それよりも気になったのは、タイプライター感の少なさだ。タイプライターを利用したことのある人は分かって頂けると思うが、タイプライターのキーは一定の押下圧を加えたところでアームが紙に打ち付けられ、心地良い音と共に一気に圧が軽くなる。
コンピュータ向けのキーボードも当初はこの「タイプライター風」な打鍵感を模したものが主流であり、IBMの開発したバックリングスプリング方式のキーボード「Model M」はキーボード好きの間で今もなお評価され続けている。
メカニカルキースイッチにおいてもタイプライターの打鍵感を模した物は多い。古くはアルプス電気の「SCKM」、独ZF Electronicsの「Cherry MX Blue」(通称青軸)などがそれに当たる。
しかし本機で採用されているのは「タイプライター風」な青軸ではなく、一般的なメカニカルキースイッチであるKailh茶軸である。QwerkywriterはクリックタイプのKailh青軸を採用したのに対し、本機がそれを採用しなかったのは残念だ。
本機のキー配列は日本語配列を採用しているが、キーレイアウトはかなり変則的になっている。いわゆる「変態配列」と呼ばれるものだ。
このキーレイアウトは使う人によりかなり評価が別れるだろう。特にこの「¥」キーの位置は、当該キーを多用する人にとっては致命的となりうる。
上記の通り、本機にはいくつかの問題点がある。しかし、各種キーリマップ機能や着脱式のUSBケーブルなど、問題点を補うさまざまな機能と価格から見て、タイプライター風キーボードに興味を持った人であれば「買い」である。
またここからは筆者の勝手な想像であるが、キーキャップの作りなどから見るに、恐らくQwerkywriterと同じ製造元によって製造されているのではないだろうかと思う。そういう意味でもQwerkywriterに興味を持った人にはおすすめできる一品だ。
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