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即戦力の「ビジネスインクジェットプリンタ」を選んでみた(複合機編)SOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第3回)(1/2 ページ)

» 2015年03月11日 11時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

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ビジネスインクジェットの強みが生かせる複合機を選ぶ

 前回まで、ビジネスインクジェットプリンタを選ぶ際のポイントを、2回に渡ってお届けした。今回は具体的な製品選びの視点ということで、プリンタに加えて、コピーやスキャナ、さらに製品によってはFAXをも備えた、いわゆる複合機のおすすめを紹介していく。

 レーザー/LED方式のページプリンタをベースとした複合機に比べて、インクジェット方式の複合機はA3サイズやカラー印刷に対応していても割安なため、ビジネスインクジェットプリンタと言えば、単機能タイプよりむしろ複合機タイプが主流であり、製品数も豊富にそろっている。

 ページプリンタでのA3印刷やカラー印刷は、コストの関係で諦めていたという職場でも、インクジェットならば導入しやすいのではないだろうか。大量部数の印刷速度ではページプリンタに劣るものの、少部数の印刷がほとんどならば、インクジェットで十分対応できるという職場も多いはずだ。

 さて、複合機ならではのチェックポイントはいくつかある。例えばADF(オートシートフィーダー)によるスキャン機能は、片面にしか対応しない製品と、両面に対応する製品がある。後者のつもりで前者を買ってしまうと不便を強いられるが、価格差はそれなりにあるので、利用頻度によっても選び方は変わってくる。手差し給紙に対応していれば、はがきや封筒の印刷が行えるので活躍のシーンは増えるが、こちらも不要な人にとっては無駄な装備で、判断はケースバイケースとなる。

 またひとくくりに「複合機」といっても、FAX機能を省いたモデルもあるほか、通話機能を重視してコードレス電話機を付属したモデルもあるなど、製品ごとの違いは意外に大きい。さらにプリントはA3まで対応しているが、スキャンはA4までだったりと、機能によって対応する用紙サイズが違う製品もある。

 各社のラインアップを見比べれば、こうした違いはすぐに気づくが、単体で見ていると思わぬ機能の欠けを見落とすこともあるので、上位や下位の製品となるべくじっくり比較したいところだ。

A4対応モデルのおすすめは?

 まずはA4対応モデルから紹介しよう。各社の製品の中でもラインアップが多いのがこのクラスで、給紙トレイの容量や印刷速度、コストといった差のほかに、給紙トレイのサイズはA4ながらも手差し給紙によりA3印刷が可能なモデルや、FAXを搭載しないモデルなど、バリエーションは豊富だ。価格は、安価な製品であれば1万円台から入手できる。

 まずはビジネスインクジェットの豊富なラインアップを擁するエプソンの製品から見ていこう。最初に紹介する「PX-M650F」は、実売2万円(税別/以下同)を切るリーズナブルさがウリだ。

 ランニングコストはカラー約12.9円、モノクロ約4.1円と、ほかの製品に比べて決して安くはなく、また印刷速度もカラー約7.3ページ/分(ipm:image per minuteの値/以下同)、モノクロ約13ページ/分と最上位機の半分ほどだが、導入コストが安いことから、予算が限られている場合は候補となるだろう。ADFが片面のみとなることから、両面をスキャンする機会が多いとやや煩わしく感じられるかもしれないが、機構を省略したぶん本体サイズがコンパクトなのは利点だ。

 また、FAX機能を省いて価格を下げた「PX-M650A」(実売1万円台後半)も用意している。

エプソン「PX-M650F」(FAX機能を省いたPX-M650Aも同じデザイン)

 PX-M650Fのワンランク上のモデルに当たるのが「PX-M740F」だ。ランニングコストはカラー約8.9円、モノクロ約3.0円、印刷速度はカラー約10ページ/分、モノクロ約19ページ/分と、いずれもPX-M650Fを上回っており、さらに両面ADFにも対応している。

 実売価格は2万円台前半であり、ランニングコストや使い勝手を考慮しても、PX-M650Fよりこちらのほうがビジネスシーンで重宝するはずだ。購入を検討するにあたっては、同等のスペックで給紙容量がほぼ2倍の501枚となる「PX-M741F」(実売2万円台半ば)も候補に加えたい。

エプソン「PX-M740F」(写真=左)と「PX-M741F」(写真=右)

 エプソンのA4ビジネスインクジェット複合機で最上位となるのが「PX-M840F」だ。ランニングコストはカラー約6.1円、モノクロ約1.8円と、PX-M650Fの実に半分以下。さらに印刷速度もカラー/モノクロともに約20ページ/分と、カラーに関してはPX-M740Fの2倍の速さだ。耐久枚数も15万ページと多いにもかかわらず、実売価格が2万円台後半というのもうれしい。

 ランニングコストがほぼ同等で印刷速度および耐久枚数がやや劣る「PX-B750F」(実売2万円台前半)も用意しているので、予算が限られている場合はこちらも合わせて検討するとよいだろう。

エプソン「PX-M840F」(写真=左)と「PX-B750F」(写真=右)

 ブラザーもビジネスインクジェットプリンタに注力している。同社の「MFC-J4720N」は、カラー約18ページ/分、モノクロ約20ページ/分を実現し、カラー約7.1円、モノクロ約2.0円という低ランニングコストのA4ビジネスインクジェット複合機だ。

 給紙トレイの容量は150枚とそれほど多くないが、多目的トレイと合わせると合計231枚がセットできるので、トレイ1段で250枚に対応した他社製品と比較してもほとんど遜色はない。量販店での実売価格は2万円台半ばとコストパフォーマンスも良好だ。

 なお、ここではA4対応に分類しているが、手差しによるA3印刷およびコピー(A4からA3への拡大)にも対応しているので、利用頻度は低いもののA3印刷ができるに越したことはない、というニーズにも合致する。いざというときにA3印刷に対応でき、A4機並のサイズという点は見逃せない。

 このほか製品ラインアップには、ほぼ同じ仕様でFAX機能を省くことで、実売1万円台半ばの低価格で購入できる「DCP-J4220N」も用意している。

ブラザー「MFC-J4720N」(写真=左)と「DCP-J4220N」(写真=右)

 キヤノンは2014年10月にビジネスインクジェットプリンタの新ブランド「MAXIFY」を立ち上げている。

 その中でもカラー約15ページ/分、モノクロ約23ページ/分の高速印刷を実現し、かつカラー約6.1円、モノクロ約1.8円という低ランニングコストを実現しているのが、「MB5330」(実売3万円台前半)だ。2段トレイで最大500枚の用紙を給紙でき、さらに両面ADFにも対応している。同社のビジネスインクジェットプリンタは耐久枚数について記載がないのがやや気になるものの、性能的にはバランスが取れており、候補の一角に挙げられる製品だ。

 このほか、トレイは1段のみ(最大250枚)で、ADFが両面非対応の「MB5030」(実売2万円台後半)も用意している。

キヤノン「MB5330」(写真=左)と「MB5030」(写真=右)

 給紙トレイはやはり2段欲しいが、導入コストはなるべく抑えたい場合、同じくキヤノンの「MB2330」に注目したい。ランニングコストはカラー約8.9円、モノクロ約3.0円まで上がり、ADFが片面のみの対応となるが、実売価格はMB5330の3万円台前半に対して1万円台後半まで下がっているので、低予算での導入に適している。

 キヤノンは有線LANを搭載せず、ネットワーク接続を無線LANのみに絞った「MB2030」も用意している。ADFは片面、カセットは1段、ランニングコストは前述のMB2330と同じ、印刷速度はカラー約11ページ/分、モノクロ約16ページ/分にとどまり、エントリークラスの仕様だが、MB2330と比較してさらに2000〜3000円程度安価だ。

キヤノン「MB2330」(写真=左)と「MB2030」

 このほか、カラー非対応でモノクロ印刷にのみ対応した製品として、エプソンの「PX-M350F」(実売3万円台半ば)と「PX-K751F」(実売3万円前後)にも触れておく。価格差はそれほど大きくないが、すでに導入済みのプリンタとの使い分けからモノクロで十分という場合などでは、こちらも候補になるだろう。

エプソン「PX-M350F」(写真=左)と「PX-K751F」(写真=右)
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