まず、今回の工作の要になる「mbed HRM1017」のご紹介です。mbed HRM1017はスイッチサイエンスが販売しているBLE(Bluetooth Low Energy)開発ボードです。
このボードはmbedという開発環境に対応しており、ブラウザ上からプログラミングが可能です。そのため、ローカルに環境を構築する手間がありません。作ったプログラムはドラッグアンドドロップでmbed HRM1017に書き込むことができるので、簡単にBLEデバイスを作ることができます。このボードでフットスイッチの入力を受け取り、Bluetoothで接続したPCに特定のキーが押された際の信号を送るようにします。
状態を示すインジケーターとして三洋半導体の「赤色LED 3mm SLP-9118C-51H」を使用します。しかし、mbed HRM1017はLEDを点灯できるほどの電流出力を持たないので、トランジスタ「C1815」で電流を増幅させます。
入力に使うフットスイッチにはKORGの「PS-1」を採用しました。金属製でずっしり重く、耐久性が高いと判断しました。本当は分解して回路を内蔵したかったのですが、頑丈過ぎて諦めました。ですので、今回はケーブルを切断し、配線を基板にはんだ付けすることにしました。
いきなりユニバーサル基板に部品を取り付けてしまうと修正が難しいため、まずはブレッドボードで試作します。ブレッドボードは、はんだ付けが不要で、部品を抜き差しして回路の作成や修正が容易な、試作に適した基板です。
今回用いるmbedはその開発の容易さから、さまざまな人がライブラリを開発、公開しています。その中にBLEでPCと接続し、キーボードとして通信するためのライブラリがあったので、これが動くか試験しました。
まずブレッドボードにスイッチ回路を作り、mbed HRM1017とつないでスイッチを押した際に、キーボードの特定のキーコードが送れるかを試しました。ボード左側中央にある黒いものがスイッチ、スイッチの上にあるのがコンデンサー、下にあるのが抵抗器です。コンデンサーと抵抗器はチャタリング(スイッチなどの接点が接続状態になる時に発生する、不安定な信号や動作)を防ぐために必要な部品です。この回路でWindows機との通信は成功したので、次の段階に進みます。
続いて、試作で動いた回路をユニバーサル基板に落とし込んでいきます。最近だとCADで設計して、プリント基板を発注しても3000円程度で作れてしまうのですが、発注から納品まで1週間程度かかるので、今回はユニバーサル基板での設計としました。
ユニバーサル基板には部品の取り付け穴が一定間隔で並んでいて、そこに部品を差し込み、はんだ付けをしていきます。なるべく配線が交差しないような部品の配置と配線を考えなければなりません。この作業はパズルに似ています。下の写真のように設計図をざっくり書いたのですが、結局部品を置くときに間違えてしまったので、実物では違う配線になってしまいました……。
実際に部品を差し込んではんだ付けをしていきます。はんだ付けで固定をしたら、基板をケースに組み込みます。ケースへの基板の固定にはグルーガンを使いました。
そして完成したものがこちらになります。
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