Googleは7月13日、Androidをベースとした車載向けソフトウェア「Android Auto」を日本国内で提供開始すると発表した。Android Autoに対応するカーナビゲーションシステム(以下、カーナビ)に、Android搭載スマートフォンをUSBケーブルで接続することで、スマートフォン内のアプリや音楽のプレイリストなどをカーナビのディスプレイ上や音声操作によって操作できる。
このプロダクトは2014年に米国で発表、2015年に最初の製品がリリースされてから、現在までに全世界で40以上の自動車メーカーや車載システムメーカーによって100種類以上の製品が対応している。
Android Autoが一貫して掲げるのは、ドライバーに対する情報のユーザーエクスペリエンスを向上させることだ。安全性を十分に考慮した設計を重視し、ドライバーがハンドルから手を離さず、視線を前方から外さなくてもスマートフォンのお気に入りアプリを利用できる。
Android Autoに対応するカーナビにAndroidスマートフォンを接続すると、カーナビのディスプレイ上にホーム画面が表示される。ここにはユーザーに関する情報が表示される。スマートフォン向けパーソナライズアシスタント機能「Google Now」のようなものだが、現在地の天気や目的地までの距離や所要時間など、より車内で利用できる情報に最適化されているという。
画面下部には、左から順に「ナビボタン」「通話ダイアラー」「ミュージック」と、各種機能にアクセスできるボタンが表示される。ナビボタンを押すとGoogleマップが表示されるが、スマートフォンなどのUIとは異なり、次の曲がり角などが大きく表示されるなど、カーナビに近いUIが表示されるのが特徴だ。カーナビのユニットに内蔵されたGPSセンサーやジャイロセンサーの情報も利用できるため、例えばトンネル内に入ったときに位置を正確に補足できるなど、Androidスマートフォン単体でナビを利用したときよりも位置精度の向上が期待できる。
他にも連絡先の中に保存された人物にハンズフリーで電話をかけたり、Playミュージックで音楽再生なども可能だ。一番右にあるボタンを押すと、カーナビメーカーが用意したアプリケーションに飛ぶ。例えばパナソニックのストラーダなら、あらかじめ搭載しているストラーダのナビが起動すると言った具合だ。ここはメーカーがカスタマイズできるという。
Android Autoはメディア、メッセージングアプリ向けにAPIも開発されており、サードパーティーアプリも利用できる。現在は音楽配信アプリ「AWA」をはじめとする数百種類の対応アプリが利用できる。筆者としてはパイオニアがリリースしているオートDJアプリ「MIXTRAX」や「Yahoo!カーナビ」が対応してくれるとうれしいのだが。
Android Autoが利用できるカーナビは、メーカーのラインアップの中でも最上位モデルに今のところは限られている。担当者はミドルレンジモデルにも対応を広げていきたいとしているが、まだまだこれからといったところだろう。
現状では、Androidスマートフォンやタブレットをそのまま車載して、カーナビとして利用するユーザーが徐々に増えつつあるが、高価なAndroid Auto対応カーナビを購入して利用するメリットをうまく訴求できるかも大きなポイントとなりそうだ。Androidデバイスをそのまま車載するデメリットとしては設置の煩雑さ、夏場の熱問題、操作性などが挙げられる。
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