日本通信とVAIOは3月12日、両社の協業によるAndroidスマートフォン「VAIO Phone」を発表した。製造元は日本通信、VAIOはデザイン中心に監修を行った。2015年3月20日に発売する。
携帯通信網を持たずに移動通信サービスを提供するMVNOの老舗として格安のSIMやスマホに取り組んできた日本通信と、ソニーから離れて2014年7月1日に新会社として生まれ変わったPCメーカーのVAIO。2014年12月25日に両社がVAIOブランドスマートフォンの投入を予告した際は大きな反響を呼んだが、それから2カ月半がたち、ついにその姿が明らかになった。
VAIO Phoneの価格と販売方法については、24回分割払いと一括購入の2種類を用意。24回分割払いの場合は音声通話+上限のない高速定額プランを合わせて月額3980円、音声通話+データ通信容量1Gバイトのライトプランを合わせて月額2980円、端末一括購入は5万1000円となる(いずれもbマーケットの税別価格)。
格安スマホと比べると高めの価格設定だが、iPhoneやXperiaのハイエンド層と、ローエンド層の間に位置するミドルレンジ層を狙うという。そう考えると、この価格帯になるのだろう。もちろん、VAIO PhoneはSIMロックフリー端末だ(ただし、付属のMicro SIMはVAIO Phone専用のもので、他端末で使えない)。
2015年1月30日に行われた日本通信の決算発表会では、VAIOスマホの外箱だけが公開され、散々じらされてきただけに、“箱の中身”への期待が膨らんでいる方も少なくないだろう。まずは「デザイン」にこだわったというVAIO Phoneのボディをじっくりご覧いただきたい。
VAIOロゴを大きく配した黒い外箱をいよいよ開封。撮影したVAIO Phoneの箱には、スマホ本体、マニュアル類、ACアダプタ、USBケーブルが入っていた。このほか実際の製品には、日本通信のMicro SIM(VAIO Phone専用の音声通話+データ通信を用意、ドコモXi/FOMA 3Gネットワーク対応)や、黒いSIMトレイピンなどが含まれる。
VAIOノートを思わせるブラックで統一されたボディは、余計な装飾がなく、実にシンプルなたたずまいだ。カラーはブラックのみで、カラーバリエーションは用意されない。そのため、男性のユーザー向けで、ビジネスユースに適したデザインに思える。
正面と背面はガラス素材で光沢仕上げ、側面はソフトタッチ塗装による非光沢のマットな質感だ。側面から背面は、曲線を描きながら斜めにカットされており、側面のマットな質感も相まって、握りやすい。最新のスマホとしては少し厚いが、持ってみると極薄ボディよりグリップが安定する。シンプルさと持ちやすさへのこだわりが感じられる部分だ。
本体サイズは71(幅)×141.5(高さ)×7.9(奥行き)ミリ、重量は約130グラム。5型液晶ディスプレイ搭載のスマホとしては標準的なサイズで、手に持つとかなりの軽さを感じる。バッテリー容量は2500mAhで、連続通話時間800分、連続待ち受け時間500時間としている。
ちなみに本体の製造自体は海外のEMS(電子機器製造受託サービス)が行っており、VAIOのPCがウリとする「安曇野FINISH」(長野県安曇野工場における細かな最終品質チェック)は採用していない。
VAIO Phoneのスペックは、OSがAndroid 5.0 Lollipop、プロセッサがクアッドコアの1.2GHz、メモリは2Gバイト、ストレージは16Gバイト、ディスプレイは720×1280ピクセル表示の5型液晶(IPS)だ。発表会に展示された実機のプロセッサは、Androidの設定メニューによるとQualcomm MSM8916とあり、旧世代のメインストリーム向けSoC「Snapdragon 410」を搭載していた。
プロセッサは最新の「Xperia Z」シリーズが搭載するSnapdragon 800番台より性能面でかなり譲るが、VAIO Phoneはミドルレンジ向けという位置付けなので、この選択は妥当だろう。
対応ネットワーク周波数帯は、3Gが2100/800MHz、4G/LTEが2000/1800/800MHz。IEEE802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0、GPS、加速度センサー、近接センサーを内蔵する。Wi-Fi、Bluetooth、USBのテザリング機能も持つ。
一方、国内の他社製スマホに見られるNFCやおサイフケータイ、テレビ視聴/録画、ハイレゾ音源再生、防水防塵(じん)といった付加機能はなく、基本的な機能に絞り込んだ製品となっている。
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