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「VAIO Prototype Tablet PC」なら4K動画の24p再生も高速RAW現像もできる?――Inter BEEのキヤノンブースで実機デモ超高性能タブレットを映像制作に活用(1/2 ページ)

» 2014年11月20日 11時45分 公開
[フォレスト・ヒーロー,ITmedia]

50回を迎えたInter BEEに新生VAIOがキヤノンと参戦

 今年で50回を迎える国際放送機器展「Inter BEE 2014」(11月19日〜21日、幕張メッセ)のキヤノンブースに、あの“超”高性能Windowsタブレット「VAIO Prototype Tablet PC」が展示されている。10月にクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2014」で公開され、試作機ながら大きな注目を集めたWindowsタブレットだ。

Inter BEE 2014キヤノンブース内の4K RAWモバイル・ソリューションコーナー。「VAIO Prototype Tablet PC」が3台展示され、実機の操作も可能だ

 VAIO広報によると今回の展示目的は、キヤノン純正ソフトウェア「Cinema RAW Development」最新版のデモンストレーションおよびタッチ&トライをハイエンドなデスクトップPCではなく、携帯可能な超高性能タブレットであるVAIO Prototype Tablet PCで行えることをアピールするためという。意外に思うかもしれないが、VAIOが公式にInter BEEに出展するのは今回が初めてで、ソニー時代にも出展しなかったというので興味深い。

 クリエイターのために突出した性能を実現するというVAIO Prototype Tablet PCは、プロフェッショナル用放送機器の中でどのように活用できるのだろうか? キヤノンブースにて開催されたセッション「スマートで効率的な最新4Kワークフロー(Canon RAW Developmentを活用したモバイルソリューション提案)」に参加したので、そのリポートをお届けしよう。

 ちなみにCinema RAW Developmentとは、キヤノン純正のディべイヤーソフトウェアだ。聞き慣れないソフトウェアかもしれないが、業務用4Kシネマカメラ「EOS C500」などで撮影された4K Cinema RAWファイルを撮影現場でリアルタイムに現像・再生したり、カラーグレーディング(映像の色彩補正)が行える機能を持つ。

VAIO Prototype Tablet PCで動作するCinema RAW Developmentの最新版(Ver.1.3)

Iris Pro最適化がもたらすモバイルPCでの4K Cinema RAWサポート

 セッションは約30分の構成で、4K Cinema RAWのクリップを現像して再生や出力を可能とするCanon RAW Developmentの最新版を説明したうえで、その新機能と活用方法について、インテルプロセッサおよびVAIO Prototype Tablet PCとともに紹介するといった流れだ。

 最初にキヤノン イメージコミュニケーション事業本部 ICP第四事業企画部 担当課長の恩田能成氏が、4K Chinema RAWのワークフローについて解説した。4Kシネマカメラで撮影した動画は、2本の3G-SDI(5.3Gbps@59.94p)で非圧縮レコーダー収録され、連番RAWファイル(11Mバイト/フレーム、1Tバイト/1hr@24p)への出力となるという。まさに、タフな環境だ。

 当然、4K映像制作現場では、すぐに撮影した映像をチェックしたいという要望が挙がるが、この処理を行うには、従来NVIDIA CUDAで高速化されたハイエンドデスクトップPCやワークステーションが必須。屋外の撮影現場では、機材の大型化、コストアップが強いられていた。制作側の要望で、小型化は急務だったという。

 そんなとき(具体的には1年少し前)、インテルとの打ち合わせの中で、RAW現像に対応できるIntel Iris Pro Graphicsの提案を受けたという。正に渡りに船だった。開発の末、2014年11月に提供したCinema RAW Development 1.3では、Iris Proへの最適化が行われ、4K Cinema RAW現像の高速化や最高24fpsでのリアルタイム再生を実現している。

 つまりこのバージョンアップにより、Iris Pro搭載の高性能ノートPCなどでも4K Cinema RAWが扱えるようになったのだ。もちろん、それはIris Pro採用の「モンスタータブレット」であるVAIO Prototype Tablet PCにも当てはまる。

キヤノン イメージコミュニケーション事業本部 ICP第四事業企画部 担当課長の恩田能成氏(写真=左)。Cinema RAW Development 1.3ではIntel Iris Pro Graphicsへの最適化が行われた(写真=右)

 続いて、インテル ソフトウェア&サービス事業開発本部 ソフトウェア・エコシステム事業開発担当部長の梶原武志氏が、Iris Proのパフォーマンスを紹介。「語弊があるかもと分かったうえで、外付けグラフィックスが必要がないくらいの性能が実現できている。さらに、ノートPCのバッテリーのもちもよくなる」と、プロの作業現場を支えられる性能と電力効率のよさをアピールした。

 特にVAIO Prototype Tablet PCは、Intel Iris Pro Graphics 5200搭載のCore i7-4750HQ(2.0GHz/最大3.2GHz)を採用しており、Intel INDE Media RAW Acceleratorに最適化されたCinema RAW Development 1.3によって、4K Cinema RAWの高速現像および24fpsでの再生、ファイル簡易出力が可能になった。

 なお、同じマシンスペックでも、同Accelerator非対応のCinema RAW Development 1.2では、たった5fps程度でしか再生できないという。改めてソフトウェア最適化の重要性を説く内容だ(この性能の相違については、同ブース2台の展示機で21日まで体験可能)。

 そしてVAIO Prototype Tablet PCは、放熱設計、バッテリーの持ちが素晴しく非常によくできた製品であり、新しい4K RAW現像をタブレットで行える新しいユーセージの変化であると称賛し、プレゼンを締めくくった。

 ちなみにキヤノンの恩田氏によると、Cinema RAW Development 1.3はキヤノン製現像エンジンとIris Pro現像エンジンの切り替えが可能で、従来通り、キヤノン製現像エンジンでは「Perfect quality」とし、Iris Pro現像エンジンでは「Good enough quality」というコンセプトだとしている。

インテル ソフトウェア&サービス事業開発本部 ソフトウェア・エコシステム事業開発担当部長の梶原武志氏(写真=左)。インテルの高性能プロセッサに統合されたグラフィックスのIris Pro、そしてそれを搭載する可搬性の高いマシンにより、プロの作業現場を支援する(写真=右)
Cinema RAW Development 1.3は、Intel INDE Media RAW Acceleratorへの最適化により、外部グラフィックスを搭載しない可搬性の高いPCでも4K Cinema RAWの現像や再生が可能になった(写真=左)。インテルはクロスプラットフォームのソフトウェア開発スイート「IDNE」によって、アプリケーションのインテルプロセッサ最適化を推進していく(写真=右)
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