iPadの可能性――筑波大×附属桐が丘特別支援学校のアプリ開発ITと教育(1/3 ページ)

» 2016年03月17日 16時13分 公開
[らいらITmedia]

 アップルストア銀座で13日、「Education Event “Teacher’s Night” : iPadが変える学び『コラボレーションと問題解決』」が開催されました。この取り組みの主人公は、筑波大学附属桐が丘特別支援学校に通う中高生たち。筑波大学情報科学類の学生と連携し、肢体不自由のある生徒の学習・生活課題を解決するiPadアプリを開発しています。

2013年から始まったアプリ開発の取り組みとは?

なぜ特別支援学校でiPadを活用しているのか?

 肢体不自由のある生徒にとって、紙の教科書はページをめくるのが難しく、教科書を押さえながらプリントへ書きこむ動作が困難な場合もあります。プリントが増えれば持ち運びが大変ですし、書いた字が読めないこともあるのだそう。

私たちが何気なく行う「ページをめくる動作」や「教科書を開いたまま隣のプリントへ書き込む動作」も、人によっては困難な作業になる

教科書、プリントが増えれば持ち運びが大変

 そこで桐が丘特別支援学校では、学習の幅を広げるため授業にiPadを導入しました。iPadに教科書を取り込むことでめくる動作が楽になったほか、画面を拡大して入力したり、書いたものを縮小して一画面に収めることも可能になりました。手書きが難しい生徒はソフトウェアキーボードを使い、スタイラスを使って入力しています。

iPadを使うことでページをめくりやすくなった

 同校の教諭である白石利夫氏は、iPadの導入理由について「さまざまな障害に対応するアクセシビリティが豊富に備わっていること」を挙げました。「アクセシビリティ」はiOSに標準搭載されている機能であり、身体に不自由のあるユーザーをサポートします。例えば手の上下の可動域が狭い生徒は、「AssistiveTouch」を活用して自由に画面を操作しています。

iOSには「AssistiveTouch」や画面読み上げ機能の「VoiceOver」など、ユーザーの補助機能が標準で搭載されている

 このように紙の教科書の課題を解決するiPadですが、利用シーンが増えるごとに細かなニーズが生まれてきます。そこで桐が丘特別支援学校の生徒たちと筑波大学情報科学類の学生が協力し、アプリ開発に着手することになりました。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  9. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
  10. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー