ダイソンが中学生に自社の掃除機をバラバラにさせる理由とは?(2/2 ページ)

» 2016年05月20日 06時00分 公開
[池田樹俊ITmedia]
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なぜダイソンがエンジニアリング教育に注力するのか?

 ダイソンは、エンジニアを「世界の問題を解決する人たち」と定義し、エンジニアを育成することでそれぞれの国の発展に貢献する人材を育てることを目的としている。日本においても、エンジニアリングを題材とした教育支援を行っている。その理由は、ダイソンが英国でサイクロン式の掃除機を開発したとき、既にある紙パック式の掃除機に押され、なかなか売り上げを伸ばすことができず、新製品の開発費用を捻出できなかった。しかし、日本市場では実力を認められ、その売り上げで開発費用を得ることができたという経緯があった。そのため、ダイソンは日本市場を重視し、このような活動にも力を注いでいるのだという。

 この教育の成果をさらに発展させるため、若いエンジニア・デザイナーを対象に「問題解決をデザインする」というテーマを掲げたアワードを行っている。このアワードは、既存の問題を革新的なアイデアで解決するプロダクトを選出するものだ。

 このアワードの特徴として、全ての権利が応募者に帰属する点がある。通常のアワードであれば、受賞と引き換えに、アワードを主催する会社のブランドで発売することを求められる場合が多いが、このアワードでは、そのような制約はない。

 なぜダイソンはこのような姿勢を取っているのだろうか。それは「世の中の問題を解決するプロダクトであれば、広く世に出回ってほしい」というダイソンの願いからきている。

 ダイソンは「モーター」と「空気の流れ」を軸にした商品開発を行っている。仮に受賞作品をダイソンのブランドで発売するとなると、このコンセプトにそぐわないプロダクトは日の目を見ることがない。世の中に存在する問題を解決するプロダクトを増やすためには、企業の枠にとらわれない取り組みが重要だ。

 ただ、日本からのアワード参加者はまだ少ないという。アワードに興味を持つ人を増やすためにも、教育機関向けのワークショップを増やしていく。また、ワークショップで取り扱う題材も掃除機だけでなく、他の製品にも広げていく方針だ。

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 エンジニアリング教育といえば、現状では、どうしてもプログラミングなどのソフトウェアに傾きがちな現状だが、ハードウェアを通じて問題解決を学ぶ機会を提供するダイソン財団の取り組みは新鮮に感じた。

 中高生のキャリア教育という面ももちろん、このプログラムを通じて身に着ける「日常に存在する問題を解決していく姿勢」は、青少年の人格形成にもいい影響を与えるヒントになりそうだ。

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