林信行が「iPad Pro」に見る新たな可能性:iPadを再定義するフラッグシップモデル(1/5 ページ)

» 2015年11月11日 21時58分 公開
[林信行,ITmedia]

 今から5年前、Appleは初代「iPad」を発表し、デジタル情報機器の世界に新しいカテゴリを生み出した。

 世間ではただ形が似ているというだけでiPadをほかの「タブレットPC」と同類扱いする人も多かった。だが、実はiPadが持つ最大の特徴は「パソコン」ではないことだった。

「iPad Pro」を1週間試用した林信行氏がその可能性を語る

 iPadは米陸軍や米国トップ500企業など大企業での導入でも一定の成果を残したが、それ以上に大きな変化が起きたのは、パソコンによる情報革命に乗り遅れていた業界――例えば農林水産業やスポーツ、エンターテインメント、飲食、医療、教育といった業界の人々で、これら多くの業界ではまさに「21世紀化」とも呼べる大きな変化をもたらしていた(これは筆者が執筆した毎日新聞経済プレミアムの連載「ITが変えるビジネスの近未来」を参考にして欲しい)。

 一方で、すでにパソコンの普及が進んでいた業界では、例えば事務作業をするにはハードウェアキーボードの使い勝手が悪かったり、細かな作業をするクリエイターの道具としては指を使ったタッチ操作しかできないという理由で、定型フォームの入力やプレゼンテーション、外回り時のメールやWeb利用などやや限定的な使い方にしか利用されずにきた。

 今回、1週間ほどiPad Proを試用してみて、同製品はまさにこうした状況を変える、各分野のプロフェッショナルが使うためのモデルであり、全iOS製品のフラグシップとも言える製品だと実感した。

 それと同時に、いまこの製品が登場したことで、世界に旋風を巻き起こした“iPadという製品カテゴリ”が再定義されようとしているのも感じた。

広大なスクリーンでiPadの魅力をさらにビッグに

 インターネットなどで人々がiPad Proのどの部分に期待をしているかを調べてみると、とにもかくにも真っ先に「Apple Pencil」というキーワードが浮かぶ。

 その期待は正しい。まるで本物の鉛筆のような感覚で手描きできるApple Pencilを触る楽しさは、おそらくほとんどの人の想像を凌駕(りょうが)し、大いなる満足をもたらしてくれるだろう。

 筆者は今回のレビューの前にもiPad Proに2度触る機会があった。字を書くのも、絵を描くのも苦手な筆者だが、そこでも十分、大きな感動を得た。そして、家でじっくりApple Pencilを使うと、純粋に我を忘れて楽しむことができた。

 だが、ここではいったんその魅力は脇に置いておき、iPad Pro本体そのものの魅力を改めて再認識してみたい。

 なぜなら、iPad ProはApple PencilやSmart Keyboardといった別売アクセサリなしでも十分に魅力的なiPadだからだ。

 iPad Proは、とにかく巨大だ。本体も巨大なら、画面も巨大。それでいて威圧感はなく表現は繊細だ。解像度が高く、色の表現力も豊かになっている。まさに写真や映像を少しでも美しく見せたいプロフェッショナルにとって妥協のない1台となっている。

大きさとしてはiPad miniの約2枚分だが、これは画面サイズが2画面分という意味ではなく、iPad Proの画面エリア上にiPad mini本体が2枚スッポリおさまるくらいのサイズということだ。これまでのiPadに触れてきた人は、まずその大きさに驚かされる。何しろMacBookよりも巨大で、MacBookにフィットするスリーブケースに収納しようと思ったら入らなかったほど。iPad Proは半分ほどの薄さだが、縦横ともに25ミリくらいずつ大きい

iPad Proの画面サイズは12.9型と大きく、解像度は2732×2048ピクセルの264ppiだ(ppiは1インチあたりのピクセル数)。MacBookは12型で2304×1440ピクセルの226ppi。iPad Proのほうが画素ピッチが狭く、高精細な表示になる

 画面はMacBookと比べても大きく、精細だが、それだけにとどまらない。AppleがRetinaディスプレイを搭載するiMacを開発した際に生み出した技術――例えば、正面から画面を見たときのコントラストをより高め、色の均一性を保つ酸化物TFTをiPad Proにも採用するなど、iMac相当ではないにしても、より繊細な画像/映像表現ができるようになっている。

大屋根の写真を見比べるとiPad Proだけが、天井に張られたガラス越しの空の色や横から当たる夕陽の光の加減をうまく表現しているのがはっきりと分かる(クリックで拡大表示)

もう一方のアパタイザーの写真を拡大表示すると、iPad Proでは画面左上のイチジクの赤身部分やその横の巨峰の皮のグラデーションが自然に描かれている。またオリーブの間にはさまれたハーブも深い色と淡い色との幅が大きいことを確認できる(クリックで拡大表示)

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月25日 更新
  1. 定格1650Wの7.5万円電源&Noctuaファン採用の異常検知アダプターが登場! (2026年10月24日)
  2. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  3. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  4. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  5. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  6. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  7. エイサー、Ryzen 3/5を搭載したコンパクトデスクトップPC Amazon専売モデルも用意 (2026年10月23日)
  8. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  9. Anthropicが常時稼働するエージェント「Claude Duet」を発表/AMDとIntelが協業 PyTorchのx86 CPU最適化を「oneDNN」に一本化 (2026年10月25日)
  10. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー