アイ・オー・データ機器は11月10日、新しい周辺機器ブランド「PLANT(プラント)」を立ち上げ、第1弾製品として無線LAN(Wi-Fi)ルーター3機種を11月下旬から出荷することを発表した。年内には、追加で無線LANルーター1機種と、無線LAN子機2機種を追加投入する計画だ。
同社には、社名を冠した「I-O DATA」という揺るぎないブランドがすでに存在する。そこにあえて新ブランドを加える意図はどこにあるのだろうか。そして、新ブランドの第1弾製品を無線LAN製品としたのだろうか。
英語の“plant”には、「苗木」という意味がある。新ブランドの「PLANT」には、最新の技術トレンドや新しい利用方法という「苗木」を、いち早くユーザーに届けて定着させるという意図が込められている。
同社の事業戦略本部 企画開発部の平松朗副部長によると、最近は以下のような意見がユーザーから寄せられることがあるという。
これらの声に応えるため、従来のI-O DATAブランドの製品よりも迅速に新技術・新用途の製品を投入するために作られたのが、このPLANTブランドというわけだ。
「最新技術をいち早く」というと、同社には上級者向け製品ブランド「挑戦者」もある。PLANTブランドは、挑戦者よりもユーザーの間口を広く取って展開していく方針で、販路もI-O DATAブランドの製品と同様となる。ただし、今後の展開によっては、挑戦者ブランドに近い位置付けの製品も出てくる可能性もあるという。
PLANTブランドの第1弾は、IEEE 802.11ac(以下「11ac」)対応の無線LAN機器だ。PCやスマートフォン・タブレットの11ac対応が進むにつれ、無線LAN機器の販売数に占める11ac対応機器の割合も向上している。そういう意味では「どこが『最新技術』を『いち早く』なの?」という声が挙がってもおかしくはない。
しかし、その「11ac対応」の中身を見てみると話は変わる。11acでは、規格のオプションとして、電波に指向性を持たせてスループット(実効速度)を向上する「ビームフォーミング」や、同一周波数帯で複数端末と同時通信できる「マルチユーザーMIMO(MU-MIMO)」に対応している。
だが、直近11ac対応機器の販売状況を見てみると、ビームフォーミング対応機器は過半を占めているものの、MU-MIMO対応機器はわずか6%しか対応していない(GfK Japan調べ)。同社はその“6%”に照準を当て、手ごろな価格のMU-MIMO対応機器をいち早く投入することで、PLANTブランドの認知を図ろうとしているのだ。
なお、今回投入されるPLANTブランドの無線LAN機器のうち、MU-MIMOに対応するのはルーター3製品、子機1製品の計4製品となる。
ここで気になるのは、I-O DATAブランドで販売している無線LAN機器とのすみ分けだ。今回のPLANTブランドの無線LAN機器は、I-O DATAブランドにおけるラインアップを“補完”する存在でもある。今後も、利便性・快適性を重視したI-O DATAブランドの無線LAN機器も継続して新製品を投入していくという。
PLANTブランドは、今後も順次展開していく。
第2弾は、容量「0TB」のNAS、つまりストレージを自分で別途用意するタイプのNASとなる予定だ。I-O DATAブランドで販売している2ベイNAS「HDL2-AAシリーズ」がベースで、同社のNAS用の交換HDDを含む好きなHDDを組み込んで使えることが大きな特徴だ。本体は、ベース機種と同様に3年保証となる。正式な発表は、後日行われる予定だ。
第3弾は、一体何が出てくるのだろうか……? 楽しみに待ちたい。
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