ダイソンが中学生に自社の掃除機をバラバラにさせる理由とは?(1/2 ページ)

» 2016年05月20日 06時00分 公開
[池田樹俊ITmedia]

 近年、「STEM教育」というワードに注目が集まっている。これは「Science」「Technology」「Engineering」「Mathematics」の頭文字を取ったもので、理数系の科目に重点を置いた教育手法である。

 文部科学省が義務教育におけるプログラミング必修化の検討し始めたのにあわせ、このSTEM教育が教育現場でホットワードとなっている。

 5月18日から20日までの3日間、東京ビッグサイトで開催中の学校関係者向け展示会「第7回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)」でも、プログラミング教育に関連した展示が目立つ。一例を挙げれば、簡単なプログラミング言語、もしくはビジュアルプログラミング言語を使用して、LEDを点滅させたり、ブザーを鳴らしたりといった教材だ。

ハードウェアで仕組みを理解する試み

 多くの展示がプログラミング教育に重きを置く中、ソフトウェアではなくハードウェアを通じて問題を解決するための論理的思考を理解するというコンセプトの展示を行っているのが、「ジェームズ ダイソン財団 ジャパン」(以下、ダイソン財団)である。

 ダイソン財団は、掃除機で有名なダイソンの創業者 ジェームズ・ダイソン氏が私財を投じて設立した財団だ。2002年にイギリスで設立され、日本国内での活動をより本格化させるため、2016年に日本法人を設立している。

ダイソンブース全景 ダイソンブース全景

 ダイソン財団が国内で行っている事業の一つとして、教育機関向けの問題解決型ワークショップがある。中学生や高校生を対象に、ダイソンの掃除機をその手で分解してもらいながら設計思想について解説することで、エンジニアリング(技術)や問題解決手法についての理解を深めてもらうのが狙いだ。 

ダイソン エンジニアボックス 「ダイソン エンジニアボックス」の中身。分解学習に必要な材料がセットされている。

 例えば、紙パック式掃除機につきものである「ニオイ」。これは排気に含まれる、フィルターで取り切れなかったホコリが原因だ。ダイソンの掃除機では、このニオイの元を取り除くため、空気清浄機と同等のHEPAフィルターを搭載している。従来製品にある課題の解決方法を、実際にその手で体験しながら学ぶことができる。

クリアビンを取り外す クリアビンを取り外す
ふたを開け、フィルターを取り出す ふたを開け、フィルターを取り出す
細かいところまで分解できる 細かいところまで分解できる
HEPAフィルター これが「HEPAフィルター」
本体の分解 本体も分解できる。ネジには長さ別に色が塗り分けてあるので区別しやすい
分解完了 分解完了。一台の掃除機はこれだけの部品から構成されている

 エンジニアリングマインドを体験した後は、実際に生徒の普段の生活の中に存在する課題を解決する場を設けるという。生徒が実際に学校の中を歩き回り、各所に存在する課題を見つけて解決する方法がないか試行錯誤するのだ。

 ボランティアとして参加しているダイソンのエンジニアは、生徒達が発見した課題に対し、解決するための手助けをする。ダイソン製品に限らず、身近にある問題を解決するプロセスを通して、生徒たちにエンジニアリングの楽しさを味わってもらい、課題解決に対する興味を持ってもらうのが目的だ。

 現在、国内の専任職員は2人だが、多くのダイソン社員がボランティアとして活動に参加しているという。社内でボランティアを推奨する動きが活発で、社内制度も充実しているためだ。その結果として、2015年には産業界による優れた教育支援活動を表彰する「キャリア教育アワード」中小企業の部において、最優秀賞(経済産業大臣賞)も受賞した。

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