシュは4Mバイトと多めだ。グラフィックス機能には、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4200を利用する。メモリ容量は8Gバイトでデュアルチャンネルアクセスに対応する(画像=右)

2つの変形機構を備えつつ、品よく仕上げたアルミボディ

 フルフラットなボディは天面、底面、キーボード面のすべてに削り出しのアルミニウムを採用し、エッジを光り輝くダイヤモンドカットで仕上げている。ボディカラーは「サテンゴールド」と呼ばれる淡いゴールドで統一され、華やかでエレガントなイメージだ。表面の処理も丁寧で、金属の質感を生かしながら、しっとりと手になじむ上質な感触が心地よい。高級感がありながらクドすぎず、カジュアルすぎず、絶妙なバランスだ。

 このdynabook KIRA Lのボディは、スカンジナビアに拠点を置くデザイン会社である「No Picnic」とのコラボレーションによって生まれたということだが、確かにこれまでの東芝のノートPCとは一味違った独特のプレミアムな雰囲気を感じる。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 北欧デザインと東芝の技術が融合したボディは、高級感ある仕上がりだ。素材にはアルミニウムをふんだんに使用。金属の質感を生かした上品な表面処理が施されており、しっとりと手になじむ上質感がある。

 本体サイズは約319.9(幅)×227(奥行き)×16.9(高さ)ミリ。フットプリントは13型クラスのノートPCとしてほぼ標準的で、奥行きが少し長い程度だ。ノートPCとして見ると、キーボードにパームレストがなく、キーボードの奥にスペースがある独特のデザインを採用し、そのキーボード部分のみを着脱できる。これに液晶ディスプレイの360度回転ヒンジ機構を組み合わせることで、7つものスタイルに変形可能だ。

 内部の構造としては、キーボード奥のスペースにメイン基板などのPC本体部を搭載し、液晶ディスプレイの背面に薄型のリチウムポリマーバッテリーを内蔵した独特の設計となっている。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 初めて見ると、こんなところが外れるのかと驚かされるキーボードの着脱機構。スパースバー手前のレバー操作1つで取り外せる。キーボードのジョイント部分を覆う黒いカバーも付属しており、分離して使う場合の見た目や耐久性に配慮している

 16.9ミリ厚とかなり薄いフルフラットな形状なので、バッグなどへの収まりもよいが、2つの変形機構を備えた剛性感あるボディの重量は約1.75キロ(実測値で1.706キロ)あり、キーボードを外した状態でも約1.3キロ(実測値で1.242キロ)ある。

 13型クラスのノートPCとしては比較的重く、手で持った際にずっしりと金属の重みを感じる印象だ。例えば、電車内などで立ったまま取り出し、片手に持ったままコンテンツを楽しむような使い方ができるほど、携帯性は高くない。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA L キーボードを取り外したタブレットスタイルでも重量は約1.3キロあるので、片手で持って利用するとしても数分が限界だろう(写真=左)。幸い自立できるスタイルが複数用意されているので、設置場所さえ確保できれば、タッチ操作は快適に行える(写真=右)

 本体から取り外したキーボード部は、Bluetooth接続のワイヤレスキーボードとして利用できる。キーボードの着脱はスペースバー手前のレバー操作1つで行なえ、装着の際にはカッチリとジョイント機構がかみ合うため、着脱の作業はスムーズだ。キーボードのジョイント部分を覆うカバーが付属しており、分離して使う場合の見た目や耐久性に配慮している。

 PC本体部はキーボード奥のスペースに内蔵していることから、ボディ側面のインタフェース類は奥側に集中している(当然ながら、分離するキーボード側にインタフェースは搭載しないため)。この限られたスペースに、2基のUSB 3.0、4K対応のMicro HDMI出力、音声入出力、microSDメモリーカードスロットを装備し、電子コンパス、加速度センサー、ジャイロセンサー、照度センサーも内蔵する。

 通信機能はIEEE802.11a/b/g/n/acの高速無線LAN、Bluetooth 4.0を標準装備。タブレットとしての利用も想定し、約92万画素のインカメラに加えて、約500万画素のアウトカメラも備えている。実装スペースが制限されるため、SDメモリーカードスロットがmicroSD仕様となっているのは13型クラスのPCとして少々物足りないが、総じてモバイルPCとしての基本スペックは高レベルだ。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 取り外したキーボード部はBluetoothキーボードとしてワイヤレスで利用できる(キーボードの使い勝手は後述)
dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 天面は向かって左上に500万画素のアウトカメラ、右上にペンホルダーを備えている(写真=左)。底面もすっきりとしたデザインだ(写真=右)。スタンド部のカバーは精密ドライバがあれば開けることができ、mSATAスロット(SSD装着済み)やM.2スロット(無線LANカード装着済み)などにアクセスできる
dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 前面の左端にキーボードのBluetooth電源スイッチと充電状態などを示すインジケータを搭載(写真=左)。背面には排気口のスリットが多数あり、動作時はここから排熱される(写真=右)。キーボード/スタンド側と液晶ディスプレイ部の厚さはほぼ同じだ
dynabook KIRA Ldynabook KIRA L 左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、USB 3.0、音声入力の端子を装備するほか、画面側に音量調整ボタン、ペンホルダーがある(写真=左)。右側面にはUSB 3.0、microSDカードスロット、4K出力対応のMicro HDMI出力、PC本体の電源ボタンが並部(写真=右)
dynabook KIRA Ldynabook KIRA Ldynabook KIRA L dynabook KIRA L93/W9Mのデバイスマネージャ画面。256GバイトSSDはSamsungのMZMTE256HMHP、無線LANとBluetoothのモジュールはIntel Dual Band Wireless-AC 7260だった

 液晶ディスプレイの背面に内蔵するバッテリーをCPUID HW Monitorで調べてみたところ、その容量は約46.6ワットアワーだった。公称バッテリー駆動時間はJEITA測定法2.0で約9時間、JEITA測定方1.0で約10.5時間と長めに確保している。

dynabook KIRA Ldynabook KIRA L CPUID HW Monitorで調べてみたところ、バッテリー容量は約46.6ワットアワーだった(画像=左)。付属のACアダプタは実測でのサイズが35(幅)×88(奥行き)×27(高さ)ミリ、重量が約197グラムとコンパクトだ(写真=右)。本体とはスリムなマグネットプラグで接続する。

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