アキバの老舗ショップ「パソコンSHOPアーク」が他店購入のゲーミングノートもカスタムサポートする理由達人ならきっと何とかしてくれる(1/2 ページ)

» 2015年09月02日 19時30分 公開
[ITmedia]

「高い買い物だから、どこまでもユーザーのこだわりに応えたい」

 PCゲーマーから支持されるアキバの老舗ショップ「パソコンSHOPアーク」が“MSI認定サポート店”であることをご存じだろうか。

ゲーミングデバイスを数多く取りそろえ、多くのPCゲーマーが通う秋葉原の老舗パーツショップ「パソコンSHOPアーク」(千代田区外神田3-16-18 通運会館1階)

 MSI認定サポートとは、MSI製ゲーミングノートPCの一部モデルを対象に、内蔵バッテリーの交換や、英語キーボードへの換装といったサービスを製品の保証期間維持したまま提供するというもの。実はMSIとこうした取り組みを行っている販売店はグローバルで見ても非常に珍しい。

 通常、ノートPCでメモリやストレージの換装をユーザーが行う場合は、メーカー保証が切れてしまううえに、これらの作業を昨今主流の薄型ノートPCでするのは難しくなっている。また、交換用部材が流通していない英語キーボードを求める人は、国内に取り扱い店舗がなければ輸入するしかない。たんに内蔵バッテリーを交換するのでさえ、MSIの正規ルートで行えば時間がかかるのが現状だ。

 一方、MSI認定サポート店であるアークに持ち込めば、交換品の在庫があるときは15時までの受付で最短当日での引き渡しが可能。さらにこれらの「MSIゲーミングノートカスタムサポートサービス」はアークで購入した製品でなくても受けられるのがユニークだ(ちなみに同店で購入した製品なら通常サポート価格が5%オフになる)。

同店入り口すぐの場所にMSIのハイエンドゲーミングノートPCがずらりと並び、実際に試せるようになっている。MSIのロゴが入ったシャツを着ている人に声をかければ、用途に応じた購入相談から購入後のカスタムサポートサービスまで丁寧に教えてくれる

 他店が販売した製品も対象になる広範囲なサポートサービスをパソコンSHOPアークが始めたのはなぜか。同店を運営するタワーヒルの浦田氏は、「ハイスペックなゲーミングノートPCは非常に高価で、ユーザーに所有する喜びを与えてくれます。そして高い買い物だからこそ、できるだけユーザーのこだわりには応えていきたかった」とその理由を語る。

 アークの浦田氏といえば、以前「ゲーマーのためのノートPC選び」でインタビューに応じてくれたゲーミングノートPCの“達人”だ。本人も大のMSIファンで、昨年デスクトップPCを15型ゲーミングノート「GS60」シリーズにリプレースして以来、メインマシンとして使用している。

パソコンSHOPアークを運営するタワーヒルでノートPCのバイヤーを担当する浦田氏。MSI公認サポートの仕掛け人だ

 「もともとこのサービスを始める前から、内蔵パーツやキーボードを交換してほしいという声はありました」と浦田氏。「昔のノートは底面のカバーを外せばメモリスロットにアクセスできたりと、構造が単純な製品が多かったのですが、最近ではデザインを重視してバッテリーが内蔵型になり、メモリを交換することさえユーザーがやるのはなかなか大変です。また、こうした行為は当然メーカー保証外になりますので不安もあるでしょう。それならウチでサービスを提供できればと考えました」。

 ただし、認定サポート店としてMSIと協力体制を作るまでには時間もかかったという。「実はもともとの動機が……最初に『ユーザーのこだわりに応えたい』と言っておいてアレなんですが、私自身が英語キーボードモデルが欲しくて(笑)。ただ、そうした一定の需要はありながらも、全体としてはやはり少ないので、かなり大きな台数での取り扱いじゃないと国内向けに英語キーボードモデルは用意できなかったんです。『それならパーツ単位でください、ウチで全部組み込むので』と打診してはみたのですが、対象ノートPCの構造上、ほとんど全部いったん分解してから再組み込みになるので技術が必要ですし、MSIとしてもサポート関連などで不安がある。言ってみれば勝手に分解されてしまうわけですから。そこでMSI本社のプロダクトマネージャーに会って、きちんと技術力を持った信用できる販売店ということを示したり、内蔵バッテリーやキーボード交換の需要が日本にあるということをご理解頂いて、国内でサポートサービスを代行できる公認サポート店に認められました」と浦田氏は経緯を語る。

「まあ、ぶっちゃけ自分が英語キーボードモデルを欲しかったんですけどね」と浦田氏。ぶっちゃけすぎです

 アキバの有名店としてゲーマーからの評価が高いパソコンSHOPアークはハイエンド志向の顧客が多い。ノートPCのバイヤーを担当する浦田氏は、MSIのゲーミングノートPCブランドと顧客の方向性がうまく合致していると考え、2013年ごろからMSI製品の取り扱いを強化。その結果、現在は幅広いラインアップのMSIハイエンドゲーミングノートを販売しているのも評価された一因という。「公認サポート店は日本では当店だけですし、それだけMSIに力を入れていることが認められたのだと思います」と浦田氏。ちなみに、誰がカスタムサポート業務を担当するのか質問したところ、「もちろん私です」と答えてくれた。

 実際にバッテリーの換装手順を実演してもらったが、熟練した手つきで素早く正確にゲーミングノートPCを分解していく様子はまさに“達人”。自分のノートPCはもちろん、これまで3ケタを超える台数のノートをカスタマイズしてきたという。「自分のマシンを何となく開けて中を見ることもあるくらいです(笑)」。どんだけMSIノートが好きなんですか浦田さん……。

「じゃあちょっと開けてみましょうか」とおもむろに自分のマシンを分解し始める浦田氏

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