「Surface Pro 4」と「Surface Book」の率直な疑問――米Microsoft担当者に聞く本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)

» 2015年10月23日 08時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

 日本マイクロソフトが「Surface」シリーズの最新機種となる「Surface Pro 4」および「Surface Book」を国内でも発表した。

 日本ではまず11月12日にSurface Pro 4を発売する。北米での出荷スケジュールが決まっていないSurface Bookについては「2016年の早い時期」と明言を避けたが、日本市場向けの出荷は「一番早いグループ」になるとのことだ。

 今回もSurface 3の発表時と同様、米Microsoft本社でSurface & Windows Hardwareセールス&マーケティング担当のジェネラルマネジャーを務めるブライアン・ホール氏が来日したので、今回の2製品について率直な疑問をぶつけてみた(上記コメントも同氏によるもの)。

ブライアン・ホール氏 Surfaceシリーズの国内発表会でもはやおなじみのブライアン・ホール氏。左手前が「Surface Pro 4」、右手前が「Surface Book」だ

3つを重点的に改良した「Surface Pro 4」

 Surface Pro 4は、ホール氏自身が「98%のSurface Pro 3ユーザーが他ユーザーに勧められる」という高い満足度のデータを基にした「よりよりPro 3」だった。そこにあまり驚きはないが、一方で確実に改良は進んでいる。ホール氏は「ペン機能」「画面の美しさ」「タイプ」のしやすさの3つを重点的に改良したと話した。

―― ペン機能は独自の最新チップを搭載しているとアナウンスされています。スペック面でも1024レベルの筆圧検知など、従来に比べて改良が進みました。これは先日Microsoftが買収したN-Trig社の新しい技術が採用されているという理解でいいでしょうか?

ホール氏 ペンのフィーリングは大きく改善させました。多くのSurface Proユーザーがペン入力機能を気に入ってくれています。フィーリングの向上に関しては、N-Trigの最新技術も取り込んでいます。新しいペン入力機能用チップは、まだ他製品には採用されていない最新のものです。

 ただしペン入力機能の向上は、Surface開発チームのチューニングやWindows 10自身のソフトウェアスタック改良といった側面も寄与しており、それらトータルで改善されています。

 一方でペン入力装置そのものにも改良を加えています。マグネットで本体に取り付けることが可能になったほか、消しゴムボタンをペンチップの反対側に配置したことで、手元の選択ボタンが使いやすくなっています。

Surface Pro 4 フィーリングを向上させたSurfaceペンは、マグネットで本体側面に取り付けることが可能になった

―― 「画面の美しさ」については狭額縁になり画面サイズが少し広がり、画素密度が向上したという認識ですが、ほかに大きく変化した部分があるのでしょうか? 例えばガンマトラッキング(トーンカーブの正確さ)、色再現性、コントラスト、輝度レベルなどについて、明確な改善があったのですか?

ホール氏 数字上での改善もありますが、それらは第三者機関も認めています。既に出荷されている「Surface 3」に搭載されたディスプレイは、DisplayMate Technologiesによる評価で、最も優れたディスプレイであるとの認定をもらいました。先に挙げた全ての点で、Surface 3はライバルよりも優れていたのですが、Surface Pro 4はさらにその上を行く性能です。

 ただし、私たちが美しい画面と言っているのは、そうした部分だけではありません。物理的な画面の構造が違うのです。ごくごく薄いガラス、タッチパネルモジュール、液晶パネルユニット、バックライトをダイレクトボンディングで接着しており、全くすき間がありません。このためSurface Pro 4の画面は視差がほとんどなく、ガラス表面に映像が投影されているように見えます。

―― 「PixelSense」という用語を使っていましたが、これは正確な色再現と視差の少ない美しい見え味のスクリーンのことを指しているのでしょうか?

ホール氏 画質だけでなく、マルチタッチパネルやペン入力の正確さなど、スクリーンを通した全てのユーザー体験に対するアプローチのことです。高画質で正確な色再現はもちろん、画素を1つずつ操作できるような正確なタッチセンシングやペン入力体験の全てを総合して、PixelSenseと呼んでいます。

PixelSenseディスプレイ フットプリントはそのままに画面サイズと解像度を向上。新しい12.3型の液晶ディスプレイは画質だけでなく、指でのタッチやペン入力の精度にもこだわったという

―― タイプカバーが投入された当初、「薄いキートップ形状にするなら、キーの間に空間を設けないとミスタイプしやすくなるのでは?」と尋ねましたが、その通りになりましたね(笑)。

ホール氏 キーボードの設計を見直すことで、薄い中でもストロークや確かなフィールを確保することが可能になりました。キー配置に関しては全くそうですね。

 私たちは市場からの声に耳を傾けています。キーボードはSurfaceシリーズにとって重要な要素なので、ユーザーフィードバックからさまざまな要素を取り込み、ガラス製のタッチパッドを含め、大きく操作性を改善できているはずです。新しいタイプカバーはPro 3でも利用可能なのでぜひ試してください。

タイプカバー キー間隔を離したアイソレーションデザインになった新しいタイプカバー。タッチパッドの操作性も改善している

―― Pro 3ではときに発熱が問題になり、ケースバイケースでパフォーマンスが低下する場合もありました。薄さを考えれば許容できるという意見もありますが、この辺りで設計のアプローチで変えた部分はありませんか?

ホール氏 熱対策は常に改善をしようとしています。Pro 4では大きく2つの点で、発熱には強くなっています。1つは第6世代のCoreプロセッサになったことで、これによって同程度の負荷に対する消費電力は大きく下がりました。

 もちろん、Pro 4自身の放熱に関しても改良が施されています。放熱にはアクティブシステム(冷却ファンなどによる排熱)とパッシブシステム(筐体など全体に熱を広げて外気に触れる面積を増やすことで基礎的な放熱量を増やす)の2つのアプローチがあります。Pro 4はアクティブシステムも改善しましたが、より大きく改善したのはパッシブシステムで、Pro 3よりも自然放熱で処理できる熱容量が増えています。

 Pro 3ではCore i3/i5/i7のラインアップでしたが、Pro 4ではCore m3も採用しています。Core m3で動作するSurface Pro 4で、アクティブシステムによる放熱が不要になるよう設計したのです。Core i5以上ではアクティブシステムを使いますが、同様の処理内容ならばファンが動作するタイミングも遅く、頻度も少なくなりました。

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