シリコンパワーの台湾工場と本社を日本のユーザーにアピール作るのは、ただの“メモリ”ではない(1/2 ページ)

» 2014年09月24日 16時46分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

日本のユーザーをシリコンパワーの台湾工場に招待

 シリコンパワーは現在、台湾に工場を構え、世界に向けて製品を出荷している。工場は新北市の汐止区にある。この新北市は、台北市を取り囲む形で広がっている。以前は台北県と呼ばれていたが、台北市が発展に伴い直轄市となり残ったエリアを新北市と名前を改めた。

 ドーナツ状に広がる新北市で汐止区は台北市から見ると東に位置する。COMPUTEX TAIPEI会場の1つである南港展覧館のある南港区も台北市の東寄りだが、その先が新北市汐止区だ。桃園県にある台湾桃園国際機場から高速道路でおよそ1時間、台北市の中心部にある台北松山機場からなら30分で移動できる。

 現在、シリコンパワーは、日本で同社製品を購入すると台湾ペア旅行が当たるキャンペーンを行っている。この台湾ペア旅行のコースに本社と工場の見学を含めている。

 シリコンパワーの工場は、オフィスビルの中にある。工場として使っているのは3フロアだ。シリコンパワーは、この中から製造工程、検品、そして梱包から出荷までの過程を公開した。ラインを流れていたのは、USBフラッシュメモリやポータブルHDD用のUSB-Serial ATAインタフェース基板だ。

 製造工程では、PCB基板にチップなどの電子部品をハンダ付けしていく工程のSMTラインを紹介している。ここでは、素の状態のPCB基板が、ベルトコンベアを流れていき、そのなかで複数の機械にかけられ、最終的にハンダ付けされたいわゆる電子基板として完成していく。

まず通過するのがハンダ印刷機だ。基板上のチップを実装する場所にグレーのクリームハンダをスクリーン印刷する

続いて通過するのがチップマウンタだ。PCB基板上にチップを置く。ラインには3台のチップマウンタがあり、最初の2台は高速でチップを配置する最新式で、最後の1台は速度は遅いが大きなチップを配置するのに適した機械、と使い分けている。チップをリール状に巻いており、ピックがこれを取り外してPCB基板上に配置していく

最後の工程がリフロー炉だ。巨大な釜でハンダを溶かし、続く冷却区間でハンダが冷え、PCB基板上にチップが固着する

 この工場では3つのSMTライン設備があり、生産スケジュールに応じて、「きょうはUSBフラッシュメモリ」「明日はUSB-SATAインタフェース」と柔軟に切り替えて生産する。この時点では、まだ1枚の大きなPCB基板上に左右2列、16個のUSBフラッシュメモリを実装している。そして全品このまま、検査に回す。

1回目はPCB基板のチップが正しく実装しているか検査する。専用の機械にかけると、PCB基板上のチップの位置を光学的に検査する。ここでチップがズレていたり、浮いていたりといったことが確認できる(写真=左)。続いて実際に通電して検査する。この検査器具がユニークで、USBが左右8基ずつ備えた万力のような形状で構成しており、その先には一般的なUSBハブを用いるなど手作り感がある。この器具でPCB基板を挟めば、USBフラッシュメモリの通電チェックが1度に16個できる(写真=右)

 フロアを移って、次は基板に外装を取り付ける作業だ。これは1つ1つ手作業で行っている。ここもベルトコンベア上を製品が流れていき、各工程で作業者がそれぞれ担当する部品をはめ込んでいく。

基板に外装を装着していく作業は手作業だ。製造していたのはPCのUSB(A端子)でもMicro USBでも使えるUSBフラッシュメモリの「Mobile X20」だ

 外装の装着が完了すると、もう一度検査を行う。このように、基板の状態と製品として完成した状態の2度、全品検査をするのがシリコンパワーの特徴だ。こちらの検査ではすでに個別の製品となっているため、複数のUSBを備えた台に対し、USBフラッシュメモリ製品を1つ1つ差してテストを行っていた。こうして検査の終わった製品は、レーザーで刻印してから別のフロアで梱包して出荷となる。

製品の組み立て完了後にも全品検査を行う。たくさんのUSBがある台に1つ1つ差して専用のソフトウェアで検査を行う(写真=左)。USBポータブルHDDにレーザー刻印を行っている。オレンジ色のバンパーを備えた耐衝撃タイプの「Armor A30」だ(写真=右)

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