筆者は各メーカーのNASの特性を業務用把握する必要があることから、日ごろから複数メーカーのNASを併用している。その中でオススメのメーカーといえば、2015年の本記事でも紹介したSynology NASであることに変わりはないのだが、同社にない特徴を備えたモデルとして2016年購入に至ったのが、QNAPの2ベイNAS「TS-251+」だ。
このモデルの特徴は、ボックスタイプのNASとしては珍しく、内部メモリの増設に対応することだ。一般的にNASの内蔵メモリと言えばオンボードで固定されているが、このモデルはメモリの拡張スロットを搭載しており、ノートPCなどに使われている市販のDDR3L SDRAM(SO-DIMM)を追加することで最大8GBまで拡張できる。一般的にこのクラスのNASのメモリは多くても2GB、エントリークラスの製品だと512MBなので、この差は大きい。
もう一つ、これは本製品というよりQNAP NAS固有の機能だが、Gmailのバックアップが行えるのもメリットだ。筆者は個人のGmailアカウントについて、これまでサブPCにPOP対応のメールクライアントを入れ、定期的に受信する形でメールのバックアップを行なっていたのだが、QNAPのNASアプリである「Gmailバックアップ」を利用すれば、PCを経由せずにGmailを直接NASでバックアップできる。
バックアップはスケジュールを設定できるので、初期設定を行った後は定期的に正しく動作しているかをチェックしさえすれば、基本的には自動運転だ。サブPCをわざわざ起動する必要もなくなり、消費電力の面でも恩恵を受けている。
もともと本製品はクアッドコアで2.0GHzのCeleronプロセッサを搭載し、ハードウェアの暗号化に対応、さらにマルチメディアコンテンツを再生するためのリモコンまで標準添付された、個人向けNASでは最上位のモデルである。
エントリー向けの2ベイNASが1万円台から入手できるのに比べて、本製品は最安でも5万円台とかなり値は張るが、スペックの進化が著しい昨今のNASの中で、長期に渡って高いパフォーマンスを発揮するにふさわしい製品と言っていいだろう。
Wi-Fiルーターは、額面通りに動作していれば、あまり頻繁に入れ替えることのない製品の代表格だろう。
しかし筆者宅では、数年前に11ac対応のルーターを導入して以降、通信が突然切れる症状が頻発するようになり、国内メーカーの製品をかわるがわる試すことを余儀なくされていた。それでも根本的な解決に至らず、また直近で使っていた某社のモデルはWebインタフェース画面も分かりづらく、使っていてストレスを感じることが多かった。
そんな中、ネット上での評判のよさを耳にして購入したのが、TP-LINKの11ac対応ルーター「Archer C9」である。3本のアンテナを使って理論値最大1900Mbpsの通信が可能な製品で、標準価格は2万円台半ばながら、多くの通販サイトでは1万円台前半で販売されている。
本製品は国内メーカーのルーターと異なり、面積の広い面が正面を向き、背面のスタンドで直立させる、写真立てのような外観をしている。国内メーカーのルーターは有線LANポートが側面に縦に並んでいるが、本製品は背面の下部に横1列にポートが4つ並ぶ構造だ。それゆえ設置時に幅は取るものの、本体の重量バランスなどを考えると、本製品のほうが転倒しづらい、理にかなった構造と言える。
そして使ってみて何より驚いたのは通信の安定性だ。これまで国内メーカーの製品では頻発していた原因不明の回線切断もなく、安定して通信できている。通信機器はいったん設定すればその後は存在を意識させないのが理想だが、国内プロバイダーとの相性などもあり、国内メーカーの製品の方が有利な面は少なからずある、と筆者は思っていたのだが、この製品でその考えは根本から覆された。
Webインタフェース画面も項目の一覧性が高く、探している項目がすぐ見つかるほか、レスポンスも非常によい。筆者宅では前述の複数のNASなど、個人宅とはいえSOHOを超える数の機器が常時クラウドとデータのやりとりをしているのだが、そうした負荷にも問題なく耐えられている。コスパがよく、安定して通信が行える11acルーターを探しているのであれば、自信を持っておすすめしたい製品だ。
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