モバイルPCの薄型化とトレードオフになりがちなのがキーボードのキータッチだが、HP Spectre 13のキーボードは実際にテキストを入力した印象としてはかなりよい。薄型ノートとキータッチの関係で、一番気になるのがキーを押した時の本体のたわみである。HP Spectre 13は底面の前方、後方に加え、中央部分にもゴム脚があるため、たわみについてはほとんど感じられず、むしろ浅いストロークにしてはしっかりとした反発が感じられる。デザイン上では少しだけやぼったく感じる中央のゴム脚だが、こうした利点があるわけだ。
キーボード配列は、左手前のFnキーをいくつか組み合わせて操作する必要があるものの、本体側が13.3型のため、キーピッチにはゆとりがある。その点で打ち間違いは少なく感じた。キーボードの左右にはスピーカーのためのスペースが確保されている。スピーカーはHPの上位モデル製品でよく採用される「Bang & Olufsenデュアルスピーカー」で、ソフトウェア上からも音質を調整できる。
モバイルPCの薄型化でもう一つトレードオフとなりがちなのがインタフェースだが、HP Spectre 13では、薄さを実現するために4つある端子のうち1つはヘッドフォン/マイクのコンボポートとして、残る3つをUSB 3.1 Type-Cとし、この点に関しては十分にクリアしている。USB Type-Cは、後方から見て左に1基、左手やや中央寄りに2基搭載している。最も左のUSB Type-CはACアダプターと共用になる。共用ということは、つまりUSB 3.1 Type-Cとしても使用可能だ。実際、マウスを接続してみても問題なく動作した。このようにACアダプター接続時は2ポート、モバイル時は3ポートが利用できるため、スリムボディでありながら十分な接続性を持っており、大きな魅力となっている。
USB Type-Cという点が、周辺機器の普及率という点でネックではあるが、標準で「USB A 変換アダプター」(USB Type-C→Type-Aメス変換)が1本付属する。出先でUSB Type-Aの機器を接続することが考えられる状況では、この変換ケーブルを携帯しておきたい。
純正オプションとして「HP USB Type-C トラベル ドック」も用意されている。こちらはUSB Type-A×2、LAN、Dsub15ピン、HDMIといった端子をコンパクトにまとめたドックだ。自宅やオフィスに常備しておけば、簡単に使用シーンによって状態をチェンジできる。これを機会にUSB Type-C機器を取りそろえてみてはどうだろうか。HP Spectre 13の性格上、USB Type-C機器をスマートに使いこなしたいところだ。
中央寄りの2基のUSB Type-CはThunderbolt 3対応のUSB 3.1 Type-C端子となり、Thunderbolt 3対応機器を接続すれば通常のUSB 3.1 Type-Cよりも速い40Gbpsの転送が可能だ。Thunderbolt 3機器は現在まだ入手可能な製品が少ないが、先のCOMPUTEX TAIPEI 2016で展示された開発中の機器を見る限り、2016年後半にはドックやビデオカード増設ボックスなどを中心に製品が登場してきそうな状況だ。
ACアダプターは、スクエア形状のコンパクトなタイプで、持ち運びにもかさばらない。インタフェースは前述の通りType-Cだ。出力は5V×2A/12V×3A/15V×3Aの選択式で、最大出力は15V時の45Wという計算になる。コンセント側ケーブル差込口(3極タイプ)は、一段窪んだところにある。可倒式のコンセントアダプターなどを用意すれば、よりコンパクトに持ち運びできそうだ。
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