ラグビートップリーグで監督と現場がやりとりするトランシーバーにはとんでもない秘密があった(後編)ITとスポーツ(1/2 ページ)

» 2016年01月29日 13時13分 公開
[らいらITmedia]

  ジャパンラグビートップリーグのNTTドコモレッドハリケーンズは、試合で使うトランシーバーに悩まされていました。音質が悪く監督やスタッフの指示が伝わりにくい、混線のせいで敵チームの声が入ってくることがある……。

ラグビーの試合では、チームの監督とスタッフ以外にも、ウォーターボーイやメディカルスタッフ、主審、サイドラインの副審と、多数の人がトランシーバーを使っている

 この“トランシーバー問題”を改善するために導入したのが、ドコモのIP無線機「ドコモビジネストランシーバ」でした。後編ではレッドハリケーンズにビジネストランシーバーを導入した、NTTドコモ関西のトランシーバー営業チームに話を聞きます。

左から山本氏、今津氏、西村氏。今津氏はレッドハリケーンズ前マネージャー、西村氏はレッドハリケーンズ元選手。現場視点から試合会場でのトランシーバー事情を語った

前マネージャーと元選手が語る、ラグビートップリーグのトランシーバー事情

――(聞き手:筆者) レッドハリケーンズにビジネストランシーバーを導入したのはいつ頃ですか。

今津敏明氏(以下、今津氏) 2015年11月21日、リーグ第2節のキヤノンイーグルス戦から使い始めました。公式戦や練習試合などで運用しています。練習ではコーチ陣は声の届く場所にいますので、練習で使うことはあまりありませんね。導入してまだ数試合といったところです。

―― 何台導入したのでしょうか。

今津氏 予備機含めて全部で15台を納めており、1試合で12〜3台を使ってもらっています。試合では本体はポケットに入れたままで、イヤフォンと小さいマイクを使ってやりとりしています。

―― なぜ導入を勧めることになったのですか。

西村知巳氏(以下、西村氏) レッドハリケーンズは今まで、免許のいらない、狭い範囲で電波の飛ぶような無線機を使っていました。しかし音質が悪いうえに故障もあり、トランシーバーの買い替えを検討していたということです。試合会場は郊外が多いので、最初はエリアの心配をされましたが、携帯電話と同じFOMAネットワークなので特に問題なく使っているようです。

2016年1月9日、Honda HEAT対NTTドコモレッドハリケーンズの試合。レッドハリケーンズの下沖監督は駒沢陸上競技場の観客席上方に座り、現場スタッフに遠隔で指示を出していた

今津氏 2015年のラグビーワールドカップを見ていただいた方なら分かると思いますが、エディーヘッドコーチはガラス張りの部屋から指示を出していましたよね。しかし日本のスタジアムでリーグ戦を行う際、監督たちの席は観客席の上方のため、風がビュービュー吹いてきます。厳しい環境下で音質が悪い簡易的なトランシーバーを使い、指示を下に伝えなければいけません。

 実は私はレッドハリケーンズ前マネージャーなので、聞き取りづらさを知っています。一刻一秒を争う試合の中で、「交代8番? 7番? 誰!?」とコミュニケーションが取れないことは、なかなかしんどいのです。私もやりとりするスタッフも両方あせっていて、「早く交代しろ」と言ったら全然違う選手を交代していた経験もあります(笑)。

 トランシーバーはレッドハリケーンズだけでなく、相手チーム、主審とサイドラインの審判陣、競技場の運営チームなど多くの人が使います。そのため回線が混線し、「○番ゲート人が混んでるよ」なんて声が試合中聞こえてきて、慌ててチャンネルを変えたこともありました。

―― 今ではトランシーバーの混線問題が解決したそうですね。ほかのチームはどうしているのでしょうか。

今津氏 ビジネストランシーバーは専用のネットワークを使っているので、混線することがまずありません。それに現場では音質が高い点を求めていましたし、安心して試合に集中できているようです。現在、レッドハリケーンズ以外のチームは、我々が以前使っていたのと同じような簡易的なトランシーバーを使っていると思います。

―― 音質といえば、柳沢慎吾さんの警察24時ネタで、タバコの外装のビニールを使って警察無線を真似するくだりがありますが、あれと違ってあまり音も割れませんね。

今津氏 LINE電話などは同じくパケット通話ですが、こちらは始めから「いかにクリアな音声で通話できるか」を前提に作っているので、IP電話系アプリに比べると音質は断然にいいです。

レッドハリケーンズはモバイルクリエイト社製のiVo-300を導入。dポイントカードとサイズを比較した。なお前編のインタビューでボタンを押してから通話までにライムラグがあることが判明したが、iVo-300の緊急地震速報機能をオフにすることで、約1秒強のタイムラグが約1秒弱に短縮できるという

―― レッドハリケーンズ以外で、スポーツチームへの導入は考えていらっしゃいますか。

今津氏 スポーツチームへの本格導入は今のところレッドハリケーンズのみですが、今年のニューイヤー駅伝では、NTT西日本陸上競技部の駅伝チーム運営が試験的に運用しました。例えば、箱根駅伝でも、一人で3台、4台と携帯電話を持ってやりとりしていますが、ビジネストランシーバーならこれ1台で全員と一度に話すことができます。さまざまなスポーツでニーズはあると思います。

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