ココが「○」 |
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4K解像度で高いスコア |
扱いやすい水冷ユニット |
ココが「×」 |
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越すに越せないGTX 980 Ti |
実売価格10万円 |
AMDがE3で発表して6月24日から出荷も始まったグラフィックスカード「Radeon R9 Fury X」が搭載するGPUの「Fiji」は、HBM(High-Bandwidth Memori)技術を導入したのが大きな特徴だ。HBMはGDDR5メモリの後継となるだろう広帯域メモリで、「TSV」技術と呼ぶダイスタッキング手法を用い、メモリをGPU、または、CPU上にスタッキングして直接実装する。そのため、従来のグラフィックスカードのように、単独のグラフィックスメモリがGPUの周りを囲う必要がなくなり、スッキリとした基板レイアウトになり、カード長もコンパクトにできる。実際、Radeon R9 Fury Xは、基板サイズを「ショート基板」と呼べる7.5インチにまで詰めている。
HBMのもう1つの特徴が“広帯域”だ。こちらは。Radeon R9 Fury Xの仕様とともに見ていこう。前世代のRadeon R9 290Xもバス幅を広げたGPUで、512ビット接続というのはGPUでも最大クラスであるのに対し、Radeon R9 Fury Xは4096ビット接続とさらに広いバスで接続している。Radeon R9 290Xのグラフィックスメモリは16チップ構成なので、1チップあたりでは32ビットになるが、Radeon R9 Fury Xは4チップ構成なので1チップあたり1024ビットとなる。
ただし、バス幅は広いがメモリクロックは抑えている。Radeon R9 290Xの場合は1250MHz、Radeon R9 Fury Xは500MHzだ。GPU上(実際にはインターポーザを介している)に実装するためにGPUパッケージ外に実装する場合と比べて熱設計がシビアになっている可能性もあるだろう。メモリ帯域幅は、Radeon R9 290Xが320GB/secであるのに対し、Radeon R9 Fury Xが512GB/secとなる。Hなお、GeForce GTX 980 TiなどGM200コアのGPUでは、384ビットで7Gbps品のGDDR5メモリを採用しており、メモリ帯域幅は336.5GB/secとなる。これと比較してもFijiのHBMは広帯域といえる。
製品名 | Radeon R9 Fury X | Radeon R9 290X |
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ストリームプロセッサ数 | 4096 | 2816 |
テクスチャユニット | 256 | 176 |
ROPユニット | 64 | 64 |
Z-Stencil | 256 | 256 |
最大GPUクロック(MHz) | 1050 | 1000 |
メモリデータレート(Gbps) | 1 | 5 |
メモリクロック(GHz) | 500 | 1250 |
メモリタイプ | HBM | GDDR5 |
メモリ接続バス幅(bit) | 4096 | 512 |
メモリ帯域幅(GB/sec) | 512 | 320 |
メモリ容量(MB) | 4096 | 4096 |
最大消費電力(TDP:W) | 275 | 290 |
DirectXサポート | 12 | 11.2 |
OpenGLサポート | Vulkan | 4.3 |
そのほかAPI | Mantle | Mantle |
PCI Express Gen. | 3 | 3 |
プロセス(nm) | 28 | 28 |
浮動小数点演算性能(Tflops) | 8.6 | 5.6 |
トランジスタ数(億) | 89 | 63 |
サイズ(平方ミリ) | 596 | 438 |
Radeon R9 Fury Xのグラフィックスメモリ容量は、広帯域のHBMを採用したといっても4チップ4Gバイトでしかない。ゲーム「Grand Theft Auto V」の画質設定ではメモリ使用量の目安を表示するが、4K解像度設定では4Gバイトを超えてしまうことも多い。これから増えてくる“4K”環境のゲームでグラフィックスメモリを4GB超を求める場合にどのような挙動になるのかは気になるところだ。
この点、従来のGPU外実装方式であれば、グラフィックスカードベンダーが、大容量メモリチップを採用し、独自に2Gバイトの倍、4Gバイトの倍、といった倍量モデルをリリースしていたが、GPU上に載ってしまうと、AMDがそのようにバリエーションを用意する必要が出てくる。HBM自体もまだ登場したばかりであるため、倍量のチップをいつ実装するのかという問題もある。現行のFijiで、8チップ構成にしようと思っても実装面積とバスという2つの要因を解決しなければならない。AMDとしても、そこまで用意できればおそらく現行GPUの倍量モデルとするよりは、新GPUとしてリリースするのではないだろうか。このように、グラフィックスメモリの大容量化は、従来よりも難しいだろうと考えられる。
HBMのほかに、FijiではStreamProcessorを大幅に増強した。Radeon R9 290Xでは2816基を搭載したが、Radeon R9 Fury Xでは一気に4096基まで拡大した。合わせて、テクスチャユニットも176基から256基へと増強している。GPUコアクロックも1000MHzから1050MHzと、わずかながら引き上げている。ただし、コアアーキテクチャとしては、Radeon R9 285こと“Tonga”世代と大きく変わるところはない。プロセスルールも28ナノメートルのままだ。トランジスタ数はRadeon R9 290Xの63億に対しRadeon R9 Fury Xでは89億まで増え、ダイサイズもGPUのみで596平方ミリまで拡大した。
ただし、TDPは、Radeon R9 Fury Xで275ワットとしている。消費電力を抑えている要因としても、HBMの影響は大きい。HBMでは、低クロック動作ということもあり、さらに配線長が短く済むことでムダも少ない。AMDによれば、1GB/secを実現するための電力で計算すればGDDR5比で3倍も効率アップするとのことだ。
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