きょうから始まる新生VAIOの物語──「VAIO Z」に込めた“メイド イン 安曇野”の条件VAIOで必要なのは顧客視点ではない(1/3 ページ)

» 2015年02月16日 22時09分 公開
[長浜和也,ITmedia]

VAIOの開発で重要なのは「共創」と「個客視点」

 VAIOは、2月16日に初めての新規開発モデルとなる「VAIO Z」「VAIO Z Canvas」を発表、同日に新製品発表会を行った。発表会では、同社代表取締役社長の関取高行氏と同社商品プロデューサー商品企画担当ディレクターの伊藤好文氏が新モデルの概要と優位性を紹介した。また、発表会会場には新モデルの実機も展示しており、製品の外観や操作性を実際に試すだけでなく、システム基板を従来のVAIO Fit 13と比較できる展示も用意していた。

新生VAIOの新規開発モデル第1号「VAIO Z」

左側面

そして右側面

カラーバリエーションではブラックとシルバーを用意する

VAIO代表取締役社長の関取高行氏

 VAIO代表取締役社長の関取高行氏は、新会社設立から初めてゼロから開発製造したモデルをお披露目することができたと、VAIO Zを発表できた喜びを表した。関取氏は、新製品の紹介に先立ち、VAIOの基本方針について改めて説明した。「自由だ。変えよう」という宣言から始まったVAIOの活動は、社員全員が固定概念から脱却したもの作りに取り組み、すべてのVAIOを安曇野本社で製造する“安曇野FINISH”を目指したもの作りに取り組んでいると語った。

 初めての新規開発製造モデルとなったVAIO Zも、その方針に従い、商品企画から設計、製造、品質保証、試作、量産とすべての工程において全員が参加して行った「メイド イン 安曇野 モデル」とした一方、メーカーが一方的に製品を開発するのではなく、ユーザーと一緒に物を作っていく「共創」(きょうそう)という考えで開発を進めており、その具体例として開発中のタブレットを一般ユーザーに公開してそのフィードバックを反映するとともに、クリエーターユーザーにも制作作業で使ってもらい、そこで得た意見も取り入れて、製品を仕上げていく開発過程を採用した。関取氏はこれを「顧客視点ではなく個客視点」と表現している。

VAIOの開発では、メーカーが一方的に行うのではなく、想定するユーザーの意見を反映ながら製品をつくりあげていく「共創」「個客視点」を重視していく

 さらに、ほかのメーカーとの積極的な協業も重視しており、キヤノンのカメラ事業との連携など、ソニーの組織として活動していたときにはできなかった協業も実現している。関取氏は、今後もこのようなコラボレーションを積極的に行っていく」と述べている。

 他企業協業の実例としては、日本通信とのスマートフォンに関する連携も紹介している。なお、この件については、後日、日本通信が詳細を明らかにするとしている。関取氏は、日本通信との協業について、SIMロックフリー市場に一石を投じるスマートフォンと通信に対する挑戦で、VAIOの挑戦はPCにだけに限ったものではないことを示していると語った。

他企業コラボレーションの実績として、キヤノンとの連携と日本通信とのスマートフォン事業を取り上げた

 関取氏は、自分たちの考えでイチから作ったVAIOが登場するきょうが新生VAIOの始まりの日」とし、今後も「自由であるか」「独創的であるか」を自分たちに問いかけながら製品開発を進めていくとした。

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